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「風街」と「ろまん」 (完結篇)


 今にして思えば・・・あの「悲劇」は、長いといえます「夏休み」が原因だったとも思えて。。。

基本インドア派の 如月風街は、視力のせいもあり あまり活発には外出は少なく、

おまけに、この夏場は、ヨコハマで暮らす 妹の「ろまん」も来ていて、いつもでなら、風街のノルマであります 愛犬の「ステッキ」を連れての 付近への散歩。

それを ろまんが帰るまで、ろまんとリクが デート代わりに代行していた。


要は・・・風街ですが、『自分の視力が より《低下しているのに気づいて無かった》』と。。。
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見えにくいのなら、見栄を張らず 杖でもついていれば良かったのかもって気もします はい。


いつもの 宮津の田舎道。でも 京都縦貫道路って、自動車専用道路の 宮津出口がスグ 風街の家の付近に出来ましてネ、
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田舎道とはいえ、日中も 夜間も、それなりにクルマの通行量はさかんとなっていたって、それも原因のひとつで。


本当に、ナンてこともない 歩道と 本線道路との間の「段差」、高さなんて僅か 8cm程度なものです。

だけども・・・ぶっちゃけ その段差が そこに存在するって視覚情報・・それが そのトキの風街には「わからなくなってきていて」。。。

横断歩道でもない場所でしたが、ステッキを連れた風街は、横断して 反対側の舗道に移ろうと試み、てっきり 平らな道だと思い込んでいた そこには段差が。

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前のめりのカタチで、風街は 道路面へと倒れてしまい、運も悪く 自分の 顔の前額面をしたたかにブツけてしまい・・少し 流血を伴うケガもしたのですが、

さらに悪いことに 「気を失ってしまった」。言葉は通じなくとも そこは賢いうえに 殊更 主人思いの愛犬ステッキ。。


スグに事態を理解したようで、ウォンウォン!!と、声を何度もあげ 気を失っている主人を なんとか起こそうとさかんに風街を さするが如く、鼻先でつつく。

それでも風街は気絶したまま。。。
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その一部始終を見ていた住人の証言・・・

・・・ほんの 思えば十秒って秒数やったけど やったら長い時間に感じられたわナ。。。

メガネのにいちゃんが道路に倒れて、メガネの破片があたりに散らばって・・・

そばで もう本当に必死!って感じで イヌが にいちゃんを助け出したくて 慌てている構図って。

『起きてよ! ねえ 起きてったら!!』って感じで 必死な声を挙げてナ、けなげだったエ。


そうしたなら・・・東京都のナンバー付けた 1台のベンツな・・・40km制限の道路を、たぶん 縦貫道路からの流れなのやろう、

あきらかに 時速60kmを上回るスピードで ドンドンそこへと近づいてきて。。。

ブレーキをかけてる気配すらない。おまけに・・・運転席を観るなら・・・運転してる人間、ケータイ電話で誰かと 運転中にもかかわらず会話に興じてる雰囲気やないかって!!

『あっ!!あぶない!!このままだとブツかってまう!』って ワシも当然やけど思った。でも、咄嗟にはナンもでけへん。

クルマはドンドンとコッチへと進んできよる・・・そうしたなら・・驚いた正直。。。

大声で啼いて にいちゃん起こそうと必死になってた「イヌが」・・・急に コッチ向かって失踪してくるクルマに向かって・・・

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「グルルぅぅ~っ!!」って 怒ったカオで牙を?きだして、まるで・・・覚悟決めたように ダアア~っと・・・

コッチへと走って来よる ベンツ目がけて 【 突進して 】。。。

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              やめろっっ!! 戻れ! ステッキ・・・

パ~~ン って・・・金属音みたいな音が響いた ああ。。。クルマのバンパーにハネ跳ばされたイヌは、弧を描きながら 道路へと叩きつけられ・・・

クチから少し血を吐きながら 苦しかったのやろナ・・・。ホンの数秒 ブルブルっと全身で痙攣見せて ンで・・・パタって「息絶えた」。。。
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リクめは その知らせ、『大変やぁっっ!!リクぅ!!オメエのクラスの 如月風街が!・・飼い犬とイッショに事故に遭ったデ クルマとの!!』幼馴染の 付き人ホットブラザースから聞き・・・

