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赦さざるべし男・・・

 遠くはない いつかの「メリークリスマス」


この世の中ワルはどこでも居ます、しかし ワルと『許しがたい奴』はちょっと違う。


「またアイツがしゃしゃり出てきたのか・・・」

「そうなんですよ。ちょっと・・・《あこぎ過ぎますよネ?》ひかり町の界隈、最近じゃスッカリ 一面《サラ地》ですよ」


「なんてたっけ?イシマツ・デベロップメントか? あれだろ?横文字使えば生まれ変わったって気でいるようだが なんのことねえ・・・かつての 土建ヤクザの《石松組》じゃん あれって」

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「そうそう。とくに3代目の 現社長、《ばっくれのイシマツ》って バカにされてる通称のあいつ・・・バカを開き直って、 ひかり町でちょっと信じられない計画を企んでいやがるようで」


「なにそれは??ひかり町なんか、どうってことない 単なる旧い住宅街だろ?駅とかからも かなり離れているし・・・使い道あるのか本当に??」

「あくどい奴は目の付け所が違いますから・・・。たしかに ひかり町は交通至便とはいえません、でも・・・国道幹線道路もすぐそば、あと半年で完成する自動車専用地下道、それが完成したならば、これがジツに、みなとみらい地区へ 僅か12,3分なんですよ これがまた」


「あっそうか・・・多少 距離が離れてても、要は《第二のみなとみらい地区の誕生》ってプランか 考えたな・・・」

「はい、それでダレも思いすらしなかった《平成バブルの到来》、ひかり町 あの辺一体を 軒並み《地上げ》して回りやがって・・・なんか噂ですが・・ランドマークの床面積と同等の40階ぐらいのインテリジェンスビルを建てる予定だとか・・・なんか早くも ハゲタカ外資がそのプラン聞きつけてコナかけてるってハナシで」


おしゃべり好きな 町の連中が噂話をしている 今も その《イシマツデベロップメント》主導による ひかり町地域の《地上げ》は進んで。


「わあ、こうして ナンもなくなると・・・この一体って ずいぶん風が寒いところなんだなあ・・・」

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そう呟き コートの襟を立てるのは おねだり刑事のAさん。

Bさんが続けます「そうさ。ハマの町はたいていそうだ。まずヒトが居るよナ?それが集まって家を建てる・・次第に人口も増える・・それをあてこみ商店なんかも出来て。まったくの生活ベースの町に 高層ビルなんかいらねえよ、《都合の良い高さに》町がまとまって、それがゆえに、海の方角から吹いてくる 冬の厳しくて冷たい風を おだやかで優しげにヒトのことを防御してくれる・・・それが本来の《町》というものだ・・・」


なにの共同捜査かは知りませんが 県警本部勤務の 警視 ミヤモトも居ます。

「まさか・・・今の時代になって、こんな《地上げトラブル》で帳場が立つ(捜査本部の開設)とは思いませんでしたよ ええ。ぶっちゃけ どうだってイイんだろうな・・・どんだけ地上げする土地に血が流れ、《穢れた土地になろうと》・・・ハイテク装備のインテリジェンスビルならば 関係ない♪ ってか」


事件は 暴行や殺人とかえはなく・・・《事故死》です ・・・今のところ・・・

地上げが進み だだっ広い 野っ原となった 旧ひかり町の町内会館跡地に ひとりの男性遺体が 寒い朝に新聞配達が発見し。

亡くなっていたのは ひかり町の旧住人、市の図書館にて司書をしているモリヤマという中年男性で。

検視の結果 さしたる外傷等は見つかりませんでした、血中アルコール値が高い関係で、発見される前の晩、どこかで酩酊したモリヤマ氏は、町内会館跡地に 目的は不明ですが立ち入り、

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酔いもあり、その場に放置されてます土管にもたれて眠ってしまい・・・朝の放射冷却の寒さで 要は《凍死》したのではないか?という いちおうの結論となり 当初は事件性は無しと判断されました。

A「だが・・・スジが全然通らないハナシだよなぁ・・・死んだモリヤマさんて、まったくの《下戸》だったっていうゼ」

B「まあ下戸でも、なんかの拍子にサケをクチにしないとも断言できない・・・問題は モリヤマ氏が、《ひかり町 町内会館地上げ計画の反対運動のリーダーだった》ってこと・・・」

サカモト「おまけに・・・失くなってます町内会館は2F構造で、1Fは一般的 町内の催しや会合に使われるスペースで、2Fに半分は 娯楽室、そしてもう半分のスペースに 管理人名目でモリヤマ氏が 娘さん2人と暮らしていたんですよね・・・文化的価値、昭和のノスタルジーを守れ!ってダケじゃあない、モリヤマさんにとって 町内会館の地上げによる閉鎖は 文字通り《住処追われる》ってこと・・・必死で反対運動を指揮するってのもムリからぬ話ですよねえ」

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  全員『よりによって・・・元の住まいの土地で・・・ナニあったんだろうか??』


「エロし会長居るぅ??」 「おお タンジか。居るゼ 奥の座敷だ 入って来いよ」

タンジ「・・・例の あのコたち・・・ちょっとは落ち着いてる??」

エロし「うん・・少しは動揺が収まったかな? メシも半分程度食べられるようになってる」


タンジ「そいつはよかった♪ で・・・どうなってるの?警察による《身辺保護要請》の方は?」

エロし「それが・・・どうやらダメみたいなんだわ・・・おねだり刑事さんらをはじめ、ありとあらゆるコネ動員、ウチの父親の旧い付き合いまで差を伸ばしたんだけどネ・・・」

タンジ「ええ?なんでよっ!?あのコらの父親《不審死》してんだゾ・・・亡くなった死亡原因についても酩酊による事故、《凍死》なんておかしいだろダレが聞いても。剣岳を単独で登頂してしまうヒトだぞモリヤマさんは。寒さでいかれちゃうなんて そんなヤワなヒトじゃない!」

