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似た者同士

おんな・・・女性なのに、「すぐ殴られる」・・・そんなヒトがおりました 港の界隈に・・・。


男運の悪さでは キミコさんに叶うヒトはいないと断言して間違いとは云えません。

だいたいがキミコったってダレもカノジョのことそうは呼びません、キミコをもじった『ケメ子』としか。

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やさしいヒトだな・・・誰しも第一印象はそう思うのです、こんなリクめですら そう感じました。

ケメ子さんは たしかに、やさしくて・・・だけど、オトコの勝手な論理をホザきますと、『どこか不思議にオトコをイラつかせるオーラの持ち主』というのがもっぱらの定評でした。

ぶっちゃけオトコにとってケメ子さんはある面では最高の女性です はい。ナニがあろうと まず絶対にオトコのことを否定しない・・・

うんうん そうよね と、受け入れてくれます。けっして根元から否定するようなネガティブなことは言いません。


だけれど・・・生来の「慌て者」なのですケメ子さん・・・。

くっつくオトコに せっせせっせと、とにかく尽くします。 はいタイバコと灰皿 はい新聞、ビール注ぎましょうネ♪

って・・・してるうち・・・なんかヘンな匂いがするなあ・・っと思うと、アイロンかけっぱなしで床を焦がしちゃったり・・・

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お風呂を熱湯にしちゃったりは3日に1度、焼き魚 焼いたはいいけど 慌ててダイコンおろすものだから、指まで摺っちゃって・・・ダイコンおろしが「モミジおろし」になっちまう有様・・・(--;

おまけに「間が悪い」・・・ぶっちゃけ悪意など このヒトに限りましては露ほどもありません、ですが コレもまたオトコの勝手な論理ですが『天才的に空気読めない・・』そんなヒトなのでありました。


コメディアンの大御所 小松政夫サンは こういうタイプの女のヒトを見事にギャグにしたものです はい。

『も~いや!こんな生活っ!』とか、『ねっ!あたしのどこがいけないの!?おせ~~てっ!!』とか まさに ケメ子さんのことを表現しているそのものだったから。

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マジも大マジ・・全力で走ってル人間は案外 自分がいかに線路ハミ出してるかってのがわからないものでございます はい。


ナマイキですが ケメ子さんって、「善意のカラ回り」のヒトなんだろうと思います、その持ち前である 素直で清い人格、それだけで尊い筈なのに・・・慌て者ぶりと これまたもちぃ前の「早とちり」それがすべてを打ち消して、むしろマイナスにしている・・・そんな「ついてない」ヒトでありました本当に。


しかし 単に 早とちり 聞き間違いが多いってならリクめの周囲にもイッパイおります、

東京は飯田橋の「東京逓信病院」医療機器の納入でそちらより電話がかかるなら・・・

ぶっちゃけ真顔で「リクさん 《精神病院》からおデンワです」なんて・・・よりによってリクめ預かりの後輩 けん子・・・

コイツは他にも「ガルシアさんからお電話です」ってから、てっきり、南米とかのバイヤーだと思って・・・

「!Si! Es Ricou. Como esta♪」

ってなら デンワの向こうは無言・・・

「Es un telZefono del trabajo? (仕事の電話ですよね?)」

っと さらに畳みかけると・・・

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           あ、あのなあ・・(--;

なんか、さも済まなさそうに・・・『すいません・・ジツはわたくし《ガラス屋》なんですけどー』だと @@;ドコがガルシアぢゃっ!!

あと、デンワで「どちら様ですか?」って云うところをアセって間違えちゃって 『何様ですか?』ですと・・(--; 疲れるのぢゃヨわたいは・・・

ま~~こんなのは困りますが イチイチ神経質になってたら 荒くれなんざやってられません(笑)『オメエはホンマに人類か??』っていいつつ 笑い話で済むのでありますが。

ぶっちゃけ ケメ子さんのばやい しょっちゅ~交際中のオトコを激怒炎上させちまいまして そのたび 目にはアオタン 鼻血ブー・・・

余計なお世話ですが 自分の慌て者ぶりはわかってるだろう そんなら けっしてシッパイしても暴力なんぞふるわない やさしい草食系のオトコをチョイスすればイイのに、

そこが皮肉で・・・ケメ子さんの「ど真ん中」ってのが、これまた 判で押したよ~に、無口で人付き合いもヘタなチョイ怖めのシブいタイプのオトコってなってるんで ある意味自業自得でス。
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哲太って・・・字ズラからして ケメ子さん好みの ぶっちゃけ いかつくてきわめて人間が不器用なハマの港の コンテナ配送のドライバーしてます御仁と くっつきまして・・・

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この哲太ってのが歳はリクめと同年代なんですが、とにかく人間が不器用・・・コンテナのドライバーなんて、いかにして港の作業員らや港の管理会社にコネクションつくるかがカギっていえるのに、

こいつはまったく自分から 輪に加わろうともしない・・けっこーなキャリアがあるのに いつまでも一匹オオカミもいいとこで、固定した「おいしい仕事」に恵まれません・・・。なんせが愛嬌に乏しい ぶっきら棒人間ですから・・・。

大型二種免許はあるのに、一発ロング距離で儲かる中・長距離のトラック配送はなかなか回って来ず、近場回りの軽トラ業務がほぼ固定化した業務内容です。歩合制だから単価がワリに合いません。ガテンな業界ほど ぶっちゃけ愛嬌とヒト同士の信頼関係がモノを云いますからネ。


ゆえに 同業の人間にいつもダシ抜かれ 結果、骨折りばかりで儲けにならない仕事ばかり担当させられ、余計に性格が閉鎖的になるって 典型的「ついてない奴」でもありました。