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よほどに慌てて居たでしょうボク、片方はスニーカー もう片方はビーチサンダルってそんな恰好で 全力ダッシュで 現場へ駆けつけますと・・・


救急出動の救急車、ストレッチャーで 風街が搬送されるところで。。脇を観るなら ガードレールを曲がらせ、電柱に激突 前方を『大きく破損しているベンツが在り、

地元署の警察官も数名 来ていました。検証と聞き取りをしています。

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 そして それの脇には、 うつぶせの姿勢で もはや 息絶えている 【 ステッキの姿が 】 っっ!!まさにショックでした。。。


『ってか・・何度もいってますでショ??不可抗力ですってば!まさか あの至近距離で、あのイヌがコッチへ突進してくるだなんてダレが想像できます?』

事故った運転者でしょう 派手なアロハシャツに白の綿パンって、遊び人風のそいつは さかんに事情聴取の地元所の警官へ 喰ってかかるような態度で。
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『ええ…イヌ跳ねて ガードレール擦って 電柱に激突した それは認めます。弁償はしますって、任意保険もチャンとオレ入ってるしネ。』

 ですが その次に そいつは 許しがたきことを。。。

『って・・タマんないスよ!なんたって!いきなり!!えらいスピードで あのイヌが…オレのクルマ目がけて突進してきて。アレ 避けれる運動神経の人間居ないッスってば!』
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   クズだ・・・マジでこの野郎・・・

『でもオマワリさん、オレ交通法規とかで知ってますヨ、イヌ・・【 アレって《モノ》でショ? 】人間相手ならシャレなんないけど、イヌならモノだ♪飼い主さんにカネ払って弁償すれば済みますよネ?』


・・・《モノ》だと?? てめぇ どのクチで ンなことホザイてやがル??・・・

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あんなヤツは 許しがたい。いや、許してはいけないのだ ああいうクソ野郎は。。。

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   でも…たしかにヒト以外の動物は全部「物損事故」…悔しい。。


飛び掛かって・・・って・・・考えていたなら・・

 『ふざけるなぁっっ!!なんやお前!ワシ全部観とったンやデ!一部始終!!』って・・・

それは・・・ダレあろう、工場仕事の帰りらしい 【 マミコのおとうさん 】で。。。
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おとうさんは『さっきからウソばっか云うな貴様っ!!オマエ スピード違反の猛スピードで飛ばしやがってからに!オマケにお前、ケータイで電話に夢中で 前ロクロク見てへんかったやないかっっ!!』


云うだけでは済まず おとうさんは ドライバーのそいつへ つかつかと近づき、その胸倉 シャツを掴んで・・・

『お前ナ!お前ナ! 人間ではなく、イヌならばナニしても許されるって思ってるんか!?この ひとでなしめがっっ!!』
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 ・・・おじさん・・・

『イヌかてなぁ!・・イヌかて、この世に生を受けた 大切な《命》それに変わりはナイのやゾっ!それ死なせといて、お前にゃ償いのココロすら無いっちゅうんかい!?世の中をナメるナっ!!』

「ナンだヨ 離せよ!!痛てえなオッサン バカなのアンタ??」憤る マミコのおとうさんを振り払う そいつ。

振りほどかれたおじさんは、昼前に降りました にわか雨で出来た水たまりに転がっちゃって・・・着ていたシャツとズボンは泥水でみまれて。。。

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それでも立ち上がり、再び ドライバーに掴みかかろうとする おとうさんを止めたのは やはり地元の警官で・・・

警官は おとうさんの耳元 小声で こう云うのがリクめにも聞こえました。

『ヤメいて!ノブさんっ!エエから!・・・後はワシらにまかしとき。。ワシかてナ、さっきからあのガキにゃドタマきてんねん。ダレがアイツの云うような《物損事故》で終わらせるかって!アンタの他にも証言者が要るけんナ、悪筆な道交法違反で、取り調べでチビらせてやっからヨ♪せやからノブさん、アンタもここは鉾納めぇヤ な??』と。
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「そいつ」は 無残に道に横たわる ステッキにお亡骸には目もくれず・・・