エロし「俺個人もそう思う。でもな・・・昨年から今年にかけ 市民病院の内科に心臓で受診歴があるんだ・・・バクダン 心臓にかかえていたらしいってのも事実でさ。」


タンジ「それにしても・・・夜中に不審な電話攻勢、無言ってならわかるが、おいらも聞いたけど なんだあれ?ブキミな機械合成のバカ笑い声がエンドレスで流れる・・・って、届くはずの郵便物が消失する・・・飼っていたネコがタイヤ痕残して 死んでるのを発見される おまけに秋口の あの・・《ボヤ騒動》・・・どう考えても・・・《やられたぜ》モリヤマさんは」

エロし「しっ!!聞こえるから あのコたちに・・・。」

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タンジ「それにしても・・エロし会長 偉いなあんた・・・もう2週間近いんじゃね?モリヤマさんとこの娘さんふたり、自宅で保護してあげて・・・」

エロし「なあに わけもねえサ♪ なんたって、オレらの《町内バカ息子同盟》の集会、他の会館とかドコもオレらのこと毛嫌いして全然 施設使わせてくれないのに(笑)ぶっちゃけ・・モリヤマさんだけだったじゃん?いつでも気持ちよく 俺らの集会とかに使わせてくれたのは。その恩義思えば こんなの安いモンよ♪ で、いちおう・・・警官ほどのスキルはないけど、ウチの会社の若い奴 2名 交代で《張っている》から。とりあえず心配はしなくてもよいと思う」

タンジ「で・・・まだ リクは姿見えねぇのか??」


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「なあ 夜逃げのキンさんよぉ・・・」 「なんだい マラリアのゲンさんかい」

ゲン「聞いたろ?・・・チョイとばかりヤバヤバな《旅人》がハマに戻ってくるって?」

キン「さすが 耳が早いなゲンさんも。ぶっちゃけ・・もお一生 アイツのツラ観るとは思わなかったんだがな・・・《ホウジロ鮫のナオト》な・・・」

『旅人(たびにん)』というのは 旅行者のことではありません。

ドッチかというと 任侠・ヤクザの世界の一種の業界用語です。

正式に暴力団とかの組には属していない、「用心棒」とか「客分」となりますと、ある種の「個別契約」を締結することで結ばれる 非合法にせよ「仕事契約」ですが、

この「旅人」の場合、時代劇の時代でいうなら「三度傘の風来坊」に当たります。

縦社会が強い ヤクザ社会ですが、「旅人」はどちらかというなら ヨコのつながりで、特定の団体とか ワリにルーズに、アチコチに出入りしては、小遣い銭を稼ぐ存在です。

暴力団抗争の激しかった時代には この「旅人」 恰好の『ヒットマン』として重宝されたそうです。

ゲン「ナオトって・・・本来だったら、リッパに テメエで《組》持ってておかしくない奴だろ?そう聞いてるが」
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キン「ああ、でも、さすがに 時代がそれ許さんわナ、なんたって 神戸の菱の組ですらが、警察はおろか裁判所もモンクつけられん《正業》が半数超えているって現状だから 今の日本は」


ゲン「で・・・ぶっちゃけ ナンで??あの ナオトが今更 賞金首かかってるに等しい このハマに戻ってくるわけよ?まったくわからんねえ・・・」

キン「なつかしい話だな・・・もう20年近く前か・・・日本製糖がパラグアイから輸入し、ハマの港に到着した麻袋の1つに・・・当時は大騒ぎになったよな、高純度のコカインがビニールでくるまれ混入されてて・・・」

ゲン「ああ。それで神奈川県警と厚生省が躍起になって捜査したなら・・・驚天動地の事実が浮上して・・・」


キン「そうだったナ・・・麻薬の密輸なんて大胆な真似 てっきり ハマの指定暴力団 ■組か、▲▲会と思いきや、当時の通産大臣のバカ息子・・そいつが主犯だったのが発覚し まあスゴい激震が走ったよな ハマのみなと全体に」

ゲン「そう。で・・・それで戦後最大の秘密の《取引》がウラで実施されて・・・。オヤジの大臣は一身上の都合って理由でもって辞任」

キン「うん で、問題のバカ息子も、親の地盤で政治家としての跡目は継がない、ってより 政治の世界に色目は使わんって約束で、なんとか塀の中へ転落は免れて」

ゲン「選挙区は●民党のあらたな候補者に解放されたってオチな その地盤を継いだ 当時の若造が今では副大臣よ♪」


キン「ナオト・・・ぶっちゃけアイツが人身御供になって、まあマッタクの善意の第三者だったはずも無いけど(笑)ともかく バカ息子の犯した罪かぶって3年6ヶ月か?代理で別荘に入ったんだよな?」

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ゲン「噂では 億・・・って いわば《クチ止め料》出たってハナシだよな?2度と ハマに戻らないって約束つきで。しかしだ・・・それがまた 今になって・・・何の目的でこのハマに??」


キン「そらきまってるだろ、・・・是非にも!って呼びつける奴がいるから来たんだよナオトは・・・。最近の空気読んでりゃガキでもわかるべ?おそらくはアイツだな・・・地上げで息を吹き返してるイシマツ・・・」


「こんばんわー いいですか??」 「おお 誰かと思えば 八百政さんか ひさしぶり」
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「やあホント ママ ご無沙汰してました!ここの《ぼったくり》変わんないスねえ」

八百政「いよいよ手詰まりってことです はい・・・。ぼったくりのママさんなら、なんらかヒント握っていると睨んで こうしてやって来ました」

ママ「・・・例の・・・ひかり町の一件のことかい・・・」

八百政「ズバリそれです。なんか・・・立ち話程度でもかまわないから ありませんか?情報」


ママ「アタシもボケたかねえ?・・・不思議なんだ、ひかり町だけど、地上げされて地ならしして あんなにも見通しがよくなったってのに反して・・・ま~~聞こえてこない聞こえてこない・・・てんで いっさいの情報の通りがどっかで詰まったまま、流れてこないんだよ。こんなこと今までになかった」

