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荒くれ文学館【 丹下左膳 】の巻

リクでス さてさて♪ 
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テメエの道楽でもアリます 「荒くれ文学館」今回は

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 【 丹下左膳 】なのでありますが♪

コレは幸運♪ 「青空文庫」 http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person290.html

にも載っていてココにて無料で読めます♪ おヒマな際 ご覧いただきたいのでございますが。

正直なところ・・・いささか「手に垢がつき過ぎた」って感じの、いかにも『おなじみ 時代劇十八番』ってな感慨もアルにはアル。

しかしでス・・・この丹下左膳ほど、『知ってるようで ジツはゼンゼンなんも知らないまま』ってのもある意味珍しい。

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        「げに異様なる風貌」のみが有名で・・

世のみなちゃまがご存知なのは、ジツのところ、その「原作」とは完全に遊離した、

『アレンジされつくした亜流の丹下左膳 像』それを日本人の多くは ぶっちゃけ 正しい解釈であるって混同してますのだ うむうむ。

単なるストーカーでありド変態だった バットマン(ホントなんス)がいつしかTV版で正義のヒーローと化し、

日本でも ゴジラが次第に「正義の味方」「子供の味方」って風に 存在そのもののスタイルを変えていったのとどこか似ております はい。


それゆえ・・今回は この【 本来の 丹下左膳 像 】をば 小説のストーリーよりも前面にご紹介させていただきます はい。


この左膳 もともとの登場ってのは ジツのところ 主役でもナンでもなくて・・・

「新版大岡政談・鈴川源十郎の巻」って小説の中に出てくる 特異的にして強烈な脇役キャラクターの一人に過ぎなかったんス。

むしろ『完全な悪役キャラ』に近いスタイルでの登場でス。

将軍家由来の価値のある「陣刀」を・・『この刀は、去年 剣術大会で最後まで勝ち残ったオレさまに与えられて当然の賞品なのだ』

ってなヘ理屈で、チョ~強引に強奪して消えるって、マッタクもって 周囲へ恐怖と不条理を与えるダケの 怪人でしてネ・・

で、左膳の 右腕が失われているのも どうやら、その「剣術大会」の際みたいで(そのへんが曖昧なまま)左膳の腕を切り落としたのが どうも・・北辰一刀流の千葉周作では??って、ミステリー仕立てにもなってます はい。
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だけど やっぱ当時からあたまイイってか、目端の利くヒトは居た。単純に大岡政談ってより、この丹下左膳をピックUPして 映画にした方のが よりインパクト十分だ♪って賭けに出て 作られた映画が、

ぶっちゃけ 当時の日本人で 知らない者が居ないってぐらい大ヒットしましてネ。

本来「スピンオフ ストーリー」が ひとり歩きしてしまったって 典型的事例ですわナ うむうむ・・・
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    有名な「座頭市」も元は子母澤寛の短編で

『あしたのジョー』での 「力石徹」が思ってもなかった大ブレイクしたのとどこか似ている感じがします はい。


それと・・・調べました限りにおいてですが、この 丹下左膳ってのは、日本の 時代劇分野における 『イチバン最初の アンチ・ヒーロー』であったと・・・。

ホントでス、講談や歌舞伎でも有名な「不知火検校」や「河内山宗春」って方のが旧そうに思えますが、

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      歌舞伎には『白波五人男』がアリましたけども

ジツは、これらの「作品における人間像」っていうのは、やっぱ戦前に映画化されるトキに、ぶっちゃけ かな~りアレンジされたモノのようでおましてネ。

ぶっちゃけ その『元ネタ』に相当したのが この丹下左膳にちげえねえ ってのはあきらかで♪



 さっきの雷鳴で、雨は、カラッと霽はれた。
 往来の水たまりに、星がうつっている。いつもなら、爪紅つまべにさした品川女郎衆の、素あしなまめかしいよい闇だけれど。
 今宵は。
 問屋場の油障子に、ぱっとあかるく灯がはえて、右往左往する人かげ。ものものしい宿場役人の提灯がズラリとならび、(こけ猿 の巻 より)

ね?チョイとこの作品ですが『コレ 本当に時代劇小説か??』って書き出しって思いませんか?