そんな哲太 7つも歳上のケメ子さんのツボにハマったようで ふたりが共に暮らし始めたって聞きまして、

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正直ウマいこといけばイイな って思いました。慌て者ですが ケメ子さんは界隈でも有名な とても腕の良い美容師さん、1つ作業に集中するならスキルを発揮できるタイプで。

哲太も 性格変らない以上 この先 残酷のようですが 今以上の仕事での評価上昇は望めないから、経済的にもある程度はケメ子さんに助けて貰って、マイペースで仕事続ければいいじゃんか って思ったのですが・・・


でも正直 ケメ子さんって、オトコを甘やかしてダメにしちゃう名人(?)でもあって、

ケメ子さんの稼ぎに委縮しだしたオトコが、仕事も行かないで 朝から部屋で飲んでる・・・って、なさけない事態となっても、愚痴るでもなく それを許容しちゃう、それっていけないと思うのです、ことオトコが仕事もしないなんて『つまらん!!』リクめはそう思います はい。

この哲太に限ってはそうではなかった・・・のですが・・・周囲のクチうるさき雀らが云いますのは げに通俗的な文句「いいよな~♪哲太は 髪結いの亭主だからヨ~」ってからかいの言葉・・・。

・・・こんな時 『へっへっへ♪ 羨ましいだろ いっひっひ♪』とかの、シャレで切り返せるココロの余裕がアル奴ならイイのでおますが、この哲の奴は 育ちが東北の ぶっちゃけ機転も利かない田舎者・・・マッカになって その相手の胸倉つかんじゃったりするから、周囲はドンドンと敬遠するって状況に。


しかし それに反発して 一時は猛然と仕事した哲太なんでおますが、運悪く仕事でもらい事故に遭って・・・労災や加害者よりの保証で 経済的には困らないにせよ、数か月以上仕事出来ないで 通院養生する羽目になりまして またまたクサってしまいまして・・・。

それまでは あまり酒もクチにしなかった哲太ですが 事故以来 ぶっちゃけしょっちゅう飲むようになっちゃって・・・

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           陰ながら心配はしておりました はい

またあのワルいパターンに陥るのではなかろうか?? って陰ながらみんな心配していたのです。


関内駅裏側のほの暗い路地 いろんな店があるのでありますが、華やかな表通りと違い この通りには 春の春雨がよく似合います、ウォーター・スクリーンのような細かな水分が乾いたこの通りの風景を癒してくれる そんな感じで。

『 Spring rain trip ~春雨道中 』って、小粋な名前に惹かれて通い出したミニライブも出来る 西洋風飲み屋へ 終わりが遅くなった仕事帰りにリクめ立ちよりますと ケメ子さんがひとりカウンターで飲んでました。

「どもっ♪」って、あいさつを交わし ふと・・・ケメ子さんのカオを観ますに・・・あらら・・ま~た殴られたくさいナ ケメ子さん・・・

ぶっちゃけ リクめ的には これまであまりケメ子さんとは話したり 飲んだりってありませんでしたから 云い辛かったんでおますが・・・

とりあえず「どうです?哲太 少しは元気になりましたか??」って尋ねますと・・・

「ええ おかげさまで」って、なんだかムリっぽく笑顔つくってケメ子さんが答えます。


「・・・・・」「・・・・・」あとが続かない・・・店には他の知り合いの客もお互いにおらず なんか気まずいまま・・・。

でもスグに席を立つってのも あまりに露骨だから・・・思いきって尋ねてみました。「あの・・・」

「うん なあに?」話しかけられるを待っていたかのようにケメ子さん こちらのほうに体をひねって。

「立ち入ったことですが・・カオ・・ぶっちゃけどないしはりましたン??えらいこと痛そうでおまのやけど・・」

ケメ子さん「えへへへ・・・哲っちゃん また怒らせちゃったの あいかわらずドジだなああたし」

「って・・・ほっぺた腫れてるやないですか・・・哲太もいかんわ 女の人殴るのなんて・・・」

「リクちゃんは絶対 女の人に手をあげないもんネ♪エラいよね 《見た目オンナのクサったのみたいだけど》」

・・・ワル気はナイのはわかってます が・・(笑)こうやってサシでモロいわれますと(^^;根はイイひとなのに、やたら付き合うオトコをイラつかせるケメ子さんであるのは こういうところからだって納得できました。

ケメ子さん「ロールキャベツ・・・ひさしぶりにユックリ料理作ってあげましょうって、出かけてる哲っちゃんにメールで帰る道すがら お買い物たのんだのよネ」リク「はあ・・」

ケメ子さん「ったら またまたあたしバカだから・・『ロールキャベルつくるから 白菜買ってきて』って打っちゃって」「・・・・・」

ケメ子さん「ったら哲っちゃんから『キャベツなのか白菜なのか どっちだ?』って。それで『あんた キャベツと白菜の違いもわからないの?なさけない!』って打ったら・・・家に駆け込んできた哲っちゃんに《レタス》思い切り投げつけられて それカオに当たってコレ あはは!バカですあたし」「はあ・・・」

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            ぶっちゃけ 訊くンやなかった・・(--;

なんだか聞いて 脱力しちまいました。


フト ケメ子さんが思い詰めた表情で・・

「ねえリクちゃん ぶっちゃけた話 うちの哲っちゃんなんだけど・・率直にどう思います??」「ってなにについてですか?」

「うん この先・・なんか見てると あの子、世間的な人付き合いチョー下手じゃん? 今の仕事向いてるのかな?って心配で・・・」

「・・・う~ん、ぶっちゃけ 哲っちゃんのすべてを観てる訳でないから結論なんぞ云えませんが・・・正直、彼はヨコハマなんて都会より、どこか地方の港とかでごく地道に仕事する方が どちらかというなら向いているかも知れませんネ はい・・・」