八百政「やはりそうですか・・・実は自分が元居ました業界に尋ねても、全然なにひとつ入ってきません なんなんだろこれって??」


ママ「いっとくが《カン》だよ・・・根拠はナニひとつないから・・・」

八百政「かまいません!ママの勘だ どこの情報よりたしかなのは知ってますから♪」

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ママ「基本的に 時の政権与党でもウカツにクチだしは出来ない このハマの町にサ、オメエも知ってるだろ?20年ほど前、完全に違法な ウラ取引と、《饅頭と小判》が乱れ飛んだってあの事件のこと・・・」

八百政「大物政治家ジュニアの犯罪ですよね?たしか あきらかに代理の主犯、後始末に遣われたのが当時の《官房機密費》で、事務の担当責任者が国外へと失踪しそのまんまって、国民にとってどうにも納得いかない幕引きだった気が」


ママ「なんというかネ・・・その当時と《同じ匂い、同じ風の吹き方》が漂ってくる感じがするんだよ。なぜか噂が大好きな港の住人らが 押し黙っているままなのも気になるしね。マルタ(遺体)が出て 股のユルいオンナの被害者が出るのかな?・・」
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八百政「やはり・・・政治家がらみですかねえ??面倒ですね、ぶっちゃけ自信なくなってきたなあ・・・独りで出来るだろうか??」


ママ「そういや・・・アイツどうした?イッショじゃないのか?ほれ、リク・・・港のリクは?」

八百政「所在不明なんですよ リクさんここんとこズっと・・・」


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イシマツデベロップメント本社ビルの 社長応接室、ふかふか過ぎるソファに居心地ワルそうに座りなおし、ハマの海運会社の某社長がいます。

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「ぶっちゃけ 変わらんナ・・・ナオトよ、別荘行って少しは改心したかと思っておったけど、ま~代理の服役では改心もへったくれもないか」山本シンヤ似の小柄だが 一筋縄でない男、それはリクの叔父である《社長》で。


「相変わらず ご挨拶ですなあ社長 はっはっは♪」ナオトと呼ばれた五十路の男がそう哂います。

「ぶっちゃけ 性懲りもなく、ナンで戻りよった??ケチつきまくりの土地 このハマに?」

「就職ですよ就職。アタシだってヒトの子だ、刑期もとっくに済んで、カタギになったんだ、やくざもので終わりたくないって気持ちおわかりいただけますでしょ?」

「ほんなら ハマである必要がどこにあんのヤ?ぶっちゃけ 刑事罰とは別個やデ。当時の《あの事件》ワシら 港モノに対して どんだけ義理欠いてるかわからんほどアホとはチャウやろが?」

「この身の不徳のいたすところで、それは重々反省仕切りでございます。でも今回 ご縁あって、イシマツ社長に骨拾っていただきまして」


イシマツ・・と呼ばれた老紳士が微笑みながら云います

「有能な人材ですよナオト君は♪助かってます ええ充分に。」

社長はキっと イシマツを見返り、

「ふ~~ん、・・・イシマツはん、アンタもたいそう御立派にならはったやないですか。とても ひと昔前にダンプ乗って 長ドス片手に殴りこみ果たしたヤクザと同一人物にゃ思えん がはは!!」

思わず動転し 色をなすイシマツ社長

「な?お互い ええかっこし~はヤメときまひょヤ・・・角栄さんの日本列島改造論の頃でしたわナ、アンタは土建屋ヤクザ、わたいは沖仲士、幾十人も束ねて貨物扱う いうなら港のヤクザ。で、ナオトは、ぶっちゃけ 3千円で包丁でヒト刺しよる若い狂犬ヤクザや」

「なにが なにが云いたいのですかあなたは?」
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「そらたしかに あの当時のワシらと今のワシらは違います。環境からして違う。でもナ・・・そう簡単に根っこは変わらん・・・それも事実です」

「だから??なんだって?」


「ズバリいいます。イシマツさん アンタ・・・あのバブル期と同じ《幻影》追ってませんか??クルった時代でしたワ、アンタのよな地上げ屋だけの責任とは思わん。ですが・・ぶっちゃけ アンタ、どんだけの数 ヒトを《地獄》へ追いやったか?政治家のバカ坊主の《あの事件》・・・それにもアンタ《恰好の利権》と捉えてクビ突っ込んで儲けよりましたたわナ?知らないとは言わせませんデ・・・あのナ、1度ウマいこといったと思うて、今の時代に同じ妄想抱くのは ぶっちゃけドアホやで!!」

「な、なんだとう!!このチビ!」


「ぶっちゃけ みんな迷惑しとるんヨ、アンタがカラんでるってだけで、どんなリッパな開発計画も一段、格が低下する・・・《第二の みなとみらい地区計画》それはそれで着目に値しますデ。でもなぁ、早くも・・・ハゲタカ外資の資金でビル建てる以前の 今の段階から、綻び出てきてるンとチャイますか??」

「会談はこれまでだっ!!お帰りいただこうか!!」

「云われんでも帰ったらあっ!!マズい茶出しよってからに・・・でも あんましイイ気になりなさんなヤ?このワシャ オトコらしないチクリなどしませんが、知ってはりますやろ?《ハマの御前会議の議長》・・・あの方も 情報つかんでる最中やってハナシどすえ(笑)」

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去っていく叔父の背中を見送りながら 青ざめているイシマツ「けっ!!ハッタリだろハッタリ!!昔のオレじゃねえや!おい ナオト 塩まいとけ塩!」


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  八百政さまへ 長野県安曇野郡 神戸巳之吉

昨日はたいへん美味しいメロン 家族で感謝しつついただきました。

かねてよりのご質問 しばらくの間 熟慮を重ね 今般 真実をお伝えする決心に至りました。

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私儀 今現在こうして 義兄宅に居候する身でございますが、お察しの通り、以前は「ひかり町 町内会長」でした。

