ココロは荒くれ！カラダは乙女？？

　　　　　　　　　　　　　　　

《そいつ》は・・・たぶん　６歳の息子へのクリスマスプレゼントでしょう、いかにもクリスマス用　キレイなラッピングの荷物を抱え・・・

　　　　　　　　　　

キョロキョロと　周囲を見渡しながら、こちらの方向へと近づいて来るのでした　はい。

　　　　　　　　

そして・・そいつの目は・・・１人の、クーポン券付きのＳＨＯＰチラシを　賑わう　赤レンガ倉庫ショッピングモールの　お客らに配布している・・・

　　　　　　　　　　　

　　真っ赤な…【　ミニスカート姿の《サンタクロス　コスチューム若い女性コンパニオン》　】カノジョを認めて　近づいて行くではありませんか・・・。


　ミニスカサンタも、近づく　そいつに気付き・・・　２人の目線は　完全にロック　合致して・・・


　そしたなら・・《ガチャガチャっっ　ピイ～～っっ》って　ハウリングのデカい音と、聞き覚えのあるダミ声…

『　やかましいっっ！！緊急事態なんだ！！ジャマすっとワッパかますゾ　うらあ！！　関係者の諸君！！　聞いてくれっっ！！　事案の《合言葉》は・・・　』

　　　　　　　　　

《ナニがあったの？？》って、キョロキョロしだす　行き交う買い物客ら・・・

『よろしいか！？　【　《スクルージ》知ってる？　ヒントはディケンズ』　《ああ　クリスマス・キャロルね♪》　】　それだっ！！』

　　　　　　　　
　　　　ｽｸﾙｰｼﾞは、「クリスマスキャロル」の主人公　因業な老人


『なんだ今のは？？』って不可思議なカオをして、次の瞬間　興味を失い、聞かなかった状態に戻る群衆ら。。。


　ですが・・・ぶっちゃけ　虚を突かれて…対処も不能で　固まっている・・・１組の男女、　ミニスカサンタと・・・【　長田　一太　】

　　　　　　　　　　　

『　一太ぁぁぁ　っっ！！よりによって　テメエがかヨっっ！！　』　　『・・・っっ！！　リクさんこそナンでココに？？』

　　　　　　

背後から　Ｂさんが　制服警官５名に『アイツらだっ！！確保せよ！！』っと　号令一下。捕り物はホンの数秒で【　終了　】


　って・・・思ったのですが・・・どっこい！　この事件・・・【　もう１つの　隠れたウラがあった　】のです　はい。。。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　Ａさんが云います・・・

・・・うん　長田だが、脅されていたそうだ。。。例の　大岡川興行に　女房と子供に害を為すゾって脅されちゃ　仕方なかろって気はするが・・・
　　　　　　　　　　　　

でもヨ・・・たとえそうでも・・・犯罪に加担してしまったって、その罪状は翻らないよナ　うん・・・

おそらくは　相応の情状酌量が認められ、弁当付く（執行猶予つき判決）とは思うが、ま・・・クリスマはおろか、正月、ヘタすりゃ　節分ごろまで家には帰れないで拘留だヨ。


しかし・・・けっ！！思い出すだけで胸くそワルいヤ！！

　　　　　　　　　　
　　　　　　　自称「エリート集団」が　しゃしゃり出てきやがった…

オレらが　久々の　大手柄挙げるって寸法で進んだ　あの局面で・・・まっさか！　あの…【　公安が　】・・・オンナと長田を　かっ攫って行くとはなぁ　とほほ（泣）


　・・・あの捕り物の際・・・

マッタクの盲点でした　ええ・・・　一太と、ミニスカサンタを取り巻く空間…２０数名程の《赤の他人の群衆》・・・

しかし、ぶっちゃけ…それの　男女関係ない・・・老若も…一太とミニスカサンタの周囲を取り巻く、ジーンズの若者も、コート姿の紳士も、クリスマスの買い物途中に思われた２人組の主婦に思えるヒトも・・・

結構なお年を召しているとも見受けられる　それが・・・【　全員が《公安職員》だったのです　】。。。


統率の取れた動きは《お見事！》のひと言としか云いようがありませんでした、微塵の躊躇も無く、１２名ほどの公安職員が　二手に分かれ、一太とサンタ【　確保　】・・・

残る１０名ほどは、スクラム状に円陣を形成、逮捕のアクションを起こしていた　Ｂさん率いる所轄警官らを　行動阻止　ブロックして。。。

買い物で賑わう多くのヒトらには、マッタク気付かれることなく…公安の一団はホンの数秒間で…脱兎のごとく　容疑者確保を完了し　引き揚げていきました　はい。
　　　　　　　　　

地面の床に　残っていたのは・・・中に小切手が入っているだろう　封筒が１つ・・・そして、コインロッカーの鍵、それが残るダケでした　はい。。。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
　
　知らない　来た事も無い　建物の、人気のない１室に　呼ばれましたリクめ。ドアの前で、