『あ~~あ・・・一か月前だゼ、このクルマ買ったの。。。ヘコんじゃうよなぁ・・コレで事故車入りかヨ、どんだけ査定下がるンだ 泣けるゼ・・』

おまわりさん・・・いっそ 死刑にしたってくれへんか? こんな野郎はヨ・・・


わたいは、ズボンのおケツに下げてたタオルを手に取り、マミコのおとうさんへ近づき、濡れてしまった シャツやズボンの水汚れをふき取りました。

おとうさんは、『お スマンの リクちゃん。 つい…ドタマに血がのぼっちまってヨ、みっともないとこ見せてまった。 ああ 恥ずかし』って、ムリしてボクへ微笑みました。


「保健所の収集車が着くまで 通行の障害やけん、もっと道路の端っこに移動させよヤ」と おまわりさんらが、動かなくなった・・ステッキの亡骸を移動し、

正直、あまりキレイとはいえない 薄グレイのビニール風呂敷をかけてて、その様子を マミコのおとうさんは、ぼんやり眺め・・・


・・・ワシな…マジで 観ておったのヤ。あのワン公が・・・倒れて気絶してる にいちゃんを それこそ必死で!起こそうと焦り、ぁおおおぉぉぉ~って、あきらかに 号泣している声で啼いた。

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もう間に合わない・・・って・・ワンちゃんなりに覚悟したのだろう 多分・・・。そのトキのワンちゃんの《顔》おそらくやけど この先もズっと忘れない気がするワ。。。

茶化していう気はコレぽっちもあらへんけど・・な?リク坊、人間だけじゃなくて、イヌの《特攻隊》ってアルのかなあ?・・・

よっぽど、主人に愛されていたワンちゃんだったのやろナ・・・その 愛する主人をなんとかして助けなくちゃって・・・ っっ!!

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あのイヌは・・・あのワン公は、自分の命 投げ出して、倒れているにいちゃん、それを《救おう!》って、そう覚悟決めた顔、ワシにはそう思えた ああ。。。


畜生とはいえ、健気なのものやナ・・・っっ!! ヘタな人間様よかよっぽど!情愛アルってい思わんか??

暴走してくるクルマへと突進する あのワンちゃんには、微塵もビビったり 逡巡するって素振りなんか無かった。断言できる、あれは覚悟の上の行動ヤ。。。

それがなんとも、ワシ 強烈に刻み込まれて・・あのクソガキゃ・・アイツの あの態度と口ぶり、聞いてたら、どうにもガマン出来なくなって みっともないとこ見せて待った。 

・・・って、おとうさんは ナミダを拭った。


ボクは、《別の理由で》・・本当に 泣きそうになっていました はい。

この マミコのおとうさん。キャリア30年にも及ぶ、《食肉の 屠殺と解体》それの職人です。

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ただでさえ、存在する「職業差別といわれなき蔑視」・・《肉の解体なんて仕事に就くヤツはロクデモない血筋の者や》、そして、

地域の 貧困家庭が多く住む 地区の文化住宅 通称《隣保館》に住んでいる事実と相まって、おとうさんと その一家、マミコも含んで、

かれらは、《アイツらは部落民 四つヤ!》って・・・一方的差別に晒されていたのでした。
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先程の オマワリが、ノブさんと、親し気に声をかけてきたのも、それは決して 友人とかだからで無いです ええ。

それの理由は・・地元で 窃盗や盗難などの事件が起きますと、警官が 真っ先に捜査に向かうってのが、マミコ一家も済む 隣保館であったからってのが理由で・・・事件のたんび、警官が聴取にその都度来るうちに 顔なじみとなったって、1つの「不幸」

ホント・・・酷いハナシですよね? 証拠もないのに、隣保館のヤツはナニするかわからへんって、ただそれダケの理由で、あらぬ嫌疑を「真っ先にかけられ続けた」。。。
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それがどうでしょう? おとうさんが、大手食品会社の工場に勤めだし、隣保館を出て 一家が 駅近のマンションへと移り住んだ 【 途端 】・・・

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      周囲の人間は 見事までの「てのひら返し」・・・

街の人々は、テメエらがかけてきた 数々の差別行為なんか コロっと忘れて・・・《や~最近のノブさんはスッカリ 真人間になってよかったナ♪》などと。。。


おとうさんは それこそ毎日、30年にも渡って、牛や豚、数多くの家畜を屠殺してきた。「生きるために」。。。

わかります、『ダレが好き好んで動物をコロしたいなんて思うかっっ!!』・・・おそらくですが おとうさんは、自分と家族が「生きる為」、
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ココロならずも 手を下す所業に、心で手を合わせながら、処分される動物らの冥福を祈っていたのだろうって。

きっと、おとうさんにとっては、ヒトの命も 他の動物の【命も】上下なんて関係ない、すべて「等しく平等で大事」と感じていたのだと しかと思えるのです はい。当の自分や家族が いわれなき差別を受けていたのですから、ステッキを思う気持ちにウソなんてあるか!!