今般 不幸にも亡くなられた モリヤマ コウジ氏はよく存じ上げております。

告白します。存じているというより、むしろ もっと積極的に・・・・・

二十数年前、当時の日本はバブル景気で 文字通りみんなが発狂していました。

今の時点で 建設系暴力団イシマツ組により 21世紀の地上げが行なわれているとお聞きしましたが、

実はそれは正確ではない・・・あの ひかり町の「地上げ」は、二十数年前に既にひそかに進行していたのです。

表向きな理由として、バブルの突如の崩壊で 資金がショート起し 計画が頓挫したものと喧伝されていますが。

事実は違います、「目的も以って 冷凍保存」されたのでございます。

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実は あの ひかり町一帯の地上げについては、正常な土地の相場よりも かなり低廉な価格で「買い叩いた」

それが大半の土地でした。そして、今更 赦しを請う気持ちはございません。

わたくし自身が・・・その「尖兵」として陰で暗躍していたのでございます。町会長という立場を利用して。

はい わたくしも発狂しておりました。当時の ひかり町は、80歳を越え かつ身寄りも無く独り暮らし

そういう状況の年寄りが大半でした。未亡人が圧倒的で、己が保管する土地の価値ということに殆ど無知な人ばかりで。

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それで『今度 県内の篤志家が中心になり、軽量型の老人ホームが出来る。今のココの整理を任せて 新しいホームに移ればどうです」と、

そう持ちかけ、わたくしを信じ 1も2もなくその誘いにのってきた年寄りたちから 巻き上げたに等しい土地でした。


途中になり、インサイダーの情報で、今度の正月明けに、金融貸付の総量が規制され、バブルがハジけ飛ぶというのがわかり、

計画の あえて一時停止・・・うなぎ上りで上昇した 日本の土地が、これから20年間ドンドンと 今度は下がり続けるだろうと。

今 手離してしまうよりも、土地価格が下げ止まるまで寝かそう・・・それが わたしらグループの結論でした。


そうしているうちに、港界隈の とある中華食堂で、「ある青年」を発見しました。

どうやら 日本人ではない。たどたどしい日本語で 汗だくで働く彼を わたくしは気にいりました。

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妙に陰が有る青年でした。会話を交わすようになり驚愕の事実が判明したのですが、

なんと彼は 密入国者でした。隣国の南北に分断された国家といえばわかりますね?

都合悪くも 彼は『北の方』からの侵入者でした。日本への入国の発端はご容赦ください。

それでも真面目に懸命に働く 彼を なんとかわたくしは救ってやりたいと考えました。

知恵を授けてくれる人があり、わたくしは東京の山谷に赴き、

 年齢が近しい 【戸籍を買ったのです】・・・・・。

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もうおわかりでしょう そうです、それがリニューアルして誕生した【日本人モリヤマコウジ】その人なのです。

なぜだか?それは理解できないと思います。うまく説明する自信もありません。


モリヤマは とても優秀な人間でした。働きながら夜間高校を出る頃には、日本語は話す書くは完璧で。

わたくしには「育てる欲望」が出ました。私費を費やしモリヤマを2流ですが 大学に進学させ 無事卒業に漕ぎつかせました。


卒業後の就職も、正式公務員はムリだと判断し、市の図書館の司書の仕事を さまざまなコネを使い 用意しました。

モリヤマは意外にも 欲の無い男で、そうした用意された暮らしに満足しておりました。平和ですし。

しかし、そうなってきて わたし個人には、どうしても モリヤマを手元に「置いておかねばならない理由」が出てきて。


彼を管理人として住まわせた ひかり町町内会館ですが、あそこは町内会館であると同時に・・・

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税務署を通していない 私名義の隠し資産、現金ではなく 各種の証券や書類の隠し場所でした。

地上げをしていた時期の「仲間ら」は、人間の命など毛ほどの重さもナイと考える連中ですから、

いよいよわたくしも危うくなったなら、この 隠した資産のみを手にしてマニラあたりに逃亡、潜伏するともりでおりましたので。


モリヤマには 女房もあてがいました。わたしの元愛人のオンナでした。言い訳はしませんが 二人の相性は悪くなかったと思います。子供も2人産まれたし。

そうしているうち【破綻】が起きました。

モリヤマの《女房》が、わたしの隠し資産を持って 逃げようとしたのです。

計画は未然に抑えることが出来ました。しかし、見くびっていたことあありました。

それは・・・モリヤマが わたしに抱く 信じがたい【忠誠心】で。

単なる 足長おじさん でしかないと思っていたのに モリヤマにとってわたしの存在は「神」で。
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事有るごとに 女房に対するモリヤマのDVがはじまりました。その《結果》が ご存知の女房の睡眠薬自殺です。


勝手だとわたしを断罪ください。しかし、その時点でわたしはもう恐ろしくなってきてたまらず・・・

丁度その頃です イシマツ建設のイシマツ社長が、再び ひかり町の土地開発に本腰をいれてきた時期が。

わたしはモリヤマに、もうよい時期だから、この町内会館は手放そうと思う(土地はわたくしのものですので)と告げました。


しかし、モリヤマは納得しようとしません、彼にとってココは 聖地となっていたようです。

なんという皮肉・・・町会長の立場をいいことに、地元の地上げに加担した私が、地上げ反対運動のリーダーを《造り出した》のです。

にっちもさっちもいかず、そんな時、胃の悪性腫瘍で出血し 緊急入院ていう状況にモリヤマが陥り、

緊急の手術も行なわれ、危機は脱しましたが、3ヶ月はベッドに縛られたままだという状況を利用して、

モリヤマの「いないうちに」全てを処理し終えて、会館は消えました。
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モリヤマの子供2名は、わたしが暮らす ひかり町の住宅に「ずっとこの先 ここはキミらの家だ」と告げ、