　　　　　　　

『５分ダケです。容疑者の長田が、ぜひ　アナタに頼みたいことが有ると。外事４課の　クロサキさんからの口利き、次の面会は有りませんから』っと、一切の人情も感じられない、機械人形もてぇな公安職員のオトコが云います。


リク「・・・おたくらの方針、捜査にクチ出す気はありませんけど・・・長田は…脅された上ででの実行犯、それも、小切手とロッカーの鍵の交換がまだなされてはいない段階での確保でしょ？ナニも　しょっ引いて囲い込む必要んっかナイのでは？？在宅での起訴でよくなかないですか？？」

男「目標が違うのですよ　我々のサイドはね」

リク「目標　？？」

　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　『ドブ板踏んでるヤツはすっこんでろ！》って事か・・・

男「アンタが協力行為をした、警察・所轄の目的は　あくまでも覚せい剤のブツ　それの押収　それでしょ？ウチらが追っているのは、《麻薬を栽培　加工し　送り出す組織そのもの》なんですよ。言わば　国境を越える捕り物です。」

リク「・・・それが為には、他人のアブラゲでもかっ攫いますか・・・ええ？？」

男「生憎ですが、議論をする時間は有りません。心配はナイ、当方として知りたいことが済んだなら、容疑者の身柄は　県警本部に卸して差し上げますよ。まぁ　県警でも、反社会組織撲滅の為　絞られるでしょうが。じゃ　５分ですから　あまり長話は」

　　　　　　　　　　　
　　　　　　　一太はモノじゃネｴぞ　クソ野郎が。。。

リク「・・・たとえ…犯罪に加担した者でも・・・長田一太だって、人間でっせ。。。それつかまえて《卸す》なんて言い方　せんといて欲しいですナ・・・」

男「ふっ　お気に障りましたか？　以後気を付けます」


　この野郎・・・頼まれたって、ゼッタイにダチになってやらんからナ。。。
　　　　　　　　　　　
　　　　ハマ港全体　全員を貶された気がしムカついた…


　部屋の中に入りますと、若干　憔悴した　一太が机の向かい側に座っていました。コッチを見届け　笑顔を作ろうとしましたが、ヒクヒクと　ぎごおちなく頬の筋肉が動いたのみで。

リク「どや？一太…公安の　取り調べはキツいか？」

一太「すみません　リクさん・・・いえ、思っていたよりズっと…紳士的な聴取で驚いています　ええ　・・・リクさん　オレっ！！」

リク「責めないヨ　ああワシはネ。愛する家族　人質にされたら、あくまで拒否を通す度胸はワシかてあらへんって。。。」

一太「・・・・・　っっ！！」


リク「スマンが　八百政に…《キミの動機》…調べさせた...競馬のノミ屋よか　１０倍怖い、大岡川興行がケツ持ちしてる、《野球賭博業者》に、一太よ　キミは多額の　帳面上での借金抱えてた　そうだよナ？？で…唐突に　その精算を求められ、選択肢も無いキミは、ワルい連中の《使い魔》と化した・・・」

一太「・・・　バカでした　オレ・・・　っっ！！職場にバレるのも、家族に害が及ぶのも・・・恐ろしくて。。。」

　　　　　　　　　
　　　　　　誘惑に転んだ　一太よ、オメエが居たのも事実だ

リク「でもナ・・・傷口エグるようでワルいが・・・ぶっちゃけ…《タダではなかろが？？》薬物取引の《受け子》としての報酬・・・そこがヤクザ組織の巧妙で怖いとこヤ。でも勘違いするなヨ？それを責めているのではない。脅したヤローらが一番ワルいけんども、たとえ１円でも、反社会組織の側ｋら、《ギャラ》…報酬を受け取った以上は、その罪は償わないと世の道理に合わないって・・・ワシとしては　そう思うねん　ああ」

一太「・・・はい。。。　覚悟はしています。謹んで　処される罰に従う気持ちですから。　今日なんですが…ジツは　お願いしたいことが有って・・・」

リク「ふむ・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　小綺麗ではあるけど、いかにも壁が薄そうなマンション。ドアの前に立ちますと、中の会話が漏れ聞こえてきます・・・
　　　　　　　　　　　