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      むしろアメリカンハードボイルドにより近いかも

いかにも つっけんどん っていうか、江戸的情緒も無ければ 余計な描写はいっさい省く。ジツのところ そっちの方こそが 読み手 聞き手のイマジネーションは より活発に動き出すものでして。

料理でいうなら すっごく!ウマい鮭なんかを ただ焼いて、薬味とかをぼーん!って放り出して・・・

『後はテメエで勝手にアレンジするなり 勝手に食え!』って、マルで およねママの『ぼったくり』酒場のような雰囲気で(笑)あえて放置するがゆえの「やさしさ」みたいなモノをわたくし感じます はい。
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      しかし・・あの垂涎の『鮭児』が出てくる「暴力BAR」ってのも(^^;

ホント・・余計な「風景描写」なんかナイのに限ります♪ 舞台でもそうですが、いたれり尽くせりの精密大道具セット満載の舞台、そこにてロクでもないダイコン役者のヘタな演技見せられるよりも、

たとえば「上海バンスキング」のような、舞台上にはホント・・ナンもない・・・ただ 卓越した役者さんらが演技を繰り広げるのみ・・

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            余分なセットなんざナイ方がマシでおます

そっちの方が、観客としての自分は、そのナニもない舞台上に、自分的想像力の「まぼろし」が無限に広がる。ぶっちゃけ ナマイキですが それこそが演劇の「醍醐味」であると信じますところで。


この丹下左膳も、「あえて書き込んでいません」それは このリクめなんぞと違い 能力がないってのじゃなくて(^^;『どう解釈 どう思われようと それは受けてたちます』って、作者 林不忘の「決意表明」を感じたりもします はい。


この作者は『 林不忘 』しかしコレは この「丹下左膳」をば戦前の昭和時代に 毎日新聞で連載する際のイチ・ペンネームで。
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        夜の街場デモテそーなカオしてまんナ

ホントのところ・・長谷川 海太郎(はせがわ かいたろう、1900年1月17日 - 1935年6月29日)は、日本の小説家、翻訳家。林不忘(はやし ふぼう)、牧逸馬(まき いつま)、谷譲次(たに じょうじ)の3つのペンネームを使い分けて活躍した。林不忘は時代小説「丹下左膳」シリーズ、牧逸馬は犯罪実録小説、谷譲次は米国体験記「めりけんじゃっぷ」物で知られる。
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ぶっちゃけ 本来 生粋の「時代劇小説家」ではナイのでございます はい。

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          満身創痍の不敗の英国海軍の英雄

丹下左膳の あの特異的キャラ設定ってのも、後年わかった事実は、イギリス海軍の不敗軍神「ネルソン提督」を そのモデル像として描いたとされてます はい。


しかし この、作品としての「丹下左膳」、何度も映画化されて TVドラマも何度もオンエアされ、

なんか、主人公である 左膳が、ミョ~に、『荒くれているけど 人情に厚い正義の主人公』って、一種 神格化されていますが、

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 (役者として好きですが)藤田まことがヤルよ~になっちゃ・・

ぶっちゃけ・・・ジツのところ『けっして そんなんじゃあない!』・・・


マジなところ 『かなりの【悪(ワル)】』でおますだヨ・・・せせら嗤いながら敵をたたっ斬りますし、斬り倒した相手を称えるなんてもせず・・『つまらんものを斬っちまったぜ』っと不敵に嗤う・・・

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     アンチェインでエキセントリックな存在でこそ「丹下左膳」♪

正義の使者どころか ぶっちゃけ完全な『アンチヒーロー』で。この作品以後 続々誕生した 日本におけるアンチーヒーローもの それの「お手本」になっていると リクめ深く信じているのですが。

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この 描かれています 江戸中期あたりの江戸ですけども、コレもマッタクもって、バットマンのゴッサムシティーもマッサオ!のダークにして暗黒の世界・・・