もう 逃げました。ハマから ひかり町から、あの町内会館から、そしてモリヤマから・・・。


告白を終わります。ご説明したように、どうも モリヤマは「覚悟の自殺」ではなかったかと・・・

日本人になれた場所、結婚し 子供が生まれた場所、そして 女房の遺体を発見した場所、

いろんな想いがあったのだと考えます あの モリヤマが発見された あの《土地》


最後に またもや手前勝手ながら、今 寄宿しております義兄の宅は わたくしの「最期の場所」です。

腎臓の持病が急に悪化して おそらくは・・・年を越せるかどうかは未定そのものの状態で。

数々の 罪深い諸行をしてきたわたくしでありますが、 出来ますなら、このまま この現世から消え果てるのをお赦し願いたい。


 それでは ごきげんよう すべて忘れていただければ幸いであります。  敬具

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  『で・・・本当にドコ行きやがった リクは??』

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イシマツ「ナオト ぶっちゃけどうなんだっ!?まだオレにモリヤマってやつの殺人の嫌疑晴れないのか!?」

ナオト「どうもそのようで・・・。正直 いつも四六時中 わたしらサツから尾行されてますよ・・・たぶん この電話も盗聴・・」

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イシマツ「オレはやっとらんぞ!!殺害なんて!そりゃ・・モリヤマの『戸籍の秘密』も知ってる。あのチンケな町内会長に知恵授けたのはオレだから。たしかに20年前 あいっつなんかとツルんでおしい思いもしたさ。だけど してねえぞ!今のオレが殺人なんて ンなバカな真似」

ナオト「それはわたしも同感ですから。いつまでも《ヒト斬りナオト》なんて通称シャレになりませんよ。・・・ですがネ・・・」


イシマツ「な、なんだ!?ですがってのは・・・」

ナオト「まだ噂段階ですよ・・・こないだ 怒って帰った 海運のチビ社長が帰り際ウソぶいてましたよね?どうもそれが・・・マジになりそうだって雰囲気で・・・」


イシマツ「え?え?どういうこったそりゃ??それじゃなにか? 本当にあの・・・《議長》が・・・このオレのこと疑いかかってるってこと??」

ナオト「・・・疑われるダケなら まだまだマシですって。ことによっては・・・」

イシマツ「なんだよ・・・・・」


ナオト「議長のお屋敷の広間で開催される協議会、こないだの海運会社の社長も評議員のひとり。率直にお聞きしますが・・・耐えられます?? 味方が居るともいえないアナタが独りで、60数名の前で釈明、無実の証拠延べなければならない そういう場面展開が・・・」

イシマツ「そうなったなら・・・・・おしまいだ オレは。なにもかも・・・」

ナオト「まだまだ あと5年は・・・ひかり町の地上げ土地郡は寝かせておく・・・そういう《天の声》があった筈ですよねえ?イシマツ社長、あなた それに逆らうってより、根回し抜きで 勝手に計画を推進したでしょう?おそらく・・議長は怒ってると思いますよ・・・」

イシマツ「仕方なかったんだっ!考えてみろ!リーマンショック以来の 膨大な資産投資が欧米から来るんだぞ!サラ地用意出来なくちゃ まとまるハナシもまとまらんじゃないか」

ナオト「ジョンソン・ブラザース投資顧問会社でしたよね、知らないんですか?すんでのとこで リーマンを切って、なんとかサバイバルした会社ですよアレは。あの《議長》は、リーマンショックで ジョンソンとこにハメられて、資産のNYにあったビル2棟失ってます。これは誤解されてもモンクいえないというか、ぶっちゃけオレでも怒るかも・・・」

イシマツ「ああどうしよう!!なんとか 弁明の機会はないのか!?裏切るなんて、とてもじゃないが そんな度胸がこのオレには・・・」


ナオト「でも それだけじゃ済みませんよ」

イシマツ「???」


ナオト「さすがにこればかりは いい難いのですけど、もう・・・既に、《ヒットマン》が用意され 地下に潜ったという噂も・・・」

イシマツ「うげげ!!」


社長・・・大丈夫ですか?いいです そのままにしといてください 吐しゃ物はあとで片付けますから。

なんかネ、どうにも気になる《噂》が立ってまして。いえネ・・・ヒットマンってのが意外な人間の可能性が。


こないだ来た 海運の社長、ジツのところ アレってのは《最後通牒》だった可能性が。

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あの社長の甥っ子で、通称 港のリクってのが居るんですよ知ってますか?

社長の年代からすれば まだ若造なんでしょうが、情報集めた結果、けっこーあなどれない感じで。

カラダがちょっと特殊というか・・・オンナに見事化けられる人間です。

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強いのか?ってなら そうですネ、軽量ながら瞬発力はあるようです。

強さっていうなら、達人でもない・・SPとセイムセイムぐらいだって証言つかんでます それでも充分あなどれませんが。

今のところ 前科はありませんが、逮捕怖さにケンカも出来ない、そんなタイプとは正反対のようですな。

で、そいつが ここ数日間《いっさいの消息不明》なんだそうで・・・過去にもそういうの有って、ウラで相当暴れてたらしいと。

会社も完全な無断欠勤ですが、なんでか?有給消化扱いになってると・・・先程の あの海運の社長の物云いも気になる・・・グルである可能性高いですな。

・・・気になるのは・・・例の《議長》とそのリクってのが 意外にもツーカーの関係なんだというから驚きます・・

リクは分をわきまえ けっしてウヌボレたりしてないようですが、ある意味 それが信用されてる感じであると。

なおも気になるのは 港のリクの《家系》で・・・。

調べてるうち 聞こえてきたのは、あいつ・・・リクってのは《忍者の家系》だってことです。

日本史にも出てくる《雑賀鉄砲集》の一員で、江戸時代にはリクの先祖、薬売りに扮して各地を回る忍びの者だったようでうな。

それだけではない、父方の方は明治維新の頃から あちこちで幾多の 焼き討ち事件や地方暴動に加わっている いうならばテロリスト家系・・・

母方の方も、大正デモクラシー時分に 暴れまわったアナーキスト家系、アナーキストのスキルを請われ 陸軍中野学校の教官もしてたり・・・

ぶっちゃけ《おっそろしい家系》ですわ(笑)その末裔であるリクって人間 ナニするかわかったもんじゃありませんゼ。

わたしらのような《ヤクザ者》とは違う、《鉄砲玉》でもない・・・冷静な《狙撃兵》かもしれません。

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もしも・・あの《議長》が、リクへ指令を出したのなら、そして その指令をリクが受諾したとするならば・・・ぶっちゃけ ドコから襲い掛かってくるか?わかったものではありません・・・