・・・だからこそ・・偶然 居合わせただけの、知りもしないワン公、その健気な、己の命を懸けた行動それに、こんなにも 泣いてくれているのだ。。。
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 コレを《それは偽善だ》っていうヤツは前へ出ろ。 ワシがぶん殴ってやっからよ・・・・・ 

納得いかない いわれなき長年の及ぶ 差別、それを受けて来たヒトだからこそ・・・主人を守るために あえなく死んだ・・一匹のイヌ それをこうにも「思いやれるココロを持っているのだ」ああ。。。

ナミダを拭いながら おとうさんはボソっと、『それにしても・・さっき救急車で運ばれよった にいちゃん・・愛犬が死んだって そう聞かされたなら・・どんだけか、悲しみはるのやろナ・・・マジで それも不憫やて・・・・』


 通行が再開され、通り過ぎる多くのクルマ、そのドライバーは、ステッキの亡骸なんかには ナンの興味もないでしょう。

通り過ぎるクルマの起こす 振動で、かけられたグレイのシートがパタパタ、その度に揺れるのが どうにも哀しかった。。。

警官に許しを得て、わたいは、最後・・・少しだけ ステッキに触らせて貰いました。そのカラダ撫でますと・・・まだ…暖かな ステッキの「体温」が残っているのが、たとえようもなく 悲しかった。。。


    『 ・・・ステッキ・・・ 』


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「ステッキ」を・・・失った 親友の「風街」は・・・

マジで 本当の「自暴自棄」に陥ったようでした はい。自分が転倒し受けたケガはたいした事もありませんでしたが、

愛犬のステッキを失った そのショックは 計り知れなかったようで。


かれの その悲しみを思うと、わたいですが 迂闊にくやみの言葉を述べるのも なんか気が進ます。。。

それでも、風街のお父さんから『なんとか風街を 元気づけてやってくれないか?》って、お電話をいただき、ボクは重い足で 風街の家を訪ねました はい。


風街の自室に入りますと、風街は、デッキチェアにフテくされたように身を投げ出した格好でした。
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・・ん?なんかヘンな匂いが充満・・・あ?コイツ、タバコ喫ってやがル・・・。それだけやないデ・・バーボンウィスキーまで。。。

刺激しないようにとは思っていたがガマン出来ず わたいは、「こら!風街! オメエ、どういうツモリやねん!緑内障にタバコって、それ いっちゃん!してはアカン組み合わせって知ってるやろがっ!」

そう怒鳴ると 風街はダルそうに・・『やかましナ。。放っといてくれヤ。ボクは・・もう どうなったってエエねん ああ。早くももはや余生ヤ♪早くクタバリたいワ はは♪』と。
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ステッキを失ったショックと落胆、それは判りましたが、でも・・・

わたいは、「・・・ヤケになってしまう、キミの気持ち 判らないでもない。」 風街「それはどうかな?・・・おためごかし 云わんといてくれるか リク キミもダチってなら、緑内障に効くってゆ~マリファナでも仕入れてきてくれへんか♪」

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       そんな…哀しい姿を見せてくれるな 友よ・・・

リク「そうかも知れん・・・だが・・聞けヤ 風街。一命を賭して キミのこと救った、あの ステッキ、かれの《行動の意味》、少しはそれ 考えたらな、浮かばれんエ?ステッキも。。。」

風街「・・・おバカなイヌだヨ・・っっ!! こんな!もうじき目が見えなくなって、父さんやろまんに、迷惑ばかりかける身となるだろう、こんなボクのことなんか放っといて、早く逃げてしまえば良かったんだ・・ステッキ・・」


リク「そんなこと・・・ステッキ哀しみよるデ??」

風街は言った。

・・・なあリク? 悪いけどキミには、この《時限タイマーが作動した病人》その気持ちは判らない・・・。

ああ・・今まで 見えていた世界が・・・やがて《思い出だけに変わる》って・・・時々クルいそうになるんだ ああ。。。

でも、そんな思いも、いつもそばに ステッキが居てくれて、やさしくボクを見守ってくれていたからこそ「耐えられた」本当だヨ。

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   風街、オマエには愛する妹「ろまん」だって居るじゃなしか