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           たとえオナゴとて容赦しません

ぶっちゃけ タダのひとりも、1ミリの曇りもない善なる人間は出てきません、作中の人物 誰もが、どこか・・うしろめたいような、暗い一面を抱えているって・・完全なる「悪漢小説」。


しかしこの作品は 毎日新聞の連載小説ですゼ? 昭和初期の当時の新聞は 今現在なんかより「よっぽど表現が自由だった」って証拠でございます はい。

逆に今だったならゼッタイ こんな たとえ敵がコロしてもかまわない悪党だろうと、ぶっちゃけ 快楽殺人みてえに、バサバサ斬りコロしていくよな人間が主人公の小説なんか掲載できるわけがござんせん(笑)(^^;

「小説 失楽園」(渡辺淳一)も考えりゃ、日経新聞の連載だけんど、ぶっちゃけ・・あんな おされ風味のエロ小説(^^;よかよっぽど・・・
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               ご冥福をお祈り申し上げます

昭和初期の時代って点から考えますと、そのインパクト度合いは おそらく相当のものであったと容易に想定できますわナ。ややジャンルは異なりますが、江戸川乱歩も、ちょうど、超エログロナンセンス路線でスパークしていた時期でもありますしネ。




読者としてのシンパシーを集める それはこの左膳のばやい、求める利益は サケとオンナ。自分の味方であろうとも、そいつが なかなかの使い手だとわかると『いつかあいつと斬り合いしてえもんだ』って・・ホント、純粋なほどの『暴力とバイオレンスの求道者』なんですナ左膳のばあいは。

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    大河内傳次郎のこのスチールは映画芸術の金字塔でス♪

賄賂や権力への欲といった 謀略には関与しないってか もとより『ンな興味もない』。

「悪人」には代わりないって思うのですネ この御仁。でも・・・その向かう方向性が、自己保身とかとは真逆な、なんというか、【純粋な《悪》への追求】それがジツに不思議な 一種の「清潔感」が匂うのですナ うむうむ・・・。

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おそらくは、おとなしく真面目に・・「生きざるを得ない」庶民のココロに根付く『ああ・・・あの野郎!ぶっコロしてやりたい!!』って鬱屈の念を、この 丹下左膳っていう ホンマ、怪獣みてえな、『妥協なき悪の執行者』に、左膳当人はそんな気は1ミリもなくとも、結果として「仕置き人」としての役割を果たしているって、それに せめてもの、儚い希望を見出し 夢を託していたのだと信じられます はい。


一通り作品を読みますとわかるのですが、『おや?』ってほど、小説内に 左膳当人の登場回数もセリフも きわめて少ない・・・。

物語が一種「勝手に進んでいって」いよいよって段階で 千両役者・左膳が『っちっ!かったり~~・・』ってな感じで イヤイヤ登場(笑)

世の中を正そうなんて気もゼンゼンないまま、その暴力的本能のまま ひたすら血なまぐさい方向へ 邁進するのですが、

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左膳を取り巻く 周囲が、アレやコレやと勝手にバタバタ動き回り、結果 自滅したり、最後は左膳にたたっ斬られて無残に果てる。

丹下左膳ってのは ある意味で 一種の『破壊神』なんですネ。「再生」までは責任とらない 『けっ知るかそんなもの』って感じ(^^;

なんせが 痩身にて長身 赤茶けた縮れ髪を乱暴に後ろに束ね 眼光すさまじく おまけに・・隻眼、片目が大きな刀傷にてつぶれている もひとつおまけに隻手・・右の手が斬りおとされてて無い・・・

・・・正味なハナシ・・・コレはヒーローだ主人公だって以前に、ぶっちゃけ モロ【 怪物 】でおますだヨ(><)現実に目撃したなら その晩の夢に出てうなされるゾ~(^^;


・・・隻眼隻腕の剣怪、丹下左膳。
 箒ほうきのような赭茶あかちゃけた毛を、大髻おおたぶさにとりあげ、右眼はうつろにくぼみ、残りの左の眼は、ほそく皮肉に笑っている。
 その右の眉から口尻へかけて、溝のような一線の刀痕――まぎれもない丹下左膳だ。(こけ猿の巻 より)