イシマツ「ど、どうすればいいんだっ!?オレだって人間だ!死にたくない!!どこかに身を隠すか?・・・セキュリティー完備のホテルはどうだ?それとも いっそ入院するか?」

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ナオト「どちらも悪くない選択ですが、いずれにせよ、ホテルも病院も・・・完全にヒトの出入りを遮断は不可能ですよね・・・完全に遮断するってなると、残る選択肢で残るのは・・・」

イシマツ「な、なんだそれはっ!?なんでも従うよ!教えてくれ それを」


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 翌日の朝早く・・・1本の、公衆電話経由の《匿名 タレ込み電話》に基き・・・

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イシマツデベロップメント本社ビルの「一斉家宅捜索」が神奈川県警第四課 通称マル暴により実施されました。

『ありました!!情報の通り』ロッカーの隅から、白鞘の日本刀が2ふり、ブラジル製の回転式拳銃 実弾ナシのが1挺、それらがタレ込み通りに発見押収されて・・・

その場で ナゼだかホっとしたカオの イシマツ社長は手錠をかけられ逮捕されました。

完全な警備体制の保護・・・そう この悪党が狙っていたのはたしかですが・・・世の中そうウマくはいきません。

押収された武器とはベツに・・・その日押収されました膨大な量の『悪事を裏付ける書類の山』が 図らずもイシマツの命取りと相成りました。


無法で違法ないくつもの地上げ、マネーロンダリング、金融法違反、違法カジノ経営、管理売春、おまけに振り込め詐欺まで・・あわせ技一本、満貫ですナ♪

本来の銃刀法違反なんか ぶっちゃけ ガキの遊び(笑)刑事訴訟法 商法 税法 民法 多大な裁判の被告の身となりましたイシマツは。
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・・・こういう《カス》に 情けは不要です。けっ 2度とシャバと ハマの町には戻ってくるな!テメエは牢屋の中で 獄死しやがれ。

ただ イシマツの懐刀の ホオジロ鮫のナオトの姿だけが、家宅捜査の直前から 消えてしまった、それが謎として残りました はい。


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クリスマスイブの宵の口、いつも賑わう 『ぼったくり』の店も閑散としています。

しかし あと2時間もすれば、いつもの常連らで賑わうはずです。ママが『なんだ??クルシミマスだぁ??知るかっンなもの!テメエまさか・・イブの晩まで ココで飲もうなんてフラチな考え持ってネエだろな??バラすゾこら』って サンザン客らに脅しかけたもので(^^;

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カウンターに イチハラの子分だった ハマのマー坊が飲むんでいます、隣の席には連れが。

先ほどママが『あたしゃチョっと寝るっ!やい マー坊!客来たならオメエ《チャカで脅して帰らせろっ!》いいな!』って(^^;奥に引っ込んでしまい 店はさらに静か。


マー坊「終わりましたね。・・・ドコ行ってたんです?探しましたよアチコチ」 「うん? ズっと家の地下室に籠もってた」

マー坊「地下室?ナニしてたんスか?」「読書。サイデンストッカーや、梅原猛の哲学書読んでた」


マー坊「アキレた・・・ってより・・そっか《まずは身内から騙せ》の手法・・・まんまと騙されたよ・・・やっぱワルですな【 リクさん 】」
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                    待たせてすまん

リク「えへへ♪まあそういうなって♪」


マー坊「・・・7時回りましたよ、いいんですか?行かなくて・・エロしさんの家で、モリヤマさんのお嬢さん2人をメインにしたクリスマスのパーティー」

リク「ぶっちゃけ 合わす顔が無い・・・行けるかって。」

マー坊「なんで??リクさんは最大功労者でしょうが?」


リク「功労者どころか・・・恩人であるモリヤマさんの《死》を・・コレ以上ないってぐらい利用した下手人こそがワシなんやからヨ・・・どのツラ下げて・・・」

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マー坊「仰せの通り・・街場にガセネタ 流しておきましたよ ありとあらゆる・・・」

リク「サンキュ 助かった」

マー坊「でもいいんですか?一部じゃマジで信じてるみたいで、しばらくは消えませんよ《港のリク暗殺者説》」

リク「へっ♪ンなもん覚悟の上だアな なんでもあらへん」


マー坊「モリヤマさんの・その・・《不正戸籍取得》についてはどうなりました?」


リク「証拠たって、ぶっちゃけアレは、長野で隠遁してはる神戸老人の私文書それだけやろ?警察は動かんヨ♪そないなヒマあるかって。いちおう 公安のクロサキにも聞いたが、《北の工作員でもない奴の《背乗り》なんざ知るかよ》だって あはは♪ まあ・・・不正戸籍取得は重罪、許されるものではあらへんけど、ぶっちゃけ 骨になった人間の戸籍を追及する急務性はナイやろ??少なくともわたいにゃ、告発するツモリなんざござらぬサ」 

マー坊「モリヤマ氏の遺児 サキちゃんとエイコちゃんでしたっけ?そのコらに モリヤマさんの生命保険は下りますかね?」


リク「ああ。幸いにも、1年前に亡くならはった奥さんの、弟夫婦が《相続法定代理人》引き受けてくれた。八百政が調べてくれたが、姪らの遺産を横取りするよな人間ではないそうな♪引き取り育ててもくれるそうヤ、今 あのコらが住んでいる家も 神戸老人の遺言書に約束されてることだし、ま、最低でもあのコらが成人するまで 教育費や生活費に事欠かないでしょう」

