ココロは荒くれ！カラダは乙女？？

あなた・・・「リクさん」でしたっけ？　自己紹介をお許しください。わたしゃア　行儀よく財産もあり、かつ気前もよい男です。わたしはこれまで　この港に居続け、色んな時代　色んな人間の希望も絶望にも立ち会ってきました。
「ダレだアンタは？？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

この街もスッカリこの国の中においても、オシャレな都市の代表って風に成りあがったモンですよ・・・皆　この街でナニが起きたか？ドレだけの人間の「血」が流れたのか？　それを忘れてしまったか？忘れたフリをしているのか？それとも本当に知っちゃあいないのか？？
　　　　　　　　　　　　　

事の始まりそのものが、ロクなモンじゃあございませんのだから笑ってしまいます。
今の　大さん橋を建設するときなんざアナタ・・・記録しているだけで数百人以上の、「苦力（クーリー）」っていう　中国人労働者・・・もちろんその半分は難民やら密入国者ですヨ、そいつらを死なせたことやら。元々が　小船の発着しかなかったシケた漁村を　大型艦船の波止場にしようってンで、人海戦術でもって港付近を一大しゅんせつ工事するんですから　ムチャな話ですよアハハ・・・
「だからアンタはダレなんだ？？」

ヨコハマの中華街ってのも、本当に一等観光地ですナ、出来た頃はネ・・・あの辺一帯　沼地でそりゃあヒドい環境だったんですゼ。毎年　冬にはスペイン風邪　夏にはコレラが発生して道には中国人の死体がゴロゴロしてたモンですよ。あんまり放置される遺体が多いので、衛生上問題としての解決策として　今の関帝廟が建設されたのでさア。え？病気の治癒祈願のためかって？？アハハ、アンタもヒトがイイねエ・・そんな宗教的な目的じゃあ有りません、放置された遺体に食らいつくネズミの発生を一箇所に限定したいっていう、つまりが「人間のゴミ捨て場」の建設ですよって。
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　昔の中華街・・ディスコとナイトクラブと食堂がゴッタ煮です
　
中国じゃあ　『サンバソウ』っていってネ、３つの刃物・・・ハサミ・ハリ・包丁・・・つまりが　床屋のハサミ、洋裁屋のハリ、料理屋の包丁　って、それで身を立てるべく皆　大陸から日本を目指してやってきたんですが、中国人って、アイツら世界中ドコに行こうが同じなんですが、ゴキブリ並みの生命力で　その国のその土地に根付くんですがネ、自分たち中国人ダケのコミュニティー作り上げて、ある意味フラチにも　行った国の住人すらを追い出す真似しますから、ことさらその当時の日本人が差別したんではなくて、世界中のアチコチで嫌われまくっていたのが正解ですヨ。あ・・・ちなみにゴキブリって・・・あれ、中国人の人的な移動にピッタリ！比例しますからアハハ♪　本当ですって、中国人が未だに入り込んでいない数少ない世界の都市には　ゴキブリはマジにおりませんのですから、まア、だからって　こういう研究しても、あの　ダイナマイトや数多くの殺人兵器造り出した　死の商人の親方による　罪滅ぼしパフォーマンスの賞は貰えないでしょうがネ♪
「いったい　テメエっちはドコのどいつだ？？」
　　　　　　　　　　　　　　　　

あの大正の　関東大地震？　アレも悲惨でしたよ　この一帯。なんせ港の方から吹いてくる　浜風が火災の勢いを更に大きくしちゃって・・何千人ものヒトが　火に追われて必死に逃げ惑う・・・まさに地獄の火責めの光景が、この現世に出現したわけです。かくいうあたしゃア　見慣れた光景ですがネ・・・今の開港記念館に県立博物館の建物も当時はレンガ造りでしてネ、火災の火そのものからは逃れたはいいのですが、なんせあたり一面大火災じゃないですか？・・・わかりますこの意味が？？・・・そうそうご理解が早いですナ♪　逃げこんだレンガの建物そのものが『レンガのオーブン』となっちゃって・・・中に逃げ込んだ人間はほぼ全員『蒸し焼き』です。地元民なら知らないヤツはいない一種の怪談ですが、今でも県立博物館なんかは、真夜中に　館内に人が叫ぶ声や、壁をガリガリとツメでひっかくかのような音がするってネ、あなたも当然知ってますよネ？公式的な県庁の発表では、ボイラー管の振動が反響した結果である・・なんていっとりましたが、笑っちゃいますよね、ドコのバカが真夜中でダレ一人いない建物のなかでボイラー使うってんでしょう？？てんで説明になってません。
「本当にオメエはダレなんだよ　おい・・・？？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

第二次世界大戦中もヒドイもんでしたヨ　この一帯も。
事実　世界中のスパイが跋扈している一大陰謀の土地でしたからネ。
当時　短絡的な日本人は　金髪で青い目の外人は全て敵ってな早合点してましたが、事実として　例えばイタリアやドイツなんぞとは同盟国ですから、外人の全員は取り締まれない。それに　スパイっていうのは大概、二重スパイ　三重スパイって感じで　まさかの場合にそなえて保険かけてますから、ある意味　同盟国の諜報機関関係の人間が一番怪しかったんではないか？と、あたしとしては推理しておるのですがネ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