愛刀『妖刀 濡れ燕』操り とどのつまりバッタバッタ!と「快楽殺人」・・・

・・・「今は左膳、根ッからの乞食浪人……これでチョイチョイ人斬りができりゃア、文句はねえ。どうだ、与吉、思う存分人を斬れるような、おもしれえ話はねえかナ。どこかおれを人殺しに雇ってくれるところはねえか」(こけ猿の巻 より)


文中・・「頭もいいが腕もいい、こたえられねえ野郎だな、ええ!」とハシャギまくり、「一体、どうして俺を切らねばならんのだ!」と聞かれて

「えぇえ、そんなことが分かるもんけえ!俺はただ無性に嬉しくってしょうがねえんだ!いくぜ、いくぜぇ♪」・・・

・・・このリクめが いかにケンカ好き人間たって、ぶっちゃけ こんなキチガイにはついていけません(笑)(^^;

だけんど・・・わたしゃ 「この手の人間」に・・ナンでか??好かれることが多いンだよナ~~・・・ジツに困ったモンだ・・(--;

思えば この半生、故人・健在にかかわらず、大学時代のイチハラだろ? およねママもそうだし、マオ老子、公安のクロサキ、小枝チャン、キンさん&ゲンさん、コアラの親方・・・

ぶっちゃけ みなさんどこか・・「丹下左膳テイスト」を持ってル 単純な机上の計算では捉えきれない《世の善悪の定規では測りきれない未知なる部分を持つ》そんな人物・・・。

恐ろしいのは・・もしも左膳なんかが実在していたなら・・・ぶっちゃけ わたいなんか『あ・・チョっと待って!!』って云うヒマもなく、押したとされてヤラレちまうンでわにゃいか??って身の危険が(笑)(^^;
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        でも・・考えりゃわたいもリッパに「怪人」(^^;

『なんだとぉ??チンコついてるだぁ? けっ!知るかそんなもん!!』だなんて云われて
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 『あ~~れ~~っっ!!』ってなってまう可能性が ナンマイダナンマイダ(-人ー)
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    おそらく左膳は、「込み入った事情」理解してくれないと思う(笑)


しかし、この小説らが世に出ました 昭和初期の当時の世相というか、この作品を「よし」と受け止めた日本の社会の読者っていうのは やはり、

「建前」そればかりが横行し、世の弱者の声がてんで上には届かない「世相」に辟易していたのだと思います はい。

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時代的にも「忍び寄る 大きな大戦への足音」を 庶民はどこか敏感にアンテナに感じていたかも知れません。今現在ほど 庶民には自由も権利も保障されている時代ではありませんでしたしネ。

せめて想像である小説の世界だけは、ハラの立つ権力者たちを 理屈関係なくバッサバサ!!たたっ斬る この左膳に喝采を浴びせていたのでしょうと推察できます はい。
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だから、この 丹下左膳が「正義の味方」って解釈については、完全に 後付の『無毒風味に仕上げた 創作』なんですナ。

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            ぶっちゃけ 肉付き良過ぎの左膳(--;

TVサイズってか、毒気を薄めた『メシ食いながら観れる程度のスケール』に脚色したってこと。

本来の左膳ってのは、ゴジラみたいなホント、つかみどころの無い 未知なる恐怖の存在で。


丹下左膳の物語は、たいてい 左膳とはゼンゼン関係なく、1つの事件が次第にエスカレートしていって、

ホント、ジラシた挙句「待ってました!」って感じで やっとこ・・途中にて 左膳が登場します。

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・・・ 夜妖やようの一つのように、丹下左膳が音もなくすべりこんだ。
「おそかったな。今ごろまでどこへ行っていた?」
 それには答えず、左膳は用心深く室内をうかがって、
「連中は?」
「今帰ったところだ」
 左膳は先に立って行燈あんどんの光のなかへはいって行ったが、続いた源十郎はちょっとどきりとした。
 左膳の風体ふうていである。
 巷ちまたの埃りに汚れているのは例のことながら、今夜はまたどうしたというのだ! 乱髪が額をおおい、片袖取れた黒七子くろななこの裾から襟下へかけて、スウッと一線、返り血らしい跡がはね上がっている。隻眼せきがん隻腕せきわん、見上げるように高くて痩せさらばえた丹下左膳。猫背のまま源十郎を見すえて、顔の刀痕が、引っつるように笑う。
「すわれ!」
 源十郎は、夜寒にぞっとして丹前を引きよせながら、
「殺やって来たな誰かを」
「いや、少々暴れた。あははははは」
「いいかげん殺生せっしょうはよしたがよいぞ」