マー坊「で・・・モリヤマさんは・・・自殺なんですか?事故なんですか?」

リク「うん・・・それなんやが、たった1日半で《事件性ナシ》ってことで、解散した 阪東橋署と神奈川県警の合同捜査本部な、この意味は大きい・・・ぶっちゃけ・・・《自殺か事故かは判明しない》ってこと・・・それをナ、警察が《証明》のハンコ押してくれたってことだ。これであの シブチンで有名な綾茂生命保険も《契約者自殺減免》はかけられず満額、早けりゃ正月明けにでも支払いよるやろ。さすがは おねだりABさんだ♪」

マー坊「そうでしたか・・・だけど、つくづく・・・《ワル》だ リクさんあなたは(笑)だけど、あの悪人ゆえにガードが固いイシマツが よくもまあ あんな《チョボイチ》にまんまと引っかかったもんだって・・」

リク「《ウマい話には穴が有る》ってことヤ・・・イシマツの外道も よほどココロに余裕なかったのやろナ、警察に保護される筈が、県警ナメたらあかん・・・イシマツ、アイツの旧悪をすべて裏付ける機会を虎視眈々と狙ってやがったんやワ、銃刀法違反は完全な《別件逮捕》・・狙いの本丸は あの種類の山だったてことやナ」


 店のドアが開き、冬の寒風と共に、独りの男性客がふらりと入ってきました。

マー坊「あ、お客さん 今ママさん 奥で寝ていて、接客できないんで また出直してくれませ・・」
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リク「いいのヤ あのヒトは特別やからさ」


その男性客は 黙ったまま 少し離れたカウンター席に座りました。

マー坊「これは聞いていいものか・・・今回の大仕事でしたが、やはり・・・あの《議長》よりの指令で??」


・・・なあマー坊、ワシも少し前まではナ、《あのヒト》のこと ワシらのような庶民をニキビ潰すよりも簡単にヒネり潰す そんな人間やとばjかり思ってた。

でもナ 違ってたよ うん・・・。あの議長の《意思》はな・・・イシマツの外道が バブル期再来の如くエゲツなく ひかり町で牙むいてきやがったよな?

ぶっちゃけ 議長も事業家だわさ、けっして ひかり町の再開発計画に反対ではないし、事が正式に始まるなら、協賛・投資する立場のヒトや。

っていうかサ・・キミもさすがに 知らん話だと思うデ、ジツは ひかり町の《地上げ》ってのはヨ、20数年前のバブル時代から《既に行なわれていた》のさ・・

ひかり町の住民が・・・あまりに皆イノセントだったってこと・・・この町の住民らを無理やり よそに追いやるのはあきらかに《間違いだ》って思い、《その時期がやがて来るまで》ってことで 債権放棄したんヨ議長は・・・

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そう・・他ならぬ 指揮とってたのは《議長》や・・・驚くやろ?だけど、急にそれ ストップかけたのも《議長》ナンでかわかるか?

あの・・元・町会長だった 神戸老人も誤解してるが、ひかり町の地上げって、けっしてバブルの崩壊が原因で頓挫したのではないんだワ、もっと《人間ゆえの 情けの世界》とでもいうのか・・・

 
議長はネ・・・《もう少し待ってもいいんじゃないか?》ってこと・・・。ひかり町に 未だ居残っている 約10世帯の家、そこには いわゆる《独居老人》88歳から94歳までの婆さんばっかりヤ・・・

あまり詳しくはないが『保有資産の凍結保存』っていうそうな。

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ひかり町のご老人らが住み慣れた町で 天寿を全とうされた その後で・・遺産を引き継いだその子供や孫らに《ごく正しい土地売買取引き》を適正価格で交渉すればいいじゃないか ってナ・・・

それで、ハゲタカ外資にせっつかれて焦ったイシマツが凍結された債権を詐欺同然 いや、詐欺だろ完全に・・・それ奪い取りやがって、一気呵成に地上げ仕掛けてきやがった・・・

コイツを止めるには説得は無理ヤ・・・聞き分ける人間とチャウやろがアイツは・・・躊躇無く 腐った枝を切ってしまうに限る・・・ま そういう事だ あとは勘弁してくれ キミやけどワルいがココまでしか云えんワ・・・。

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・・・でもナ・・ハマの秩序だとか、協議会の意思とか ぶっちゃけ関係あらへん・・・《すべてはカネのため》モリヤマさんの保険金が満額出るか?ってこと。オンタオムの状況をすべて利用し尽くした・・・


マー坊「イシマツは、ぶっちゃけ アタシもヤクザですがネ(哂)そのヤクザからしても許しがたい野郎でした。当然の報いですよ」


リク「しっかし・・なんかサ、イシマツに耳に、なんですかこのワシが《とてつもない化け物》だって吹き込んだヒトもおったそうでヨ・・・めっちゃ失礼や思わへんか?この品行方正な純情青年つかまえて なんちゅ~こと云わはるのやら・・・な?そない思いませんか《ナオトはん》」

そう呼ばれた 先ほど入店してきた静かな男は ニヤリと哂い、席を近くに移してきた。

ナオト「へっ よく言うゼ・・すべてはテメエが描いたシナリオじゃねえかって(哂)」


 そのとき マーx坊はココロで思ったそうです・・・

こ、このヒトが あの・・《ホウジロ鮫のナオト》かっ!?

・・・そうだったか!・・これは 行きあたりばったりの荒業ではない・・周到に計画された《ダブル・フェイク》仕掛けだったか・・ボクシングでいうなら 戦闘開始のゴングよりも前・・・調印式の段階から既に《作戦は仕込まれてた》そういう訳だ・・・。

さすがは 港のリク、イチハラの兄貴が見込んでいたヒトだけのことはある。《ダブル・フェイク》・・・まんまと味方と敵の両方騙しやがった・・・。
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『あ~~いっくら寝ても眠い・・・』髪の毛をぼりぼりかきながら、奥のほうから ぼったくりのママが出てきました「なんだ? ナオトじゃねえか・・オメエ、生きてたんだ?」

「ご無沙汰しております。その節はお世話になりました。恥を承知で またハマの町にワラジ脱がせて貰いました お許しください・・・」
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「オメエ まだ 人斬り稼業してんのか?」