「そっか・・・ぶっちゃけ あのコ 人付き合い苦手だからネ・・・《クチ八丁のアンタとは違って》」 「(ワリかったな!クチ八丁で・・・)」

リク「いやあ、わたいとてプライベートは無口もイイとこでおますヨ、仕事と日常でONとOFF使い分けてるといいますか・・・」

ったら ケメ子さん「でもうちの哲っちゃん そういう《二枚舌使えないコなの》、人間が素直で不器用だから」

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            はいはい!すいませんヨ!ど~せロクでなしで

なんか・・・ミョ~にムカついてきまして(笑)(^^;こりゃ噂通り マジKYだ・・・言葉の使い方が根本からおかしいヤ・・・

ケメ子さん「あたしもね~~哲っちゃんに云ったのヨ・・・港のリクちゃん少しは見習いなさい あんな、オトコのくせしてブラしてるようなヘンタ・・・か、変ったヒトなのに凄く信頼されてるじゃない!アンタも出来るから!ヒマラヤの舞台から飛び降りる気になればって」(そら死ぬデ・・・--);


ケメ子さん「そしたら哲っちゃん怒って・・・リクなんてアイツは、勤務先の社長が実の伯父だからそれだけで出世出来てるんだ!って怒って またぶたれちゃって・・・」

・・・あの~・・・普通しまっとかない??そ~ゆ~たぐいの話・・・(--; そういうことは仮にホントでも 面と向かって云っては欲しくないセリフなんでおますが・・・なんか殴りたくなってきたゾ(笑)(--;



なるほど・・・ボコボコにされがちなヒトってのは それなりの「殴られるだけの要素」を撒き散らしてるもんだなあ・・・っと、不謹慎ですがミョ~に納得できました。

「でもねエ・・・」っとケメ子さんは深くため息をついて・・・

「そんな哲っちゃんだけど・・・ってより、あたしがこれまで惚れてたオトコ全員なんだけどサ・・・なんか健気だし、無口で 生き方とってもヘタで、放っとけないんだぁ・・・。こんな、若くもない ハッキリいって不細工なあたしだってのはわかってるんだけどサ・・・哲っちゃん、あたしがいなけりゃ コレ以上ないってぐらい孤独な人間ヨ・・」

それはなんか理解できる気がしました。もちろん哲への愛情も深いでしょうが、ケメ子さんって、とても母性愛が過剰なヒト。

哲のような 自分の殻に閉じこもり、ウマいことテメエをアピール出来ない野郎にとって まさに「救いの女神」に相当するのだと思いました。

ケメ子さんのケータイが鳴り・・・「あ、哲っちゃんからだわ」


「もしもし~♪ え?うん 大丈夫バカねえ 怒ってないわよ、今ねえ 春雨道中の店。あと少しで帰るから心配いらないから♪それより・・・哲っちゃん アンタ、検査結果で明日は病院でしょ?お酒のんでないで早く寝なさい!お腹空いてる?冷蔵庫の隣のホットキャビに、昼間買っておいた中華まんと甘栗あるから それ食べなさい。カップめんはダメよ。寝る前にチャンと歯磨くのヨ、いいコでいなさい イイわね?」

なんか・・・恋人 内縁の夫というよか、歳の離れた姉貴とゆ~か おふくろサンみたいな関係でもあるナ・・・っとふと思いました。典型的世話女房。


でも・・・その双方の「想い」が、必ずしもマッチングしないってのが この世の無常なところで・・・

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ある意味 都会に暮らす田舎者同士 この孤独なふたりの関係性、ヒト同士の密度の濃さが 絶えないケンカの原因なんだろうとも感じました はい。

片方が過剰ともいえる愛情を注げば注ぐほど、もう片方を結果としてダメダメにしていく・・・切ないですよねぇ・・・。

ナゼか その夜のモスコミュールは妙にホロ苦い味がいたしました はい。


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そんなある夜・・・

出荷貨物の伝票処理で リクめと 夜逃げのキンさんとで居残って会社の事務所で仕事してますと 電話が鳴り・・・

かけてきたのは平沼署の おねだりA警部さんで・・・

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『おうリクか。オレっちの兄弟 キンの字もいるよな? ジツはヨ・・・シャレにならん事が・・起きた・・というのか??正直訳わかんなくて困ってるんだ実際問題・・・』っと。

「はあ・・・」

どういうことなのか??訊いてみますなら・・・

 おねだりAは言います

オメエらも知ってるよナ?ハマの美容師の あの ケメ子ってブスなねえちゃん(リクが云ってるンじゃありませんから;笑)

それが・・・『たった今 内縁の夫のこと刺しました!』って・・・出頭してきてナ・・・。

聞き逃すって訳にはいかない問題じゃん?通常なら刑事課もしくは生活安全課 交番のおまわりで充分なんだが、こんなのって 要は痴話げんかの果てじゃんか、で 派出所の警官に行かせた訳だ その現場だってケメ子のアパートにヨ・・・

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そしたなら・・・確かに刺した この手で キッチンの包丁で・・・っていうのにヨ、ぶっちゃけ・・・ネエのよ・・・そんな、人間様のハラ刺したなんて痕跡がいっさい・・・

一滴の血痕すら落ちてなくて、凶行に使用されたはずの包丁ってのも、いちおう鑑識に回したなら 血液反応すら出ない どういう訳よこれ??