登場からしてコレ・・・なんともヒトを食ったってか、『コツにどんな説教しても無駄だこりゃ・・』って気持ちを読者に起こさせる ナマイキですが ジツにウマい表現方法♪



つと体を低めて懐中を探っている。
 得意の手裏剣をとりだす気。
 左膳の嗄かれ声が、またもや森の木の葉をゆすった。
「汝うぬア化物かッ? 化物にしろ、人語を解かいしたら、よッくおれのいうところを聞けッ! いいか、その二つの刀とこの娘はナ、去年の秋の大試合におれが一の勝をとって、ともに賞としてもらい受けたのだ、とっくにおれのものなのだ」
 豆太郎は、口をひらかない。ただ、野犬のように白い歯をむき出して、突如、躍りあがるがごとき身ぶりをしたかと思うと、長い腕がブウン! と宙にうなって、紫電しでん一閃!
 ガッ! あやうく左膳の首を避けた小柄、にぶい音とともにうしろの樹幹にさし立った。
「ううむ、こいつウッ! やる気だな」
 うめいた左膳さっと、足をひいたのが突進の用意、即座に、左膳、半弧をえがいて豆太郎の素っ首を掻っ飛ばそうとしたが、土をつかんで身をかわした豆太郎、逃げながらの横投げ、錦糸、星のごとく、飛翔ひしょうして左膳の右腕へ命中した。
 が、
 あいにくと左膳には右腕がない。
 で、右袖に突きささった短剣はそのまま一、二寸の袖の布地を縫ってとまった。
 ……のもつかの間!
 つづいて四剣、五の剣――と皓矢こうし、生けるもののごとく長尾をひき、陽に光り風を起こし、左膳をめがけて槍ぶすまのようにつつんだ……ものの!
 丹下左膳、もとより凡庸ぼんようの剣士ではない。
 タタタタッ! と続けざまに堅い音の散ったのは、左剣上下左右に動転どうてんして豆太郎の小刀をたたきおとしたのだった。
「あっ!」
 この剣能に、きもをつぶして声をあげた豆太郎われ知らず、もう一度ふところに手をさし入れたが――小柄はすべて投じてしまって残りがない。
 瞬間! 泣くような顔になったかと思うと、豆太郎はすでに背をめぐらして、目前の草のしげみへ跳びこもうとした。
「待てッ! もう投げる物アねえのかッ!」
 左膳の罵声がそのあとを追った。
 豆太郎は、振り向いた。
 哀れみを乞うような、笑いかけるがごとき表情だった。
 しかし、つぎの刹那、かれは頭から、滝のような血を吹いて真っ赤になった。追いすがった左膳が冷たい微笑とともに一太刀おろしたのである。
 山淑の豆太郎、全身血達磨ちだるまのごときすがたで地にのたうちまわったのもしばらく、やがて草の根をつかんで動かなくなった。絶え入ったのだ。(乾雲坤竜の巻 より)
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 ホント、ナマイキを申しますようで恐縮でありますが・・・

リクめは この 林不忘、かれの文章は 正統派の小説家としてのそれとは 大きく異なっていると思うのですネ。

庶民層のウサ晴らしとしての効用とともに、左膳による ぶっちゃけ「大量虐殺」がサラ~って通ってしまう背景には、

言いましたように、作中に登場する「悪漢」らが、マジあったまくる 極悪な連中。そうなりますと『こんな連中 まとめてたたっ斬られればイイのに・・』ってところに、
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ウマいこと 左膳が登場し リクエストの応じて(笑)バッサバサ!!たたっ斬る訳だ♪ 要するに その「アクションシーン」に持ち込むが為の すべては『巧妙なディティールの設定』で。