「ねえ　ママぁ・・・パパはまだ　お家帰ってこないのぉ？」っと　６歳の男の子が。

「パパはネ・・・忙しいのヨ　今は・・・」っと、塞ぎ切った感じで　母親が子供に答えます。


「サンタさん・・・いつ来てくれるのかなあ？・・・」

「今年は来なくてもガマンするのよ　いい？」

「ちぇつまんないのぉ～・・・」


　ピンポ～ン　　『はぁい　どなた？？』

「ワシや・・・ドア開けてくれ。ンで　玄関にボーズ呼んどくれヤ」　『は？？　リクさ・・・？？』


　ガチャっっ　『　はぁい！メリークリスマス♪　《サンタのオバチャンやでぇ　いひいひ♪》』

　　　　　　　　　　　
　　　　　　せっかくの女性化(?）使えるモノは使う！（＾＾；

「わああ！！本当に！　女のヒトのサンタさんが来たああ！！」興奮する　一太の長男坊　シゲちゃん。

「はあい　シゲちゃんの欲しがってた　任天堂のゲーム機やでぇ♪プレゼントです」

「わあい！わあい！サイコーだあ！！」
　　　　　　　　　


　そして　わたいはシゲちゃんに　云いました・・・


・・・あのネ、今年のクリスマスは、世界中に　良い子がイッパイ　居てネ、

だからサンタさん　とっても！忙しいの　うん。世界中を飛び回ってる。

今　お家にパパがどうして　居ないのかわかるシゲちゃん？

「ううん　わかんな～い」


・・・それはネ…【　シゲちゃんのパパこそが《サンタクロース》だからなんだヨ・・・　】

　　　　　　　　　　

《イチタ》じゃないんヤ、シゲちゃんのパパのホントの名前はネ！《サンタ》なんだ♪　だからパパのサンタさんは今、世界中の良い子の　お家を回っていてネ、チョっとしばらく帰れないから、シゲちゃん　良い子にしてママを助けてネ！って　パパのサンタさんから伝言されてるの　うん。

「はあい！わかったあ　良い子にしますって　パパに伝えてネ　おばちゃん♪」


・・・シゲちゃん　あのネ・・・パパはサ…ホントに！勇気が有る良いヒトなんヨ、死ぬ気で　シゲちゃんと、ママの事　守ろうとしたの　うん・・・。

イジワルするヒトに、可哀そうにパパは今　責められてる。。だけど！シゲちゃんが《パパがんばれ～！》って、応援してくれるならば、パパは　けっして負けない！

だから　パパを信じて、ただいま　って、帰ってきたら・・・おかえりなさ～い！！って　飛びついてあげな♪　きっと喜ぶから　シゲちゃんのパパ。

「　うんっっ♪　」
　　　　　


声を押し殺し　泣いている　一太の女房をしり目に　ドアを閉めました　はい。


　中から　母子の会話が漏れてきます・・・

『ねぇ　ママ、サンタさんって、女のヒトだと関西弁喋るのかなあ？？　』　って・・・ありゃりゃ・・・（＾＾；


そして・・・『あのヒト・・・パパの　お友達だよネ？？　ウチに来たことある　覚えてるモン僕』


　『　パパが居ないって　寂しがってる僕の事思って　来てくれたんだよネ？？心配ないヨ　ママっ！パパ戻るまで　イッショに頑張ろう！　』


　『ボク負けないから！ともだちの　やっくんが《おまえのパパ　けいさつにつかまった悪人だ！》なんていったけど　僕信じなかった！』

　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　いい息子持ったな　一太。。。

　『世界じゅうが　パパのこと責めても…ママと僕だけは、パパの味方でいてあげようよ　ね？　そうでないと　かわいそうすぎるよパパが！』

　『・・・　シゲちゃんっっ！！　　っっ！！』

　　　　　　　　　　　　　　

　・・・ちっきしょう・・・泣かされたのは　コッチじゃねぇかってよぉ・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一太「捕り物の時です　ええ。。。公安のヒト何人にもで　羽交い絞めにされた際に、手にしていた息子へのプレゼント、ふっ飛ばしちゃいましてネ・・・ゲーム機とはいえ、精密製品だから…ディスプレイ画面にヒビが入っちゃって…」

リク「あちゃぁ～～・・・スイッチも入らん…コレ、オシャカになってルわなあ・・・」


　しゃあない・・・乗りかかった船ヤ　いっちょ　どうにかしたろ。。。


『ゲーム機本体の破損ですかぁ…それは不運でしたねぇ。。でもね、それは作ったメーカー側の責任なんです。弊社にお電話をいただいてもどうにも。。。メーカーのお客様相談室に電話をしてください。電話番号を言いますんで』って・・・身も蓋も無い　お客様相談室の声が。。。
　　　　　　　　　　　　　　　