ま~オンナは生理とかでポーっとしちゃうってあるし、なんかクスリやってたり、酔ってて ンな事を口走る例もあったから そのクチかな?っと思ってたらナ・・・

その・・・ケメ子がヨ、ミョーに意固地でヨ、『そんな筈はない!よく調べてください!あたし本当に哲っちゃんのことを刺してしまったんですう!』ってきかないンだ 困ったゼ・・・。

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名誉のため云うけどヨ・・・管轄内に10を超えるヤクザの組抱えてるウチの署だゼ、ウチの捜査員 ンな見落とすほどバカおまわりとは違うゼ。

でナ・・・やっかいがもう1つ・・・。イチバンの早道・・・今回の被害者である 哲の野郎さえ見つかればすべては済む訳なんだ わかんだろ??

だが 居ないんだワ・・・ドコに行ったやら??皆目足取りがつかめねえ・・・。運転免許とサイフのみ部屋から消えてて あとの私物はケータイすら全て置いてきぼり・・ホント 神隠しでヨ・・・こんなセコな事件なんだが 完全に暗礁に乗り上げてしまってナ・・・

リク「マジっすか・・・そら面倒ですネ~お察しいたします はい」


・・・そうなんだ・・・で、ワルいタイミング・・・ジツは明日早朝に ●●組って暴力団事務所に ガサ入れ調査なんだ・・うん、場合によって組員複数名しょっ引く覚悟のヨ・・・

ハッキリいって 人手が決定的に足りない・・・。まことにワルいんだが、リク・・・八百政大先生にご足労願えないか??頼むわ聞いてみてくれ!

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八百政はスグやってきてくれて・・・

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             廊下を介して対面式の造りで・・・

ケメ子さんのアパートについて、測量で使うようなメジャーでアレコレと計ってから スグに「はい 問題解決!」と・・・。

「もう謎は解けたンかいナ??」っと聞くと、「うん。すべては皮肉な偶然と、このアパートの独特の作りにあったんだ」っと自慢げに。

八百政「謎のその1 問題はケメ子さんの《苗字》にあった」 リク「苗字?」

八百政「そう苗字。ケメ子さんの苗字 日本でイチバンもしくは2番目に多いとされる《鈴木》だから」リク「うんうん。」

八百政「いいかい?ケメ子さんの住んでる部屋 最近の賃貸集合住居って、号室数を記載しないのが 一種の「はやり」なんだワ。」リク「そのようやネ、ココのアパートも書いておらんわナ」

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八百政「ケメ子さんちは ここ2Fの204号室・・・で・・・【向かい側】のはす向かい209号室が同じく 鈴木さんなんだ。よく見てみリクさん。ココのアパート、号室数書いてないけど、大家のサービスなんだろね、各部屋の住人の苗字のみのプラスチック製のプレートを貼ってあげてるじゃん?」リク「うん そうやナ」


八百政「このアパートは4階まである、エレベーターホールはフロアの中央にあるけど、さっき確認したけど この【2Fには停まらない仕掛けになってる】要は2F住民はあくまで階段使えって意味だよネ?」リク「なるほどホンマや」

八百政「で・・・その替わりのように、この2Fには東側サイドと西側サイド・・・ドッチも外壁からつながっている いわゆる《カンカン階段》があるだろ?すべてはコレが原因だった」

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           東と西とにマッタク同じ階段がありまして

いいかいリクさん?・・・このアパートだけど、2Fの住人は、東側と西側ドッチの階段も利用できるって訳なんだ。

でね、さっきメジャーで計ったのはそこの確認なの。ココのフロアの縦の寸法は約40m、で、東の端から ケメ子さんの204号室まで距離にして16・5mほど・・・

で・・・今度が肝心・・・西側の端からピッタシ!16・5mで計ってみるならコレが!・・・ウソみたいだけど はす斜め前の209号室の鈴木さん宅になるんだワ これが・・・


人間ってネ、いじましい動物でサ、ドッチの出口 入口が近いか?ってキチンと考えててサ、ぶっちゃけ1mでも近いほうの出入り口を無意識に使用するんだ これホント。

おそらく・・・普段はケメ子さん 東側の出入り階段を専用として使用していたのだと思う。

でもさっき おねだりAさんにも確認したのだけど、昨晩のケメ子さん、出仕事で川崎方面に出ていた帰りだったと・・・

するとネ・・ハマっ子ならおそらくは、ここから歩いて約7分の位置の京浜急行 黄金町駅ではなくて、市バスに乗って帰ってきて、ココから1分の距離の 代官町バス停で下車したはず そっちがゼンゼン早いし 深夜に近い時間、女性が独りで帰るとするなら安全コースだし。

そうすると・・・アパートについた方向は いつもとは違う 【西側】なんだ・・・アルコールも入っていた、で、ワルいが あの慌て者のケメ子さんじゃん?