だけど もうそれは無い。。。そうなるとサ、今観えている世界や光景なんてのは むしろ《幻》なんだ。


だけど・・こないだの 格闘技戦でのリク、キミの姿・・・アレは本当に「見事」の一語。

判ってたゼ・・キミはマルオをはじめ、ダレひとり、傷つけたりはしたくなかった筈だ。だけど あえて・・・《鬼と化した》、その 天使と悪魔を両方背負った、キミの姿は 正直 神々しかった ああ。
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理解しないヤツなんか放っとけ!キミは このボクに 一生消えない残像・・それを刻み付けるために 闘ってくれたのだよな?


わたいは云いました「でもナ・・・こんなワシのマルオの肘破壊した、あんな悪行の姿よりも、ズっと 比較にもならへん・・・キミのそばには、《世界一 美しい世界》それが いつもスグそばに存在してたのやデ?」

風街「どういうことヤ それは???・・・」


・・・《あの映像》それを風街に見せよう。。。そう決めて。

「チョっと待っててヤ、お父さんのパソコンと、ビデオ再生マシンを同期させるから」(思えば手数のかかる時代でしたね)

例のディスク。『無断ですが チョっと お借りします』って念じて、ボクは ビデオ再生のボタンを押しました


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 延々と続く 夏の小道 時折 さも暑そうな『ハッハッハ!』って息声が聞こえます。

やはり、ボクが最初に観た時とマッタク同じ反応、風街は『ん?なんだこの映像は??』って 怪訝な目で観ています。

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ズ~っと、地を這うようなアングルからの「映像」 時折 それが垂直に上がり、見上げるアングルの先には、真っ青に晴れ切った 青空と、そして白い雲が。。。


やがて その映像は、公園らしき地域へと進み・・・ 「ん?これは、島崎の公園と違うか リク?」

低いアングルは変わらず、ズっと 撮影者(?)のカメラは 公園の先へと進みます。

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サッカーボールを蹴っている男子の子供が見える。コッチを見て 一瞬驚いた顔を浮かべ、で 次の瞬間 ニッコリと微笑んで、やさしい表情を浮かべ。
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ベンチに3人で腰かけている 地元のおばあさんらが見えた。少しだけ コッチの方に 手を伸ばすような仕草を見せて やはり やさしく微笑んでいる。

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別のベンチでは、若いカップルが なんだか深刻そうな顔を浮かべて 言い合いをしているような図。やがてスグに コッチに気付き、急に 表情は和らぎ、やさしい表情の寄越します。


 風街『 ・・・ああっっ!? コレは・・っっ!! このアングルって、もしかして・・【ステッキが観ている世界なのかっ!?】・・・ 』

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          みんなが「やさしい」・・・

日陰で ムスっとした顔の男性老人、やがてステッキに気付くと、ぎこち無いないながらも、普段 自分の孫らに見せる顔つきと同様なのでしょう、「あやす顔つき」へと早変わりして。。。

女のコらの集団が横切ります。みんなコッチに手を振りながら、いかにも やさしげにニコニコしながら通り過ぎていきます。

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撫でてくれるヒト、ダレも嫌悪の表情老いは無い。通り過ぎる他の犬も、人間の視線の高さから判ら韻だよネ、あきらかに ニコやかに『笑っている』。。。


・・・そこには、差別も偏見も ましてや 憎しみなど「一切ない」・・みな 本来 持ち合わせている筈の【ヒトとして やさしき部分】それを隠そうともせず、やさしく ステッキに向けているではないですか。

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       すれ違う 他のイヌまでもだ・・・

風街は泣いていた 無論、ボクだって。。。

風街『これが お父さんの《実験》か・・・。知らなかった・・・CCdカメラを ステッキの目線の位置に仕掛けたのか・・。ステッキが・・普段 観ていた《世界》ってのは、こうも!!【 美しいものだったなんて!! 】』と 泣いた。


 ・・・な? 美しいよナ? コレがキミに見せたかったのヤ ああ。ステッキが観ていた《世界》それは こんなにも【美しかった】。。。

それだから!あのステッキの「ココロ」はピュアであり続け、あんなにも【やさしかったのだ】・・・な?コレこそを【 美 】と呼ばずに、この世のナニを指して 美しいって云うのやろか?知ってるなら 教えてくれ風街よ。。。