「まさか(笑)今・・女房とふたり、静岡の田舎で ドライブイン食堂やってます。え?儲かりません(哂)でも・・汗かいて、人様を泣かせる事のない仕事の愉しさを憶えました はい・・・」

「そっかい・・・まあまあだナ♪ボチボチやんなよ」

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「その言葉・・・身に余ります・・(絶句)・・・・・」


マー坊「本当に行かないのですか?パーティー・・・」

リク「うん 申し訳ないけど 言った通り、こんな《汚れた男》に 降誕祭の福音は荷が重い・・・これからナオトはんの馴染みの店に場所替えて、ワル同士でひっそり祝うことにするヨ  うん・・・」


ママ「ナオト、オメエ・・ハマに戻る気はないのか?もういいんじゃねえのか?禊なら もう済んだろうに・・」

ナオト「いえ・・アタシの名前を聞いて 気分が悪くなる人が居る限り、まだまだその資格はございません・・・。リクさんとこれから一杯やってから、深夜高速バスで静岡に帰ります。明日からまた、定食屋のオヤジで、サンマ焼きますわ(笑)」

ママ「そっか・・・つくづくオメエって 損するのが好きなヤツだよなあ・・・」

ナオト「これにて失礼します。あ・・社長、リクさんの叔父さんがいらしたなら お伝えください。過分なお心遣いありがとうございましたとお伝えください・・・あと、迫真の名演技でしたとも(笑)社長と・・ママさんの後押しがあったからこそ、勇気を出して今回、このハマの地に舞い降りることが出来ました。なので もう《おとぼけ》は無用です・・・ご厚意 クタバるまで感謝いたします ええ・・・」

ママ「ばか・・・こんな婆あ泣かせてどうするよ・・・」


表に出て ナオトさんとふたり、ナオトさんの馴染みの店がある吉野町まで歩きました。

そろそろ9時か、パーティーは盛り上がっているのだろうな。カラオケかな それともビンゴ大会か?

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盛り上げ要員は充分だ。 エロし会長 タンジ 八百政 キンさんにゲンさん 会社からは カズホにショーゴ、サバ子にホセ がめ子・・・

それから ワシの嫁とゆっこ、実家の姉貴に タコ助とキン坊。みんな充分に愉しんでおくれネ。そして・・親を亡くし 悲しい気持ちの女のコらを たとえ一瞬でも微笑ませてあげてください。頼みます。
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チョっとばかり、手垢がつき過ぎたこの《悪党》は、ご遠慮いたします。ナオトさんとこれから静かに コップ酒をあおる・・・それがボクらの身の丈にはピッタリですから。


それから モリヤマさん・・・オレたち《町内バカ息子同盟》の最大の理解者だったナナタの不慮の死を・・・こうまで利用し尽くしてしまった このわたいをお赦しください・・・

お嬢ちゃんらは心配いりませんから、今後オレらがズっと見守っていきます。約束しますよ。


リク「ナオトさん・・・聞きたいことがひとつ・・・」 「・・・・・」
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リク「亡くなったモリヤマさんの奥さんの弟さんが、今後 遺児らの親代わりになる訳ですが・・・他でもない、亡くなった奥さんの《兄》はジツはナオトさん アナタだって・・・それ本当なんですよネ??」

ナオト「・・・まぁ、それのことはサ・・・今は《永遠の謎》ってことでイイじゃん?それがいいのさ今はまだ・・・」


 不思議なことが起きた・・・ ホンの時間にして10秒ほど・・

クリスマスイブの夜空から、細かな 白い雪がぱらぱらと ボクらの頭上に舞い降りてきた。

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へぇ・・・このヨコハマの街でも クリスマスに雪が降るんだ・・・

もしかしてこれって・・・神様がくださった この《悪党》への ささやかな ご褒美なのかな?・・・

いや待てヨ・・・もしかすると神様はとても怒っていらして『フザケんなこのバカヤロー!おとといきやがれ!』って 塩撒いたのかもしれないや あははっ♪

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聖ニコラスのおっちゃんヨ、わたいはガキの頃からアンタには、アレ欲しいコレ買ってくれ とは言わなかったやろ?

生涯で1つぐらい お願い聞いてくれへんか?? やっぱ・・クリスマスってイイ。年末のあわただしい中で 一時 穏やかにして 優しい気持ちにしてくれる、いいものさ♪


わかってる・・・この《平穏》はホンの一瞬・・・それが過ぎれば またシビアで辛い日常が果てなく続くってことは・・・

でもサ、《それが有って それを愉しみに暮らせる》ってのは、人間にとって けっしてわるいことではないと思うんだ。


願うのはネ、どんな子供にも平等に・・・親を失くして淋しい気持ちの子供にも、来年も再来年も・・・今年と同じように おごそかにて 優しき《クリスマス》が訪れますように ってネ!


    《 完 》


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   クライ・ミー・ア・リヴァー(Cry me a river)


 今さら言うのかよ「淋しくて、一晩中泣いたよ」と

 だったら、ここで泣いてみせろよ てめえの涙が川になるまで

 あのコはてめえのことを想って 涙が川になるまで泣いたんだぞ

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 今さら言うのか「ごめん、あれは嘘なんだ」と

 それなら、今すぐ泣いてみせろよ てめえの涙が川になるまで

 あのコはゆうべもてめえを想って 涙が川になるまで泣いたんだから

    

 誰かをあれだけ騙しておいててめえは、涙のひとつも流しちゃいない

 覚えてるか?みんなは覚えてるゼ、てめえのセコい手口を

 愛はつまらないものと 《真実》はうんざりだって言ったじゃねえか

    
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 今さら言うのか?「これも愛なんだ」と それなら証拠をここで見せろよ

 さあさあ、涙を流してみろって みんながてめえことを想って

   涙が川になるまで泣いたんだから


 https://www.youtube.com/watch?v=itVSIKpEa5E





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港のリク

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港で働く ジツはとっても気の荒い(?)アンちゃん・・・ですが、産まれついてのホルモン分解異常の関係で♂なのにEカップの胸の持ち主 という混沌としているわたしです。

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