カラダで覚えこんでるへ入口からの距離 16・5m 見上げるならそこには《鈴木》の表示・・ぶっちゃけ同じ 定型品でレタリングの同じ《鈴木》って文字じゃん・・・


リク「え~~っっ?? ってことは・・・ケメ子さん、部屋を間違えて入りよったと・・・」

八百政「うん・・・どうもそうとしか思えない。で・・・ココからは、推測なんだけどネ・・・おそらくそこの住人は妙齢の女性・・・。そのヒトと、ケメ子さんの恋人 哲っちゃんってのが《浮気の最中》だったと・・・」



リク「うーん・・・それで カっとなり、訳も分からず 哲の事 包丁で刺したってことか。」

八百政「うんそう。いくら【ケメ子さん宅を調査してもナンも出ない】わけだ・・・ナゼならそこは現場じゃナイからね」


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 (平沼署 取調室にて)

八百政「それではケメ子さん 今一度お聞きします・・・アナタは昨晩、哲さんをのことをキッチンの包丁でわき腹を刺したということですが・・・」

ケメ子「はい・・・間違いありません。あたし 刺しました哲っちゃんのこと・・・」

八百政「部屋のアギはかかってなかったんですね?」

ケメ子「はい、哲っちゃんが部屋の中に居ると思い込んでて 案の定ドアノブ回したなら 施錠されてなくて、そのまますんなり入れましたので」

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  そこにてケメ子さんが目にしたってのが・・・

八百政「で・・・刺し終えてから どうしましたか?」

ケメ子「はい。急に怖いって気持ちが起こってたまらなくなって・・・後先も見ずに 逃げました 部屋から・・・」

八百政「部屋に居た 哲さんの浮気相手・・・その女性はどうでしたか?思い出す程度でかまいませんから」

ケメ子「たしか・・・こわばった表情で、小さく悲鳴みたいな声をあげたように記憶してますが、カオの表情、それは正直 よく注視していたわけではないので」


八百政「そうですか。では・・・ドアを再び開いて、部屋から走り出て・・・アナタは・・【向かってドッチの方向に進みましたか??】・・・」

ケメ子「はい・・・ドアから出て・・・向かって【右の方向に】進んで外付けの金属階段を走って1Fに降りました 間違いありません」

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・・・八百政が部屋の鏡の方にアゴをしゃくるようにしました。

鏡は警察署ならでわの「マジックミラー」・・・こちらには リクめと おねだりAさんがいて・・・

A「ふふ~ん・・・ってことはだ・・・あのケメ子のねえちゃん、慌て者がゆえに、入るべきテメエの部屋を間違えて入っちゃって・・その【ベツの部屋】で偶然にも同棲してる 哲って野郎が、そこの住人と浮気の真っ最中だったってことか?」

リク「どうもワシらの結論としては そうとしか思えませんで・・・予めのケメ子さんによる殺人未遂行為とはどうしても思えないんですワ・・・。ケメ子さん ベツに自分の行為を隠蔽とか企んでいませんし 事実 出頭自首した訳で・・」


A「それが真実なら ぶっちゃけ、信じがたいウッカリ者だよナ・・・。でも、アルコールで酩酊したってなら、現場の写真証拠からも、このアパートの構造の特殊性からして、同じ《鈴木》同士で、1度ぐらいは間違えるってことも起きても無下に否定は出来ないかもナ・・・」

リク「そなんス、加えましてネ、アパートの1Fエレベーターフロアの脇に、住民全体の集合ポストがあるんでっけど・・・そこでわたい確認しましてン、204の《鈴木キミコ》さんと、209にお住まいの《鈴木ナツキ》さん・・・ご両人とも新聞はとっておりませんから、ついつい郵便物の確認と取り込みが数日おきになってて・・で、正直、どうでもよろしいダイレクト・メールとかですが、さっき調べたなら、ぶっちゃけ複数枚 《キミコ》と《ナツキ》が間違って投函されてまして。充分ありえる《勘違い》だと思えるわけでして」


A「なるほどね~~・・・しかし、そうなると まさに運命の悪戯は・・・よりによってテメエ本来のオンナと 同じ苗字のオンナと浮気してた・・加えて 同じアパート、はす斜めの部屋・・・ケメ子の部屋は【東出口から16・5m】・・で、通常西側出口を使用の209鈴木ナツキの部屋も西側階段から同じく【16.5m】・・・ダレひとり気付きもしなかった皮肉な偶然だワ・・まさにその哲とナツキがヤってる最中に、ケメ子が偶然に間違って入ってきた・・・悲劇はココに集約されたってことだ・・・」

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それにしても・・・哲はいったいドコにいるってんでしょう???

警察の捜査ってのも ぶっちゃけ 事件の被害者の立場である 哲の身柄を確認できない以上、正式なる事件扱いが出来かねるのです はい。

逃げ回る必要は 刑事事件的にはアリえません、刺されたのが本当なら 被害者100%なのですからネ。

同義的でのケメ子さんに対する自責の念は感じているにせよ、ナニも身を隠すようなマネなど ぶっちゃけナンの得があるってのかわかりません。


209号室の住人 鈴木ナツキは クラブ・ホステスでした、 元・・・がつきますが。

ぶっちゃけドコの店に勤めても長続きしない勤務態度と接客マナーだったようで、つい最近までオトコと同棲していたらしいと。


A「そのオトコってのがチト問題でナ・・・▲▲組 ヤクザな、そこの準構成員 ぶっちゃけ三下の使いっぱだワ・・・で、ヤツっての前科ってのが麻薬売買で2度ほど《別荘》行ってるんだ、2回とも1年足らずのションベン刑だがヨ・・・こういったオトコとくっつくオンナだ・・ぶっちゃけ、7割近い確率で、一緒に暮らすオンナってのもクスリ喰ってる可能性が高い・・・」

リク「そですか・・・で?ナツキってヒト めっかったンでっか??」


A「ああ。戸塚駅近くに 母親が住んでる県営住宅あってヨ、そこに居やがった。一応 事情聴取として保土ヶ谷署に保護してるそうな。・・・ったらヨ・・チト、シャレになんないとゆうか・・」

リク「ナンですのん??」


A「ああ・・・そのナツキってねえちゃん・・《頭の毛 スキンヘッド》にしてやがった・・・それに加え 昨日と今日とで、水を10リットル近くガブ飲みして トイレとの往復ひっきりなしだったそうな」