「いや…だから！買い換えて済むモンなら、こないなデンワしませんてば！バカ売れなんでショ？そのゲーム機…どこの店探しても　あらへんのですワ、せやから　おたく、代理店の倉庫の奥にでも、１つぐらい無いかなあ？って、お頼みなんですが・・・」

『　ありません　』

・・・って、探そうって気もあらへんのやろ？　チったぁ　人情あらへんのかい　ああ？？

この　掛け合いのデンワかけている場所は、マー坊がバーテンダーしてます　ワインＢＡＲ、いつの間にか・・・あの　イチハラが背後に立っていて・・・

イチハラ「・・・相変わらず…リク、オメエは《交渉力》からっきしだなあ（呆）オレと替われ。」っと。。。


わたいはてっきり…《人喰いザメのイチハラ》電話口の向こうの相手を　さぞかしやビビられるだろうと思った・・・でも…イチハラは、おや？？　ってぐらい、静かで　優し気な口調で・・・


・・・すみません　お電話替わりました。

当方がですね、そちら代理店を経由して買ったもの、それはなんだか解りますか？　ええゲーム機ですけど、それは単に　商品名・・・

僕が買ったもの、それは・・・

　サンタクロースは、子供たちの心の中にいますよね。　子供たちは、イヴの夜、サンタに会おうと、夜更かしをするんです。

　一時間経っても二時間経っても現れる様子はないんです。

　そして、睡魔には勝てず、とうとう寝てしまいます。。。

　
そして次の朝には、枕もとにはおもちゃが置かれている。そのおもちゃを見て、

「あー、サンタは本当にいたんだー」　そう思って、心踊らされて、悦び遊ぶ。

　・・・その夢と子供たちの感動の為に、僕はお金を払ったんです。

　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　グラサンをとった　イチハラの素顔…

・・・僕がそちらで買ったもの、それはおもちゃでは無いんですよ。　【　その夢と感動です　】

だから、クリスマスに、このおもちゃで遊べる事が、どれ程大切かという事を、それだけは理解していただきたいと思うんです。


『・・・チョっと　お待ちいただけますか？　倉庫を調べてみます』って・・・相手　窓口相談員の声が漏れ聞こえました。

《有ってくれ　どうか！　有ってくれ！》今晩中　クリスマスに届けてやりたいのだ　それだけなんだ。。。

　　　　　　　　　　　　　

数分の後、イチハラはサングラスの下で　コッチを見て　ニヤリって笑い「１台　有ったってヨ♪」

わたいはそう聞いて　イチハラから受話器をひったくると、「スグ行きます！１５分で行きますから！待っててください！買います！ぜひ買わせてください！！」

そうしたなら・・・『先ほどの方にお伝えください。そうでした…私たちが売っている物はおもちゃではないんです。夢と感動なんです。忙しさにかまけて、そんな大切な物…　原点を忘れていました。それを教えてくださり、、ありがとうございまましたと・・・』　


　たとえ　世間から嫌われる　ヤクザでも・・・イチハラのように、《　一流ってのは違うものだ・・・》

　　　　　　　　　
　　　　　　今宵ばかりは『サタン＝サンタ』に花束　贈りたい…

　交渉ってのはこういうものか・・暴力や脅しての勝利は　本当の勝利では無い・・・

　交渉の相手すらをも幸福な気分にさせ動かしてみせる・・・思う　イチハラがヤクザになってなければ、どんなスゲぇ人物なっていたのだろうかって。。。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナンだ　もぉ脱いじまうのかヨ？ひと晩　その恰好でいろヨ、目の保養させてくれ（嗤）」ってイチハラ。
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　うるせぇヨ！

シゲちゃん家に　届け終わり、店の方に戻り、コスプレの　♀サンタのコスチュームを着替えているわたいに　イチハラがからかいｙがります。

「まったく・・・そのカラダしといてボコチンついてるなんて　世の皮肉だよナ。。どぉでぇ？そのカッコでオレとこの店　　出ねえか？日当３マン出すから（笑）」

「やかましわいっ！！土台ＢＯＤＹがヤセて貧弱やから、オトコ用サタ衣装が似合わないって　それだけの理由ヤ！」
　　　　　　　　　　


　イチハラが　ボソっと言います・・・

・・・でも有難うナ・・・助かったよ今回は本当に・・・

申し訳ない気がするが…その　一太サンが公安の筋に捕まって、神奈川県警の本店が当初目指してた　ヤクザ組織壊滅から…風の吹き方が《供給ルートの追及・捜査》へと変わっちゃって・・・