ぶっちゃけ こういった手法は 小説的っていうよりもむしろ『 講談 』でございまス。

いみじくも このわたいも恥ずかしながら・・『ブログの講談師』をば目指しておりますから、なんか・・ノリとして理解できる部分がジツに多いのです はい。

『・・・・なんだワ お立会い!』なんてのは まさに講談師的表現なんのおますだヨ♪

ウチとこ先祖、産業スパイ忍者で、表向きは「薬売り」それも『ガマの油売り』に身をやつしておりました関係で、薬売りの《口上》ってのは、まさに講談のそれとほぼイッショなんでございますのだ はいー。
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          インチキ女流講談師を目指すか♪(??)


この どこか虚無的な部分の 左膳を軸として生まれ出たのが 思いますに・・・さいとうたかおセンセの代表作『ゴルゴ13』の主人公 デューク東郷像ではないかな?っとも思えます はい。

ニヒルさについては、笹沢佐保センセの「木枯らし紋次郎」まさにそれ!ですわナ。

他にも ある意味・・突飛な「暴論」だよん(^^;

ご存知『スターウォーズ』の ダースベイダーですが・・・監督であるルーカスの弁によれば・・圧倒的な黒澤明映画ファンだったルーカスが、三船敏郎に似せてキャラ設定指示をしたとのことですが、

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ジツのところ・・後年判明した《事実》は・・三船ファンは正しくも、ジツのところ ダースベイダーのキャラ設定については『むしろ、《七人の侍》で、名優 宮口精二サン演じる 寡黙な剣豪《久蔵(きゅうぞう)》をお手本とした』ってことで。

ちなみに この久蔵は、ルパン3世の 石川五ェ門のキャラのモデルでもあります はい。

で・・ナンのことない・・・黒澤明自身が、この久蔵のキャラは、丹下左膳初期作の頃の(人情とはかけ離れた エキセントリックな存在としての左膳)映画を元にしたって、亡くなる直前にインタヴューで答えてるって事実。。。

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      こちらが元ネタ(らしい)間接的 左膳の影響とも


 ね?? いろ~~ンなとこに、直接 あるいは間接的に 様々な《影響》与えまくってるンです。

それゆえに今回、ぶっちゃけ 小説の筋ってよりも、むしろコッチの『以後の社会全体への影響度』って点から コレをば選んだのでございまして。


ただ・・・「ジツに惜しい・・」ってのが、この丹下左膳シリーズは 3巻完結ものなのでおますが、

コレってのも「陥りやすい人気作品であるゆえのリスク」・・・人気沸騰と共に、この左膳が、なんか・・・『後半になるほど イイ人になってくる・・・』って ガンダムでも シャアが一時 味方について『ナニそれ?』って感じと似てまス(笑)(^^;

ま・・当時の軍関係の「検閲」もあったのでしょ~ネ きっと。一概に責められないのでアリますが。

最終巻の「日光の巻」、ラストなんかじゃ・・・左膳になんでか?懐いてる 浮浪児 チョビ安って小僧が、ジツは 大名 柳生家のご落胤であったって事実がわかり、「めでたしめでたし♪」で終了するって・・・

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   ぶっちゃけアンタが善人になってどないすんねん??って・・

ぶっちゃけ・・『あの~~・・今までアンタがしてきはった あの大量虐殺はナンですのん??』って(--;

スッカリと「イイおじさん」と化してしまってます 左膳にアキレてしまうって(笑)『いかにも唐突にオチつけて終了したヨ 感』が拭えません。


 『 ゴジラも 左膳も、人類の味方になっちゃイマイチつまらん・・・ 』

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       「シェー」するゴジラなんざ観たかネぇ~んだお!

フト、そういう気持ちがいたすのでございます はい~~

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       「ナヨナヨしてるリク」なんてつまらんでショ? ♪


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港のリク

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港で働く ジツはとっても気の荒い(?)アンちゃん・・・ですが、産まれついてのホルモン分解異常の関係で♂なのにEカップの胸の持ち主 という混沌としているわたしです。

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