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リク「それって・・・もしかして 証拠隠滅??」


A「多分そう・・・。カラダに入ってる おそらくはシャブだんべ・・・水飲んで小便で洗い落として・・・DNA検査でイッパツでわかっちまう 毛髪処分したにちげえねえ・・・。ってなるとナ・・・哲の存在ってのも、ナツキにするならば、出てこないほうが都合がイイ訳じゃんか?チト心配なのは、ナツキの手引きで どうかなってないか哲が?・・ってことでヨ」 


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ぶっちゃけ まだ正式に事件化されていないのをいいことに・・・A警部は超荒業を使いました はい。

それは『なあ ナツキさんヨ、今回 オメエさん個人のクスリのことなんぞ ぶっちゃけど~だってイイんだワ、オレら麻薬課でもネエし♪』

バレたらエラいことでっせ~~(って・・・こ~して書いてますが:笑)(^^;

ツマリが・・・いっさいの ナツキ嬢についての薬物摂取容疑は問わない、その代わりとして アンタの部屋捜索させてくれ、それと 哲の居所知ってるのなら教えてくれヤ 頼むワ♪ ってことで・・・

ナツキ嬢はホイホイ応じて・・・検分の結果 カーペットの一部より 人体からと思える血痕を発見。キッチンの包丁 それは小さく薄っぺらい フルーツナイフで、ぶっちゃけ その凶器で 哲を刺殺するのはほぼ不可能であるという話でした はい。

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           ぶっちゃけコレで殺害は不可能・・・

とりあえずの最低限の証拠は揃ったようにも思えたのですが、依然 哲は行方知らず。ナツキの証言も、刺されて哲は、片手で傷を抑えながら部屋を飛び出し それきりで本当にどうしたかわからない・・・とのことでして。

で、そうなりますと、現段階での起訴はもちろん 今の状況では ぶっちゃけ「公判を維持できない」・・・にっちもさっちもいかなくなってきまして アタマ抱えるAさん・・・。

A『ぶっちゃけ 被害者当人がいねえってんだから どうにも仕様がネエってことだ くっそ~・・・』


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 哲はいました はい。

夜逃げのキンさんが発見いたしました。


とある場所で・・・ビルの外付け階段に半裸で腰を下ろし、左のわき腹に大きな絆創膏をしているオトコがタバコをふかしていた・・・。

『あの地域は・・・ぶっちゃけ、リクが出番るのが筋ってモンだろうからヨ』っとキンさん。


考えれば迂闊だった・・・発想の盲点・・・スグそばで潜伏してやがったんだ 哲の野郎・・・

夜明けに近い『横浜中華街』・・・明治のコロよりの老舗「水琴楼」 その店の地下2Fに・・・100坪ほどの小さい舞台まである ぶっちゃけ外部のダレも知らない【秘密のダンスフロア】があり・・・

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蒋中正(チアン・チョンチェン)日本ではこの名前より 政治的名前【蒋介石】が100倍も有名です。ツマリが 台湾の総督・・・。

昭和2年に来日しており、当時の微妙な日本vs中国の政治的状況・・・テロリズムから逃れるためもあり、蒋介石は この中華街に潜伏していたといわれています。

この水琴楼の地下2Fのダンスフロアに匿われていた・・・チャイナタウンの古老たちのみしか知らない【秘密」でス。


コツコツコツ・・・近づく靴音に ギョっと、それまでソファに天井眺めに横たわっていたオトコがハネ起きました。

ハラに受けた傷が痛むと見え、カオを思わずしかめました。『・・・お前・・・港のリク』

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リク「あいにくだったナ 哲よ・・・でも、捕まえに来たンとチャウよって安心しい。」

哲「・・・よく ココだと踏んだナ・・・」



リク「ワシはナ、ぶっちゃけ このチャイナタウンとは、ビジネス・オンリーの出入りやナイんヤ。うしろめたい事もあったし、ヤバい橋も何度も渡った・・・。哲よ、オメエ 山形の出身とばかり思ったが、オメエの苗字《林》・・・《はやし》じゃなくってホントは《リン》よナ?30数年前 ココの中華街、なんと!場所もこの水琴楼・・・そこのセカンド・コックだったのが 哲オメエの父親《林 明哲》だったとは・・・」

哲「・・・やっぱ マオ老子から聞いたのか・・・リク、オメエ やっぱチャイナの血が入ってるのかよ?」

リク「あいにく 純粋日本人ヤ♪ 相当アブナい血筋の人間やけどナ♪ このチャイナタウンには 闇の医者・・・要は中国国内では医師資格があるが この日本国内では医療行為まかならん って人間 ひとりやふたりではナイからナ。チャイナタウンで起こったケンカや揉め事・・それらを表向きにはせず 自分らのテリトリーで処置する・・・その善悪は云わんヨ、未だに継続する《中華街流儀》やからナ・・・」



「まいった・・・その通りだワ。 それにしてもバチが見事に当たったよナ~~・・・キミコ裏切って・・・ホンの お遊び、気の迷いだったんだ・・・ナツキの誘いに ついノっちまって・・・ぶっちゃけ 突っ込んでる最中にホロ酔いでキミコが部屋に入ってきて、目が合った瞬間 ああこれはバチがあたったって覚悟したヨ・・刺された?ふん!ンなんじゃねえヨ、ワキ腹かすったダケよ、内臓なんかに微塵も届いちゃいねえってば。」