県警の目論見はワヤになっちまって、取引行為そのものは成立してなかったせいで、ウチの兄貴分の組も　お咎めは無し、女サンタが手に握ってた　コインロッカーの鍵は、所轄がゲット♪　８０ｋｇ超えるシャブの現物を見事挙げるって大手柄。
　　　　　　　　

結果として・・・このオレも　ココでこうやってノンビリ飲んでられる　ああ。。。

ああ？？　うんわかっているさ。スグにでも　シャバに出てくる　長田一太サンを、もぉ２度と…脅したり、ワルいシノギに利用したりしないようにって、格は兄貴分だが、大岡川興行のテッペンには《死ぬほど説教しといた》ああ。。。
　　　　　　　　　
　　　　　『　ケジメ　冒すヤツは兄貴分でも許さねぇ…』

・・・家族　人質にして実行犯させるなんてのは、それヤクザとも呼べないゼ・・・それは最低の《外道》だ・・・真っ当な社会が有ってこその　オレらヤクザ者だ、しちゃなんねぇ、ンなクソなマネは。。。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「　そういう事件がありましたよねぇ　懐かしい・・・　」っとマー坊が　遠い目をして呟きます。

　　　　　　　　　

「リクさん　それにしても・・・あの　事件の幕引きはどうなってたんでしたっけ？？一太さん逮捕が　小さく夕刊に載ったダケで、その後の続報ってのが無かったって記憶してるのですが・・・」


・・・ああ、あの事件、幕引きは全てにおいて、ワルい意味での【　政治　】へと転じたよナ　うん。。。

一太も、書類送検はされたが、結局…横浜検察庁は《不起訴》の判断を下した。
　　　　　　　

マー坊「釈放後の一太さん…《赤帽》…自営の配送業へと転身しましたよね。ウチのも利用してます、誠実な仕事する　良い業者です」

リク「シゲちゃんも　来年は高校生ってか。・・・過ぎてしまえば、案外・・・ワルくない想い出やナ♪」

マー坊「しかし・・・《政治》ってのは？　具体的にどう転んだのでしょうか？？」


　・・・ああ、それなんやけどナ・・・

少なくとも　このワシと　八百政は、《正義》とイっちゃテレるが…ヒトを容易に狂わす　恐ろしい麻薬が、市中にバラ撒かれるのを阻止すべく、まあ出来るなり頑張った。。。

だが　警察・・・所轄だろうが、県警本部だろが、あの公安だって…ぶっちゃけ、警察組織に属する　彼らにとって　より重要なのは・・・

　　　　　　　　　

　【　警察機構の中でカウントされる《点数》と・・・ドコに恩を売ったか？　って、ソロバン勘定でしか無かった　】ってことヤ　ああ。。。

リキ入れて出番ってきた　彼らに・・・《満足できる　お土産》が出来ちゃったンだお。。

隠匿場所のロッカーＫｅｙをゲットした所轄署は、大量のヤクの現物を挙げて、総本店（警視庁）より表彰されて、

一方　小切手入った封筒の方は　県警本部の手へと入り、《コレはナンだ？　え？？》って風に、孫や子の団体飛び越え、頂点に君臨する暴力団とサシで取引…たしか５つぐらいの孫団体を解散に追い込むってのを達成したって記憶してるワ。

　　　　　　　　　

で、取引実行犯のガラ　まんまと持ってきやがった　公安だが・・・なしのつぶてだっナ？おそらくだが…８０ｋｇって量のヤクを供給できる国・・・

コレはもぉ…日本海隔てた《北の共和国》それしかあらへんやん・・・勧善懲悪的な《正義》敢行するよりも…公安は《恩を売る》・・・あの　アンタッチャブルな北の共和国との、なんかしら《取引材料》に利用したのだろうってワシは　読んでる　ああ。。。


マー坊「・・・つくづく思いますよネ…イザって際になると、警察組織ってのは、オレらヤクザの倍も　エゲツない真似　平気で実行して恥じないって・・・」


　・・・ホンマや！いっちゃん大事なのは…《その事件　結末はどうなった？？》せやろ？？　ご苦労でした　あとは我々が…って、そんなん納得でけへん！


リク「でもまぁ…もぉエエか、過ぎた事やし。それにしても…あん時…　クリスマス否定派な筈の《イチハラが》・・・一太の子供、シゲちゃんのゲーム機の件で　スキル発揮してくれたのには　驚いたよなぁ。。。」

