学校や職場、近隣同士やあるいは親戚関係・・・
世の中 考えてみれば ありとあらゆる現場には「イジメ」が存在しますネ・・
この問題は追求すればするほど ズブズブの底なし沼みたいなところがありますし、
どんな結論を導こうと 極論付けると それはきまってかえってランボーなものになっちゃいますよネ、
だもんで あまりDeepなモノではなく、ごくごくライトな感じでの「イジメ」についての物言いです。
他人を精神的に絶望のふちに追い込んだり、あるいは金銭的、社会名声的に窮地に追い込むようなシャレにならないイジメでない限り、
世の中全体から イジメってものを根絶するって考え方はハッキリいって まずムリでしょーネ。
とくに ごく軽い程度のイジメは、友人関係なんかでは親愛の情のほうが多かったり、
恋人や夫婦関係なんかでは、恋愛の会話やSEXの上での ある意味で「媚薬」だったりもします。
それに、イジメを「受ける」ほうにしてみれば モチロン殆どの場合、あるよりナイほうがイイにきまっていますが、
それでも・・イジメてくれてもイイから 自分に少しでも関心をもって接して欲しいという 例を実際にリクめは知っています。
今を遡る 20年以上も前・・産まれ故郷の京都も片田舎の町でした。
ひとくちに「京都」といっても、左京区や右京区にお住まいのヒトからは「けっ!あないなトコ 京都とちゃいまんがな!」っと、まるでキタナイものでも指すように忌み嫌われてる(^^; 日本海に面した一応は観光地でしたが。
小学生のころのリクめは まるっきり凡庸なる少年でおました、まだ女性化も起きてませんから ホントなにも特徴のないボケーっとした小僧でした。
その当時から どちらかというと、自然科学よりも社会科学のほーがスキで、町に自転車で出かけては 街の風俗とゆーか、
オッチャン、おばさんの会話とか、小さいながらも港があり、その作業を飽きもせず見てるのがスキでした。
町の中心から そのコロの我が家に帰る道すがらに通過する とある一角に『たから部』って通称される20世帯ほどの集落がありました。
「たから」ってくらいだから、縁起のよいネーミングに思えますが その逆で・・
集落が起きて以来 なーンも良いことなどつぞ起こらず、なんか起きても悲劇や事件ばかり、土地の地質もヤセ細っていて 種をまいても収穫は殆どなく 利用価値のない場所です、
それゆえ、いわば 逆の皮肉の意味で「たから」と云われてました、「部(べ)」は、いわゆる特殊部落を指します。
まー、今の日本にと思うかもしれませんが、東京や大阪といった大都市の常識がそのまま適用されない旧態依然とした地域ってのは未だにあり、
リクの産まれ故郷なんぞ その代表ともいえました、その「たから部」なんかに住んでいようものなら、本人の性格や資質は関係なく、
「アイツ たから者 やど・・」っと、根拠もなく後ろ指を差され、あってはいけないことですが、地元でも就職や進学にも不利という有様でした。
子供であるリクらにしても、親や近隣のおじさんおばさんからは口々に「アソコの人間とはナニがあろうと関わり持つなヨ、子供同士でもクチ聞いたらアカんえ」と教育されていました、当時はそれが差別ともナンとも思っていませんでした。
こにゃにゃちわ ジツは 人生初! 接待ゴルフに行きまして・・・
(本文の内容と まるで関係ありまへん)
そこに「アイツ」は住んでいました・・
アイツの家は お世辞にもキレイな家が一軒とてない その地域でも、おそらくイチバン小さくコ汚いバラック同然の掘っ立て小屋でした。
ある意味 イナバ物置にでも住んでいるほうがよっぽど快適だったかもしれませんので、そのボロさ加減は想像がつくでしょう。
ただ、アイツの そのボロい家の前には、ボロ屋にはふさわしくない 手作りの「砂場」が作ってあって、
小学生の男児には ケッコー魅力的な構図に映るのですが、なにせ たから部地区の砂場なんかには気味悪くて触れない って ある種の差別意識が幼いリクにもあったのは否定しません。
カッコだけは一人前なのですが・・・どーもゴルフの才能は微塵もナイよーで(TT)
アイツは いつも その自宅前の砂場で ひとりぽっちで 砂遊びをしていました。
ガリガリに痩せていて 背も小さいヤツでした。愛嬌のアル クリっとした目鼻立ちで、都会に生まれていたなら学校でも人気者になれるタイプっだったと思います。
でも、こんな田舎の町では その部落に住んでいるという理由だけで 良いところの全てが否定されてしまうものなのです。
学年は一年下のヤツでしたが、後になってきてわかった事実として、その「アイツ」は本来は同級生の「はず」だったということで・・
「はず」というのは・・結局の根源は「貧困」です・・この地区に移り住むまでの期間、アイツの家はアチコチで苦労したらしく、
経済的な問題で、アイツ、そしてその2歳年かさの姉も、小学校に就学させられるのが一年ずつ遅れてしまったということでした。