まア　とにかく日本は戦争で負けました。二十歳前後の若者に、今で言う「自爆テロ」強制しているよな国が・・・『ディナー後のデザートのアイスクリームがおいしくない！』っていうのが当時における軍隊での一番の問題だったっていうよな　あのアメリカ相手に　こりゃあ物理的にいっても勝てるわけは無いんで、逆によく　４年間も持ちこたえたものです♪　当時と状況は違いますが、アメリカと戦ったのが　北朝鮮だったら、一週間で白旗揚げてますってあいつらなら。
「お前はダレなんだ？？　すべてを見たのか？？」
　　

朝鮮戦争特需もあり、日本も高度成長の兆しが出始めた頃も、正直この街はデタラメとインチキにまみれていましたゼ。なんせ日本中のインチキ輸入品が、ヨコハマって場所に持ち込めば　さもホンモノらしく見えて捌けちゃうんですから、いわゆる『木の葉は森に隠せ』ですネ♪　サギ師には泣けてくる場所です♪　警察力が浸透した東京都内に比べ、ヨコハマは　言ってみるなら『無法地帯』もいいとこで・・・路地裏のラーメン屋のおやじが、自衛の為　ごくフツーにリボルバーの拳銃持ってますし、米軍基地経由で流れてくる闇の洋モク売ってるとこなら　ほぼ１００％一緒に　覚せい剤も扱ってましたナ・・・。ブドウ糖とカタクリ粉で　純度２５％とか、信じられないほど水割りさせた代物でしたがネ♪　ホラ・・アナタ、映画好きでショ？　黒澤明が監督した『天国と地獄』・・・、あの劇中に描かれた　麻薬街の光景は本当です・・・警察の刑事すらビビって入れない　ある意味麻薬と暴力と売春の　治外法権がリッパに存在していたんですナ。立憲国家の闇の部分です。
　　　　　　　　　　　　　　

「古きよき昭和」たって、「サザエさん」に描かれた風景ばかりが　昭和ではナイんですゼ、ノスタルジーだけでは済まない　淫猥で不潔で、不法で暴力的な昭和も　これもまた真実の姿なんですってば　おわかりかな？
「いったいナニが云いたいんだよ　てめえ・・・」
　　　　　　　　　　　　　　　

ヨコハマはなんといおうと、港や波止場で富を築き上げたエリアですナ、アホみたいに馬鹿デカい南米とかからの貨物船からそれこそ人海戦術で、砂糖やら粉やらセメントの袋やらを沖仲仕がおろしている光景が昨日のようです・・・。あの当時　威勢のいいこといってた連中、ドコに消えたんですかねえ？？・・・物事を斜に構えて　未来なんか見据えもしないやつらでしたからネ、今頃はとっくにクタバったか？もしくは特養ホームですかナ♪
ヨコハマも神戸港も、高度成長時代の象徴みたいなモノでしたが、今やその座は　上海や仁川にとって替わられていますナ、ま・・コレはいたしかないこと、歴史の変遷、「流れ」ってやつで、時間と同様　とめようがないことだから、嘆いても焦っても意味がありませんヤ。
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　
いつの時代も　勝ったの負けたのってのはネ・・・パーマネントされたモンじゃなくって、１つのコマで全体がクルクルひっくり返るオセロゲームのようなモンですから、ヤル気さえあればどうにでもなるなんてお為ごかしを本気で信じない事です、現場の人間は損をするだけです。
大きな組織の中で神経と身体スリ切らせてクタバる連中も・・オレは歯車にはならんて気取って、最後にゃ野垂れ死にする連中も、離れた高みから見ればドッチも一緒に過ぎないんですヨ、本当に滑稽な存在だと思いますよ人間ってものは♪
「・・・・」
　　　　　　　　　　　　　　



『おジイちゃ～ん！ココにいたの！？ダメじゃない！ホンのちょっとしたスキにひとりで出歩いちゃア』

まだアタシの正体がおわかりになりませんか？？あたしゃある意味で　神でもあれば悪魔でもある・・でも同時に、アンタたち、凡庸なる者の代表でもあるんだからネ♪
そう　あたしゃア　全世界の凡庸なる者の王者だヨ♪　王者として云う・・アンタの凡庸さを許そう・・能力も意味すらないアンタの凡庸さの罪を許してやろう・・・

『ど～もすいませ～ん！話し相手でスッカリお時間とらせてしまったみたいで。どーも最近　ヒトが恋しいようなのでこのヒト♪』

お若いの、わかるかネ？・・・アタシの云う事・・・・・・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

『さアさ！早く施設に戻らないと　３時のオヤツの時間終わっちゃいますからネ♪　はい、押しますよ車椅子・・』


・・・あの『痴呆老人』は、単なるタイクツしのぎにリクめを捕まえ、御託宣を吐き出したダケかもしれない・・・
だけど・・・この世に　神様・・・あるいは　悪魔・・・それなどが本当に居るとするならば・・・
今の　あの年寄りがのたまったこととほぼ同じような内容の事を呟くのではないか？？

人間って、《自分》というドラマの中では主役だけども・・・
永い時間の軸と、マクロな歴史や社会の流れの上では、ごくごくちっぽけで、きわめて無力な存在なのかも・・・。