　そう呟きますと、マー坊は　クスクス…なんでか？笑って。。。

マー坊「あのですネ・・・イチハラの兄貴…《オラぁ　クリスマス大嫌れぇだ》なんて　大ウソですよ　ええ」

リク「へっ？？　そうなん？？」
　　　　　　　　　　　　　　

マー坊「クリスマスそのものも、クリスマスケーキなんかも兄貴、ジツは《大好物》です。ワンホール独りでペロって　平らげちゃうヒトでしたから兄貴♪」

リク「・・・ンなら…どぼちて？　あんな意地を張ってたのかねぇ？？」
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　珍しい　イチハラの　おちゃらけ写真

　マー坊は訥々と語り始めました。。。


・・・ぶっちゃけ　真相は判りません。　でも多分・・・イチハラの兄貴、幼・少期の思い出が絡んでいるのでは？？　って　そう思えたのです　ええ。

あの事件の時、シゲちゃんの年齢が６歳ってのがネックかも知れません。たしか・・・裕福で平和な家庭に生まれたイチハラの兄貴のご実家が・・・

《父親の逮捕》《会社の腹心部下らの裏切り》《会社の倒産》それで・・・住んでいた　お屋敷が差し押さえの上　競売にかけられた・・・それが《１２月２４日だった》・・・それではないかと。。。
　　　　　　　　


おそらくは・・・兄貴だって、シゲちゃんと同様、クリスマスに夢と希望を膨らませる少年だったって思います　ええ。。。

だけども、クリスマスシーズンになるなら、ワクワクする気持ちよりも、つらく哀しい記憶がより先立って・・・素直に聖夜を祝う気持ちになれなかった・・・

自分はですネ　リクさん・・・自分は…一見して完全無欠の渡世人に見える　イチハラの兄貴ですが・・・フトした瞬間に…兄貴が見せます【　ヒトとして　弱い部分…無邪気でやさしい少年のような部分…　】それが本当に・・・大好きでしたよ　ええ・・・　っっ！！

　　　　　　　　　

兄貴自身が　運命として…カタギの道は選べず　ヤクザと化した　その慙愧の念を・・・アナタですヨ、リクさんという、恰好の佳き素材を見つけて、ご自身が持ちうる様々な　哲学と美学を　リクさんに伝えておこうって、そう思っていたのだろうと　ええ。。。

　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　マッタクの不肖の弟子でスマンかったナ　イチハラ…

きっと兄貴のことだもの・・・シゲちゃんに、かつての自分の姿を投影したのでしょうネ。それだから…無機質な相談室の人間に、温かいココロを呼び起こす問いかけが出来得た・・・

根拠は有りません　でも…自分は　そう思えて仕方ないのです。。。


リク「たしかに・・・名演説だったよなあ・・・ガキの頃の記憶…寂しくて辛かったのやろなぁ　イチハラ・・・」


・・・だけど…こぉも思う。。。一瞬見せた　イチハラの行為のみで　全てを語るのは間違いだろうと・・・

イチハラは　やっぱ・・・ヤクザであり、ある意味で完全な《鬼》だっ。。。


やっぱ・・・かつてイチハラ、アイツが述べてた学説の通り…《サンタ》とはジツは《サタン》イチハラの　あの時・・・聖夜の慈善は、普段の《鬼》、それと　表裏一体だったのだろうか？・・・

ワシと同様、けっして　天国の門はワシらには開くことを赦さないだろうって　マジで思う・・・堕天使の《気まぐれ》…そう世間のヒトには解釈される方が　気が楽だ。。。


それと思う・・・《あの事件》で、ワシとかは　けっして英雄なんかじゃない、逆だ・・・ワシかて、横浜⇔香港ルートが閉鎖にでも追い込まれたならシャレでは済まへんやん・・・

なんとか…築いたキャリアとステータスが一瞬で　ワヤ・・・果たして、も一度ＺＥＲＯヤリ直す気力と根性は有るか？・・・

《打算と欲》…それで突き動いたに過ぎない。。。一太にのみ罪人に仕立て上げるのを任せたダケで・・・シゲちゃんのゲーム機、アレなんざ、セコい贖罪意識の行動それやん・・・


マー坊「ウエットなハナシは　置いといて・・・それにしてもリクさん？　あの事件ですが、まだ…重要な《事件の核心》が、解き明かされないまま放置されてる気がするのですが・・・」