リク「本当に平気なんかヨ?腹膜炎起こしたら 勇ましい事云っててもコロってクタバってまうド」


哲「大丈夫だよ!・・・熱も下がったしメシだって喰えるから もう。・・・おおそれながらナ、キミコ・・・キミコのことは ココロから愛していたんだヨ。・・・被害者であるオレさえ・・オレさえ このハマから消えていれば・・・傷害事件ですらなくなり、キミコが犯罪者にならんで済むじゃねえか・・・だから、《哲は夜逃げした》ってことで ひとつ頼めネエだろか??オレの私物も 配送用の軽トラも スキに処分しちまって構わんからヨ」

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リク「やはり・・・ケメ子さんのこと 庇っての逃亡だったのかい・・・」


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なあ・・・港のリクよ、周囲に仲間がはんぱないオメエなんぞにゃわからんかも知れないけど オレもキミコも それそれはココロ寂しき人間ヨ。

オレもキミコの《母性》に甘えるばかりだったけど・・・あいつ キミコの方も、病気の結果として己の子供産めなくなってナ・・世話と手間がかかる子供ってのに渇望していたンだわ それはわかるだろが?

欠けたモノ同士が その傷を埋めるべくくっつきあった・・・それがオレらカップルさ。

仕事ウマいこといかなくなっても、酒飲むようになっても・・・キミコ、ひとこともオレのこと責めずに 許容してくれてサ、でも、結果としてオレはドンドンと堕落するばかり・・・

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           ふたりは哀しい 似た者同士なんだよナ・・

でナ、キミコに ハラ刺された・・ってより斬られた時に『ああそうか!!』って電撃的にひらめくものがあって・・・

こんな・・・だらしなくて ロクでもない俺、生きてる価値なんぞあるかよ って思ってたけど、

今 ひとつだけ出来る事があったんだ!『この愛するキミコを・・・犯罪者にさせないことだ』っていう1つの確信な オレなりの。説教はゴメンだからヨ。

それが今までの恩返しでもあり、キミコへの愛情の発露・・・けっしてカムアウトしてはいけない愛情なんだけどね、で・・・逃げた。

オレが4歳の頃 死んだ父親ってのが、香港からのコックで・・・さいわいヒトに人望が合ったようで、その息子であるオレ このチャイナタウンの人たち 手厚く保護してくれたよ うん。

これからどうするのかって?? 


決まってらあナ♪ このハマの港ともおさらばするんだ。どうあがいても この街はオレには合わねえヤ。

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父親が死んでナ、大珍楼のウェイトレスだった おふくろがオレ連れて 出身の山形の天童ってとこに 見よう見まねで覚えた技法活かして、駅前通りで中華屋出してサ、今でもそれなりに営業してるんだ。それを手伝って テメエのキャラに見合ったジミな暮らし 地方の街でするヨ おふくろも歳だし。

キミコ? うん・・・少しの間くらいは 寂しくて枕を濡らすかもしらんけどヨ・・・アイツの本性・・・っていうのかな? それって、《寂しさゆえに 寂しさすら感じさせる暇を与えないような 手のかかるオトコ》・・・それを無意識に求めているのだからサ、冷静に考えてスグ 他の新しいオトコめっけるだろう・・・寂しくないのか?ってならウソになるけど・・・いいんだ、そういう愛情表現しか出来ない愚かなオトコいたっていいべ?だからナンも云わず 告げず 消えるわオレ・・。



・・・なるほどな・・哲よ オメエのココロ持ちはわかったヨ・・・。

ケメ子さんって 一種の、入り混んでるマゾヒストか・・・クタクタにカラダをコキ使い働くのも、やったらベタベタ世話焼くのも、あげくにDVさせるのも・・・

ぶっちゃけ彼女自身の『切なる願望』であったんだネ、ある側面では 過去のオトコらは ケメ子さんのそうした願望に対して 忠実に従っていたという事か。やっぱオトコってのは オンナの掌で転がされているダケなんだナ・・・。

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リク「そらそ~と・・・実家に戻るのはエエけんど、ぶっちゃけ キミ、金あんのかい??」

哲「ないっ(笑)でもま~なんとかなるべ♪ こちとら身ひとつだし~」

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リク「これ・・・おっと誤解するなよ、現金とチャウから。大部分のところ手続きしてある、港の作業員共済の掛け金累積と、港の互助会の払い込み金の払い戻し書類ヤ、あとはキミがハンコ押してサインすれば スグ指定の口座に振り込みが完了ヤ。2,3ヶ月は遊んでもラクに暮らせる筈ヤ♪・・・でも、 ワルいこといわない・・・充分に養生してカラダ直せヤ な?」 哲「・・・・すまねえ・・」


哲「じゃあ あばよ。もう行くわ・・ってより これでお別れだ。後の事ワルいが頼む リク」

リク「ああまかせろヤ。ただ・・・かなり後になってからでイイよって、平沼署のAさんに 礼の言葉いれとけヤ」 哲「えっ!?」
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         ああ見えて頭脳はきわめて怜悧な御仁

リク「あのヒトのこと ナメたらあかんて・・・。ぶっちゃけ 今回の傷害事件のカラクリも、オメエが今ドコにおるのかってことも、99%チャンと掴んでいやはったにちげえねえ・・・」 哲「そう・・・なのか?」

リク「おそらく・・・聴いたってゼッタイ云わんヒトやが、ケメ子さんのこと 事件化したくなかったンだろうと思う・・。理由? あのAさんもナ、ぶっちゃけ 孤独なヒトよ・・哲オメエに負けないくらい・・多分、ケメ子さんに 同類の匂いを感じたんだと思う。同時に、ナンで?哲オメエが現場から消えたか?・・・その理由と必要性も同時に理解してたんだと思う、それぐらいキレ者よ あのヒトは」 哲「・・・・」