冬も本格的な兆しを見せる とある日の午後、リクめはいつもの「街の視察」からの帰り(笑)
アイツの家の前を通りかかると、やっぱり今日も今日とて アイツは砂場で お城をつくって遊んでいました。
おそらくは一緒に遊ぶ仲間はひとりとしていなかったのだろうと思います、いつも独りでした。
楽しそうには正直思われず、かといって飽きるでもなく、アイツはただただ無心に小さな手で 不恰好な砂のお城を築いていました。
それをなんとはなしにリクは眺めていましたが・・・衛生的に考えるなら、砂の入れ替えなぞ絶対にしてない不潔でごくごく小さな砂場ですが、
それを「独占」して愉しんでいるアイツが・・ナマイキな・・なんかムカツく・・という、今にしてみれば ナンであんな気持ちになったのかも判然としない とても残酷な気持ちがリクめにフト芽生えてきました。
呼びかけるでもなく リクは アイツの後ろから近寄ると、「え~い!!」っと、その築いていた不恰好な砂のお城を根こそぎ壊してやりました・・・
その瞬間・・アイツはビクッとして、一瞬だけ 悲しいというよりも せつない、もしくは むなしげな表情を見せました、
しかし 次の瞬間からは 石の様に、あるいは彫刻のように 一切の表情を表すことなく、リクの乱行に怒るでも怯えるでもなく、ただ ナニがあろうとそこに黙って立ちすくすようにジっと押し黙っていました。
同じ組のヒトらに「帰れ この百姓!」とか「公園でゲートボールしてろ」とか
サンザン罵られ あまりといえばあんまりな くっくっく(TT)
「へへ~ンだ ざまあみんかい♪」捨て台詞を残してリクは 自転車に飛び乗り立ち去りましたが・・
しばらく距離を置いて さっきの砂場を振り返り見ますと、アイツの小さな姿が、ぽつねんと立ち尽くすのに飽きたのか、再び お城を築き始めようとしているのが見えました。
それはまるで、巣を壊されたアリが事実を受け止めた次の瞬間、悲しむでもなく怒るでもなく またもやせっせと巣作りにいそしむその姿にどこか似ているような気がしました。
家に帰り、夕食や風呂も済んでひとりになったリクは自分の勉強机に座って 今日の事を思い返していました。
正直 砂のお城を壊した行為自体の反省とかは感じませんでした。壊したといっても 所詮は砂で固めた造形物モドキにすぎません、
それよりも・・砂の城を壊したときの アイツが見せた あのせつなくて 表情を失った無力的な能面のような顔・・・
抗議するでもなく、恨むでもなく、ただただその状況を受け入れるように無抵抗で・・・
それでも 自分はあの瞬間において、確実にアイツの夢と、希望の灯火みたいなモノを否定して、踏みつけ傷つけたに違いない・・・
アイツがホンの一瞬だけ見せた あのせつなげな表情が、リクのココロに突き刺さりザラザラとして、そしてキューっと何故だか胸がしめつけられ 痛い・・ココロが痛い。
アイツは次の日も 砂場にいた・・・
まるで こちらが来るのを待っているかのように・・・。
昨日とまるで同じ 不細工な砂の城をこさえて、心なしか 《また今日も壊してよ》とでもいいたげに・・・
で・・昨日とまったく同じように、その城をケリ壊して・・同じように 一瞬せつなそうに固まり アイツがぽつねんと立ちすくし・・
ですが・・・壊すことによってカタルシスを得る立場であるはずのリクはというと、コレが勝手ですが楽しくもなんともなくて・・
えいっ!えいっ!と砂の城を壊していくたびに 逆に自分のココロがボロボロとささくれていく気分に陥り・・・
やるせない気分が昂じた挙句に リクはついにアイツの頭を抱えてポカポカ殴りはじめていました。
それでもアイツは、ただただ無抵抗に 殴られている事実そのものだけをただただ受け入れ、ジっとしているだけです・・
「やめてくれ」とも「いたいよ」とも云いません・・・
リクは殴っているうちに、ジツは負けているのはリクのほうであって、アイツがホントの勝者であるような錯覚に陥りちょっと動転してきました。
フト視線を感じ・・傍らに目をやると、アイツの二歳年上の姉が青ざめた顔つきでジっとコッチを見つめていた。
やはり痩せこけていますが、顔立ちはというと 地方としては珍しいほどの いわゆるキリっとした顔つきの美少女でした。
この姉も やはり学校では たからの者という理由で、周囲から浮きあがり 親しく遊ぶ仲間もひとりとしていない模様でありました。
学校の休み時間においても、こいつら姉弟は 他の子達の遊びの輪には加われないので いつも姉と弟の二人で、校庭の端っこに面した小川に向かって なぜかいつでも二人一生懸命に小石を飽きもせず投げ続けているのをよく見かけていました
一回も言葉も交わしたことはありませんでしたが、顔立ちは整っていても、着ているセーターは伸びきっていてスカートはつんつるてん、
長めに伸ばした髪の前髪は 母親がカットしたのか お世辞にも 揃っているとは言えずイビツで まさにヒドい言い方ですが「貧乏絵に描いた」子供たちでした。