　・・・ふむ、云わんとも判るヨ　ああ。。。

アレやろ？　《８０ｋｇものヤクが　どうやって？？…港に船揚げされたか？？》って、その手段・方法についてやろ？

　　　　　　　
　　　　それぞれ３つ部署の「狙い」が違っていたゆえ…

警察の内部対立が原因だと思うネ。所轄も、県警本部も、そして公安も、《とりああえず満足できる　お土産》それゲット出来てウハウハだったじゃん？


それゆえ、それ以上の面倒に巻き込まれないうちに、テメエとこの利益を確定して、サッサと撤収いたしましょ～♪って、ヤク持ち込み手段については、あえて　バックレやがったンだと思う・・・


な？？…《アレどうなってた？》って、言い出したなら…警察機構だけに　テメエとこの部署が、責任持って解明せなならんやんケ・・・面倒避けやがったにちげえねえ。。。


思うのだが・・・船からの持ち出しは・・・やっぱ、【　バラ屋の　一太の手によって、船出し　された　】って　そない思うねん・・・。
　　　　　　　　

あまりにも《粛々と普段通りの事務的に》厨房から搬出されたゆえ、税関も貿易検査官も　誰ひとり、疑いも抱かなかった・・・


なぁマー坊？　船の厨房にナ、未開封と思える《業務用小麦粉の袋》重量は１５ｋｇぐらいある、使われないまま古くなったので　回収。・廃棄しますって、
　　　　　　　　　　　

出入りの　バラ屋が　その作業を実行しますってなら…チョっと待て！　って呼び止め、イチイチ詳細に調べると思う？？・・・

ハマ港は　ンな悠長なヒマは無いしナ、関係者それぞれ、個々の行動は《信頼関係》で成り立っているものナ。


案外と、大胆に行われたンとチャウかなあ？？・・・仮に、その業務用メリケン粉の中身が、全部ヤクだとして・・・

たかだか　６袋分を船の厨房から搬出しちまうなら、ミッションは完了じゃん。。。


・・・しかし…ワシもカンペキに　アホアホそのものやナ（恥）まさにその実行犯であろう　一太本人捕まえてヨ・・・それの可能性について相談してたンだからヨ・・・世話ねぇヤ。。。

　　　　　　　　　　　　

マー坊「いや…きっと　リクさんにズバリ、手口を見透かされて、一太は一太で　背中で冷や汗かいてた筈です。自分思います…《一太　早期のうちに捕まって良かった！》ってね。妻子に災いがって、脅されて実行したのも事実でしょうが、おそらくは…一太自身にも、ヤクの密輸に加担するって、それの資質は有ったって思う。あのまま放置されてたなら、手のつけられない悪魔に成長していた可能性だって…」


・・・ああ　たぶんそうだろうナって思うネ　うん。今にして想えば・・・一太ってのは、想像する以上に《わるいやつ》だったのかも。。。
　　　　　　　　　　　　　　

それでも、もはや《バラ屋》をヤメた今、もぉ同様な真似は　一太は出来ない、イイやろ？これ以上の追及は。。。ヤクは社会にばら撒かれる寸前で、警察に押収されたしナ。


マー坊「そろそろ…一太の事、赦してやる気分にはなりませんか？？　あの事件以来、リクさんとは没交渉のままなのでしょう？」

リク「うん・・・個人人格としてなら、とっくに赦しているンやけどネ・・・だが…どうやろか？仮にこの場へアイツ呼んで…肩組み　やさしげな言葉かけたところで・・・ぶっちゃけ、それは　慰めでしかあらへんやろ？ココロ苦しいのは一太の方でサ。没交渉である事がアイツの為だって　そう思うねん　ああ…」

　　　　　

・・・人間は　天使の部分を持つのと同時に、悪魔もイッショにココロの深い部分に　飼っているンだと思う。本来　善人である筈が、なにかをキッカケに　悪事を為す生き物へと豹変する・・・
　
クリスマスのシーズンになると、フト…そういう事を考えてしまうよナ？　ディケンズが《クリスマスキャロル》を描いた動機も　それだったのかも。。。

カミさんと息子を愛する　善良な労働者である一太に間違いなど無いが…魔が…刺したのかなあ？？　おナミダと感動では済まない、今回のコレこそが【　浜風ミステリー　】それの核心なんだ　うん。


それでも・・・《事のすべてを》…　白日の下に晒すって事が、ワシは、それが《正義》だとは　けっして思わん・・・ンなのはマスターベーションの　独りよがり…

露見せず終わった　謎と秘密は・・・迷宮の闇の底へ　今回の謎は…廃棄して　終わりとするのが最良の策だとは思わないかマー坊？？
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　ホロ苦い気持ち抱えたまま『帰ろ』。。。


　しかし　やたらウマいなこれ。。。マーちゃん、グリューワイン　もう一杯ナ。。。


　　　　　　　　　　《　　完　　》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Glenn Frey -　【　 Smuggler's Blues　（運び屋のブルース）　】