 そして・・・忘れてはならない・・・この《映像》こそは!・・・ステッキ自身が 望んでいた【 とても穏やかで みんなが 優しい世界の図 】だったてことなんだ ああ・・・。

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翌日。わたいは、風街を誘い出し、付近を散歩へと出ていました。 心配すな 風街、イッショのトキは、このワシが ステッキの替わり努めるけん♪

午後の丹後 日暮れにはもう少しの時間帯。

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風街が呟きます「すっかりと・・夏も終盤ってか、もう秋に変わってきよるナ」

わたいも「ああ。宮津の 灯篭流しも、京都市内の 五山の送り火も終わったしヨ。見えるやろ?エラい数のトンボが飛んでるワ」

風街「リク、キミ…どうあっても あの格闘技のウラ賞金・・受け取ってくれないのか??」

リク「ああ。そんな気分にならへん。ナンなら いっそのこと、出場した8人 もちろんキミも入れて、 ぶっちゃけ、《打ち上げ会》ヤ♪ お好み焼きと焼き肉ぱ~ち~開いて♪パっといったろやんか♪」

風街「それもエエけど・・《それ」 》したところでヨ、ワシらは高校生、サケもおおっぴらに飲めんし、いっくら食いよったところで、3万とチョっと程度やろが?宮津界隈には高級店もあらへんし・・」

リク「余ったなら 大事に貯金としとけヤ♪どうであれ、あのカネは、キミの人生初の貴重なル《評価》、間違っても安易に無駄遣いするもんとチャうやろがって」

風街は、空と大地 そして周囲の風景を改めてのように 見渡しながら・・・


風街「こういう・・なんでもない風景だって・・・気持ちや思いを切り替えるならば、世界一に美しい光景なんだよネ なリク?」

リク「ああ・・・それを いみじくも教えてくれたのが あのステッキなんヤ・・・」


向こうの方角から、背の高い男子高校生らしきオトコと、傍らには女子高生、 カップルと呼ぶには まだ ぎごちない感じで。

よく観るならば それは・・ 「マルオ」と「マミコ」で。

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マルオは、左ひじ付近を軽い くの字に曲げたギブスに覆われていました。もう退院したらしい。

こうして観ろと、なんだかマルオは 試合のトキまでのカッコマンにして傲岸な雰囲気はスッカリ失せ、憑き物が取れたようなカオをしていました。

近づいて 視線が合うと、マルオは 少しおどおどとしながらも、わたいへ ぎごちなく微笑みました。

マルオ「後遺症の心配は無いそうヤ。リクの云う通り・・マイッタ!せんかったワシがなんたって悪い。気にすなヤ。ウチのオフクロにも えらいお目玉喰らってまってナ・・《アンタいい気になりないなヤ1どう頑張ったところで勝てない相手は居るのやから!》って。でも・・・ぶっちゃけ・・痛かったでぇ~~(笑)オレもオトコや、四の五の言い訳せん!リクの勝ちヤ」

そして・・マルオはゴソゴソと ズボンポケットから、旧いノートらしきものを取り出し・・・

・・それでナ、今日はジツは そこの、風街クンに用があって。。。

あんナ・・・ウチとこの旅館の風呂なのやが・・ジツは 一般に公表してない《隠し湯》があってヨ、一般家庭ん風呂桶と変わらない程度の それは小さい隠し湯なんやけどネ、商売にする程の《湯源》も乏しいのヤ。
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効能は《ラジウム鉱泉》それだけやなくて、海岸脇やろウチ、なんか海の成分も混入されてるらしくて、それ・・眼病患ってはるヒトとかに、バカに出来ん効能があるそうなんヤ もちろん緑内障も。


で・・この古びたノート、これ、先代のうちとこ旅館の番頭さんが、マメなヒトで、その隠し湯を提供して 効能があったヒトとかの詳細をこまめに書き記してはってナ。利用者からの感想も書かれてるワ 参考になったらって。

時間があるトキにキミも読んで欲しい。で、少しでも興味が湧いたら、是非!そのうちの 隠し湯浴びに来てくれヤ♪

いつだって歓迎する、同じガッコに通う者同士、カネなんざ1円もとらないからサ♪ 正直・・キミの絵の《ファン》でもあるのヤ ワシもネ(照)