リク「無能な警官装って、シロート探偵にカラクリを発見させ、で・・・最後に このワシって人間が、オメエの事後工作にボロが出ないうちに どこか他の土地へと逃がす事も ちゃ~んと想定済みでコッチへと話を寄越したんだ あのクソおまわり♪」

  哲太「・・・今、ようやくわかった・・・表面にけっして出さない、これがハマッ子の《人情》なんだね・・」

  リク「ああ・・。少々廻りくど過ぎて イラつくこともあるけどナ♪」

互いに目線を合わせて笑い合うのは はじめてだった。もう逢わないだろう この「最後のトキに」・・・


リク「駅まで送るデ クルマで来てるンや」

哲「え?いいよ・・・関内駅なんてスグそこだし」


リク「アホ・・・ンな同い年の人間 夜逃げ同然に見送れるかってんだ! 天下の【東京駅】までリムジンで送ったるわい♪ロールス借りてきてるんヤ♪行こ行こ!」

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           な?最後ぐらい派手に飛ばそうゼ♪

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今夜も港には小雨と霧が・・・

「春雨道中」のカウンターでは、ケメ子さんがいました。

期待通り(笑)例の事件は『無かったこと』になっちゃいました(^^;物証に乏しく なによりも 被害者である哲太が行方不明なんですから いひいひ♪


リクめと視線が合って ニコっと微笑みました。邪気のない笑顔でス このヒトのココロの内部の 女神性をたしかに感じる笑顔でした。

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『ね・・でもリクちゃん聞いて聞いて。あれこれと云われるばかりだけど、哲っちゃん・・・ああ観えてホントにけなげで可愛い イイ男だったのヨ♪』

なんか・・・そう如実に語っている フトそんな気がしました。

ケメ子さんの目線は一方で・・・哲太のフォルムに どこか似ている 店の客のオトコに注がれていましたが・・・。

 と そんな 不器用で哀しいオトコと、とても寂しきオンナの終焉のストーリーでありました はい。


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     「あたしのブギウギ」 by 浅川マキ

 独りぼっちがたえきれなくて お酒飲んで ほれほれろ

 ブギとブスとを 聴き間違えて あんた あたしを笑ったね

 つれないそぶりに あたしは惚れて 何度も何度もふり向いた


   あたしのブギウギ


 寂しそうだね 旅に出ようと 声をかける男はみんな

 風に吹かれて どこかに消えた ほんとはあたし抱かれたかった

 つれないそぶりに あたしは惚れて 何度も何度もふり向いた


   あたしのブギウギ

          13401zz.jpg


 どこかそろそろ 落ち着こうかと 小さな夢を小出しに出して

 歩きつかれた夕焼けの下 今じゃみんなウソみたい

 つれないそぶりに あたしは惚れて 何度も何度もふり向いた


   あたしのブギウギ

 http://www.youtube.com/watch?v=pXb1faONM90



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No title

なんともせつないですねえ・・・
かわいそうとか不憫とか思うことすらなんか はばかられます。
磁石のように引き合ったふたりが・・・

じつのところ 同じ極同志だったって ふとそんな気がします。

それにしても リクさんの男気あふれる 友との別れもグっ.ときますが、
おねだりAさんの先を読んだ「ハマっこの情け」に泣けました♪

いかにも

春雨のヨコハマにお似合いの しっとりした「情話」でした♪

かなしいね。相性よいはずなのに うまくいかないのがなんとも・・・

考えれば だれもが 持っている 人間としての不器用さであり、だめさ加減なのよねえ・・・
謎解きに見せた ハーツフルなお話でした☆

Re: 長生きの秘訣さんへ

 長生きの秘訣さん いつもありがとうございます♪

 同極同志 うまいこといいますね♪ まさにそんな感じ。
なんにせよ 「終わりの話」というのは せつないものでございます はい。

おねだりコンビですが、あの・・・『喰い意地のワルさ』(笑)を除けば 
リクめにとって 正義のヒーローなんでありますが(^^;
なんというか『フクザツにいいひと』でございまス。

Re: 大黒の住人(♀)さんへ

 大黒の住人(♀)さん いつもありがとうございます♪

お近くだけに 情景が浮かびますでショ?
ぶっちゃけ あのへんは ありそうでいて日本のドコにもない 稀有な風景だとわたいは気にいってまして♪

ホント、どっちが純粋か?ってなら 哲やケメ子さんらの方がボクちんなんぞより 100倍も純粋なんだと思います はい。
こちとらクチ八丁でパーパー世の中泳いでるダケかもしれません。
素直で純粋な者がバカをみない それが最高のハッピーエンドなんですが・・現実は(--)

反則だけど

おやおや?? 登場人物コメントですが、

ああいった筋の話でしたかね??あれは。

って、ま~~わかってますけど(笑)
リアルとちょいとだけ違うのはリクさんなわでわの
当事者を傷つけたくないゆえのアレンジだよね♪

でも なかなか しっとりした人情噺になってるよ♪

Re: 八百政どんへ

 すまんナ(^^; 勝手に筋いじってまって(恥)

まあ堪忍したってヤ 100%マジではシャレにもなりませんので いひいひ♪

でも だいたいノベルは8割ホンマのことやデ。
ぶっちゃけ わたいもかな~~~り あくどい事 ヤバヤバなマネしとるけん 全部書いたら 「囚人リク」まちがいなし!!(^^;
プロフィール

港のリク

Author:港のリク
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港で働く ジツはとっても気の荒い(?)アンちゃん・・・ですが、産まれついてのホルモン分解異常の関係で♂なのにEカップの胸の持ち主 という混沌としているわたしです。

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