　There's trouble on the streets tonight
　I can feel it in my bones, I had a premonition
　That he should not go alone

　I knew the gun was loaded
　But I didn't think he'd kill
　Everything exploded, and the blood began to spill

　So baby, here's your ticket
　Put the suitcase in your hand, here's a little money now
　Do it just the way we planned
　You be cool for twenty hours, and I'll pay you twenty grand

　I'm sorry it went down like this
　And someone had to lose, it's the nature of the business
　It's the smuggler's blues, smuggler's blues
　The sailors and pilots, the soldiers and the law
　The pay-offs and the rip-offs and the things nobody saw
　No matter if it's heroin, cocaine, or hash
　You've got to carry weapons, 'cause you always carry cash

　here's lots of shady characters, lots of dirty deals
　Ev'ry name's an alias, in case somebody squeals
　It's the lure of easy money, it's got a very strong appeal

　Perhaps you'd understand it better
　Standin' in my shoes, it's the ultimate enticement
　It's the smuggler's blues, smuggler's blues

　You see it in the headlines, you hear it ev'ry day
　They say they're gonna stop it but it doesn't go away
　They move it through Miami, sell it in L.A.
　They hide it up in Telluride, I mean it's here to stay

　It's propping up the governments in Columbia and Peru
　You ask any D.E.A. man, he'll say there's nothin' we can do
　From the office of the President
　Right down to me and you, me and you

　It's a losing proposition but one you can't refuse
　It's the politics of contraband
　It's the smuggler's blues, smuggler's blues


　今夜　ぜってぇ　通りでトラブルになるって思ってた

　オレはそれを予感する感じでさ　成り行きをビビって待ってたんだ　ああ

　相棒を一人で行かせるべきではないってこともナ
　　　　

　銃がリロードされるとは知っていた　でもまさか　アイツが殺されるとはな・・・

　すべてがハジケて、血はこぼれはじめたのたのさ。。。


　ヘイベイビー　コレがオメエの飛行機チケットだ

　スーツケースにチョイと細工をして欲しいのサ　カネも少しはアルからナ

　そう　オイラのプラン通りに動くのサ　いいな？

　20時間、イイ子で居るなら　２万ドル　オメエはゲット出来るんだ　最高だろ♪


　相棒よ　許してくんな、こぉなっちまってマジで悔やんでる　ああ

　　　　

　でも誰かが負ける必要があり、それはオレらのビジネスの性質なんだ

　それが密輸者のブルース、運び屋　売人のブルースさ


　船員とパイロット、兵士、および法律　誰も見てねぇ　支払と盗みとブツ

　ヘロイン、コカイン、またはハッシュ　ナンであれ　さほどの違いはネエさ

　アンタらが武器を運ぶように、そんで　いつもアンタが現金を運ぶのと同じ　周囲にオレらが徘徊する


　数えきれない日陰の文字があるように、、たくさんの汚い取引があるのサ

　善良なお方らが悲鳴を挙げちゃマズいから、（遺体と化した）オレらの名前は常に《氏名不詳》なのサ

　ホンの一瞬で儲けるイージーなカネの魅力には　ダレも逆らえない程強力なのさ　ああ

　それはたぶん、オメエだって十分に理解してるだろ　違うか？

　それに打ち勝てる奴が居るなら連れてこい　マジでもっての究極の誘惑じゃんか

　そぉヨ　それこそが　密輸者のブルース、運び屋　売人のブルースさ


　（ＣＮＮ）ヘッドライン見てみなって、毎朝載ってるゼ

　彼らは、それらがそれを止めねばってホザいてっけど、ぶっちゃけ　出来る訳がナイじゃん（笑）

　マイアミを通してそれを動かし、L.A.で捌く　オレらに実体は無い

　隠す場所や手段なんか　お手のモンだって　容易にアシがつくドジなんざ踏まねぇって！


　だってコロンビアとペルーあたりじゃナ、国家を支える　重要な財源でもアルのだゼ？

　マッシロで清潔な手をした人間なんて　居ねぇのサ　みんなドコだかの部分でツルんでる・・・

　それはヨ　大統領のオフィスから　オメエやオレ…　そういうレベルの生き物まで　イッショだってこった
　　　　


　判っているサ、勝ち目の薄い勝負にゃ違いネエんだけどサ　拒む事は　もっと出来ねえ・・・

　それは密輸の《政治》でもアルってことかナ・・・

　そう…それは密輸者のブルース、運び屋　売人のブルースなのだから。。。


　https://www.youtube.com/watch?v=LSXKyHM133c