この姉も 弟がリクめにボコボコにされているを直視しているのですが、だからといって「ヤメて」のひとことも云いません。
ただただジっと、まるで野生の草食動物が人間に出くわしたときのように、表情を作らず かといって少しもコチラから視線を話さず凝視しています。
その姉の視線がもつ 無言の圧力とでも云うべきものについ圧倒されたリクは、アイツを放り投げるように手放し、急いで自転車の飛び乗り遁走しました。
しまいにゃハダカにむかれて・・・(ウソだよ~ン)
100メートルも走ってから・・リクのココロに押し寄せてきた感情は・・《オマエは無抵抗の弱きものを傷つけ、その姉のココロまでも悲しませたのだ》という自責の念でした・・。
その自責のココロは 小学生にとっては耐え難い罪の意識となり次第に胸の中の波紋が広がっていきます・・
殴ってしまったアイツははたして大丈夫かな?と 勝手ともいえる心配の気持ちで おそるおそる またアイツの家の方まで戻りますと、
姉弟は もう家屋の中に入っておりました。アチコチをセロテープで補修してある窓ガラスから中を覗いてみますと、
姉が弟を救急箱をもってきてケガの手当てをしてあげていました。消毒薬がしみるのか 弟はカオをしかめていましたが、
不思議にも それでいながら、ある意味で屈託なさそうに笑顔を浮かべていました。一種の泣き笑いです。
そのとき 姉の方だけがリクの視線に気づき、コチラに視線を寄こしました。
怒っている風でもなく、悲しんでいるようにも感じません・・ただ・・そのとき感じたことは・・
このような行為に及ぶリクのことを 逆に彼女は 哀れみ・・・残念だ と、心底思っているに間違いないと直感的に確信しました。
殴って傷つけたのはコチラなのに、気分は1つも盛り上がることなく、まるで絶対敗者のような気分で重い足を引きずり自宅へと帰りました。
その日は もうじきクリスマスという時期で、リクの家では 父親の仕事の日程により、その晩にチキンとケーキを日程切り上げで食べてしまおう ということになっており、
いっぱいのご馳走が食卓をしめていましたが、先ほどの気分を引きずるリクは1つもおいしく感じず気分的に盛り上がらないままでした。
アイツの家は 両親ともが共稼ぎで相当に遅い時間に帰って来るらしく 両親の顔は一度として見た事すらありません、
北風吹きすさぶ今夜も 姉と弟ふたりで、きっと貧しくつましい夕食を寂しく食べるのでしょう・・今日だけではなく 明日の晩も その次の日も・・・。
寝る時間になって フトンに入っても、今日の出来事が何度もオーバーラップして、自責の念と後悔でなかなか寝付けませんでした。
このせつなく 物悲しい気分っていうのはナンなんだろうか?? どうしてこんなにも胸を締めつけるこの感情というのはナンなんだろう??
戸外に吹きすさぶ 冬の日本海特有の海鳴りを含んだ嵐のような風の音が 眠れないココロをさらにザラザラとヤスリでこすられている気分だったことは今になってもハッキリと記憶しています。
次の日は 冬場の終業式の前日でした。ホンの少し早めに学校に行ったリクは、校庭の端っこへと行ってみました、
いつものようにいつもの光景で 先の姉弟が小川に向かって小石を投げています。
ココロの中ではいろんな言葉が渦を巻いて 今にもクチから飛び出してバクハツしそうなのですが、実際にはナニも云えずにいます、
結果として無言で、二人に近づいたリクは、足元の小石を拾い 姉弟を真似るように川に向かい投げました。
ふたりは一瞬ビックリしたように硬直しましたが・・・「ええの?あんた」とダケ小さく呟き、納得したかのようにまた彼らも小石を拾い投げ続けました。
「うん エエんや」っとリク。3人が交わした会話といえばそれだけ・・ウマくは未だに云えませんが スカっとして気分がとてもよかったです、
大人の社会が作り上げたレッテルとか、社会の壁みたいなモノを まだ幼い子供である我々3人が見事ブチ壊してみせた気分がして 少なくともその瞬間においては ボクらはもっとも幸福な子供であったと信じています。
日本人が少しずつ 豊かさへの階段を昇っていったように、この たから部地区も 次第次第にですが、文化的な生活を営めるヒトが増加して、
今では ごく普通のチョっとだけ郊外の住宅街となり、ホンの一昔前 ココが被差別部落であったことがウソのようになっております。
お気づきのヒトもいるかと思いますが・・リクめに砂の城を壊され ボコられた弟というのは、そーアイツです(笑) 旧友の「ルル」嬢。
姉の方は・・ジツはココだけの話・・もう少し後になってから リクめの 初キスの相手となりますだ(^^;;
残念ながら 肉体関係にまではいけなかった惜しい惜しい・・。でも、ヤってたと考えるなら・・弟である あの極悪ニューハーフにタカりにタカられて破滅してた可能盛大だワ(笑)
今夜はヤケ酒だ (^^;