 そう云われた風街は 微笑んで・・

・・・ありがとうございます マルオ先輩・・・。是非 甘えさせていただこうって思います。その節にはよろしく。

でもネ・・あんまりボクのこと 腫物扱いせんといてください♪ 目が醒めたのです「あることで」。

マルオさん《ベン・シャーン》そして《エドガー・ドガ》って知ってはります?どちらも《盲目の画家》なんです ええ。

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     『盲目は私の創作活動のハンデではない』とシャーン

そのハンデだろうと いくつもの傑作を遺していますかれらは。ボクがこの先 全盲になろうと、この世界には そのお手本となる先輩らは星の数ほど居る・・・

午前の郵便配達で こないだ検査した結果が届きましてね、ボクの「目」当初の予想よりも 光を失う可能性は薄れてて♪今後の治療次第では、全快まではいかなくても、片眼だけでもセーフとなる可能性が十分あるって。

だから「負けません」、たとえ光を失ったとしても、ボクには《想像を超えた美しい風景》その記憶で 充分 生きていけます♪


うんうん♪ ココでいっちょ、わたいもカッコつけたろやんかって♪

リク「で・・マルオ先輩?」 マルオ「え?なに?」

・・・ほかならぬ《マミコ》です ええ。。。

もう・・・マミコのこと、ドッチが《とるのとらないの》って・・そんなん ヤメにしません??

ワシも ココ数日でよくよく考え そして反省もしました はい。気付かせてくれる出来事も有って。。。

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マミコは《物》ではありません・・・。独立した 崇高であり、かけがえのない 1人の人格です。誰の所有物でもない・・・マミコが、果たしてドッチのオトコを選ぶか?? それは・・マミコの選択に委ねませんか??


なんたって、まだまだボクらは あまりに《若い》、急いて 答えを決める必要もないでしょう?

その答えが出るまでの間・・・《♂2 ♀1》って、《ドリカム関係》で、牽制しつつ(笑)楽しくヤってきませんか? ネ♪
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          当時の「ドリカム」はトリオで

返答の替わりに マルオは 笑った。ジツに良い 笑顔でしたよ ええ。。。


 ったなら・・風街が急に・・・

風街「こら!リクっっ!エラそなこと言いやがってからに!オメエ、オレとこの妹 キズモノにしたやろがっ!チャンと最後まで責任とって貰お~やないか!!」

リク「・・・あ、あのなぁ・・・(--;ンな ムチャクチャ云いないヤって!」

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この 道端での即席漫才に、固い表情だったマミコは、『ぷっ!』って、噴き出して笑った。マルオも朗らかに 声を挙げて笑った。

云った ボクらも笑った。ゲラゲラと止まらない空気で。これまでの すべての わだかまりが全部 溶けていくような、そんな気がしました はい。


 そうなんだ・・この世界、 とくに 人間っていうのはサ・・・【 おぞましくも 美しい 】それなんだ。。。

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       丹後半島 大江山から見下ろす雲海です

ドチラの面も全員が抱えながら「生きている」。それを 教えtくれた 【 ステッキ 】よ ありがとな。。。


       《 完 》


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   【 トリップダンサー 】   By ピロウズ


 アラームが鳴ってても 目覚めないこの国に 生まれて来た ぼくらの現実は

 ハンドルを縛ったり ハードルをくぐったり 慣れるなんて絶対不可能さ


 配られる種で育つ未来 笑い飛ばした君を 喜ばせたいけど

 僕の振り回す手が空に届いて あの星を盗み出せたら 何か変わるのか



 たどり着いた誰かが 残していった旗に 群がるなんて下品なしきたりさ

 来るべきときが来たら 君の立つ足元も 頂上なんだ それは間違いない


 海を逆さにしたような空 レインコート着たまま 溺れそうになっても

 歩み寄るべきだなんて思わないだろう 探してるものは僕らの中で騒いでる

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 僕の振り回す手が空に届いて あの星を盗み出せたら 何か変わるのか

 歩み寄るべきだなんて思わないだろう 探してるものは僕らの中で騒いでる

  yeaaahhh  Trip Dancer


https://www.youtube.com/watch?v=t4ETUI56vXU

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港で働く ジツはとっても気の荒い(?)アンちゃん・・・ですが、産まれついてのホルモン分解異常の関係で♂なのにEカップの胸の持ち主 という混沌としているわたしです。

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