そいつは ある意味において 『とてもチャーミングな野郎』だったのは否定しない。
ホモの気などいっさい無い リクめですが、チャンドラーの名作『 長いお別れ 』に登場する テリー・レノックスへ抱く、フィリップ・マーローの気持ちがどこが理解できるとでも云うか・・・
一見 調子よくて、その持ち前の明るさは、案外に底の浅い、出たとこ勝負の あざとさをスグに感じてしまうのだけど、
でも それを補填して上回る「独特の 上品さ」れが 確かに そいつには有った。
『リクさん・・ですよね? どうかな?・・ひとつ、ココは 業界で嫌われ者同士で 手を組まないかナ♪』
箱根に建つ ■■■ホテル そこのBARラウンジ、そこは 東京・横浜の港湾系商社筋の人間の 一種「情報交換の場」で。
正直、さしたる収穫ってなると、そうそう毎回は無いものです、ただ、「最近の空気の状態」それを読んで、感じるためには案外と価値があります「集会」で。
一般の泊まり客も行き交う場所でもあり、さしてクローズした雰囲気ではないですが、それでも独特の「ノリ」が有るってのも否定できません。
みな 内心では『なんとか寝首をかいて 出し抜いてやりたい』って、そいんなギラついた気持ちは・・『モチロン抱えてます』
テメエ以外の 他社の人間、信用なんかマルでしてませんし、昨日までの「朋輩」のツモリが、今日には「完全なる敵」ってな場合も 珍しくも無くて。
ある面では ココの場・・『スパイの情報交換エリア』ともいえます、ポーカーGAMEにきわめて似ていて、自分の情報をワザとに、出すフリをするも、あくまでそれは《疑似餌》で・・・
ついつい その疑似餌につられて クチをパックリ開けて飛びつくダボハゼを狙っているのが「われわれ」。
「ども。新規参入のチンケな会社です。ブルーラグーン交易の 五百旗頭(いおきべ)っていいます。海外バイヤーからは ファイブハンドレッド・フラッグで・・《フラッグ》ってなニックネームで通ってます」
そう自己紹介し 《フラッグ》は、リクめの座る カウンター・ストウールのヨコへと腰を下ろしたのでした。
ギムレットには 早過ぎる
「しかし、アレですよね リクさん?」フラッグは やや馴れ馴れしく、それでも相応の遠慮と、マナーをもって わたいに問いかけてきた。
・・・云うまでもないことですが、リクさん・・ぶっちゃけ この業界ってのも、ハッキリしない、案外に内側それのみで ちっちゃく固まってるって、偏狭な世界ですよネ?
色々と リクさんも苦労してるでしょ? なあに 観てればスグわかりますよ。《会社としての歴史と格》ってのかな? 実力と周到な根回し、そういった《努力の結果》なのに、そういった《社格》によっちゃ、アイツの手口は汚くて下品だ・・なんて陰でケナされる・・・。
それに・・・コレ云っては失礼わかってますが・・・その会社でさえ・・冷飯喰わされてるのでしょリクさんは・・・。ホラ、こないだの 中華圏との取引でも、かなりの数字挙げたのに、他の部署に 持ってかれてますよネ?? よくガマンしてますね?
『ふん・・・。ぶっちゃけ しゃあないンだワ。《港の掟》ってやつにワシ踏んでまってヨ、石持て追われて当然なところ、なんとか・・・首の皮一枚で踏みとどまってるって、未だ、監獄に入れられた囚人となんら変わらへん立ち位置やからワシは』
堕ちた彗星には迂闊に近づかんが得策やデ・・
「だけど・・」と フラッグは。
・・・でも ウチの社も同じようなもんです ええ。これまでにも、何度も《してやられた》・・・。
プレゼンで提出した《ビジネスプラン》・・・ちゃっかりと盗用でパクられて はいまたネ~♪ で終わり・・・そんなのの繰り返しです・・・。
ま・・こんな状況に甘んじ、10年以上も受け入れて その都度、貧乏クジ引かされようやっと・・・仲間と認められるのですかネ(嗤)
『 ひとつ・・・プランがあるんですヨ 聞くだけの価値はアルって保証します! 』
そいつ《フラッグ》の計画とは、たしかに ウマいとこに目をつけやがったなコイツ・・・って思った。
なんも「目新しさ」などは微塵もないです、だけども、言われてみれば、今までにドコにも存在してなかった「手法」で。
無駄のきわめて多かった、ウチとこの 海運系の会社における 会社改革とは、なんといっても・・「空荷」の徹底的排除でス。
どこどこの国の港から この貨物を運んで来いって業務依頼を受けます。で、そこへ出かけて 自社のタンカーや貨物船に搭載し 戻ってくる。
今までの時代は「それが当たり前」。しかし・・・考えればスグに判る・・・『出かける際は カラっぽで出かける』・・・こりゃあ効率イイ訳が無い。
フラッグ「自社の依頼物件だとかって、そういう《縛り》を飛び越えちゃうんですよ!イイじゃないスか?他社の貨物ただ運ぶってダケでも、《空荷物》でマヌケに出かけるよりも、よっぽど飛躍的に《口銭》が増大化します」
奴・・フラッグの会社は その一連を PC完全管理し、効率的プロイグラムを提供する って・・・。
たしかに「良い方法」だった。ぶっちゃけ「たった それダケのことで」・・・1回の航海で挙がる口銭は、徐々にですが『あきらかに上昇』し。
それでのコツコツ、積み立てで、会社の抱えていた負債の幅は みるみる圧縮されてきました はい。
モチロン、強い反対意見は 社内でも途切れず、『そんな行儀のよくない真似してイイのか!?』『業界の仁義ってもん チっとは考えろバカ!』っと。
ホメられることよりも、『・・・やっぱ、リクなんて野郎は、反主流の《狼》か《ゲリラ》だワ。ストリッパーでたとえるなら、ウケる為ならテメエの出産でも見せましょう って、ンなロクデモない人間ヨ』と。
けっ!《数字挙がるなら》ストリッパーだろと なったるわい!ヴォケ!
わたいは それ受け入れつつも、やっぱ当時の心境として 内心では・・・『アホぬかしやがれっっ!!だったらヨ、そんなに気に食わないってならば、とっとと中止命令、それ出してみやがれ!挙がる口銭ダケ、ナンも抵抗もなく勘定に入れてヨ・・それの矢面に立つワシひとりが主犯だってか?上等やんか!何様じゃテメエっちらは・・』
取り扱うコンテナ貨物の量も増えた。『通過するだけの 他社の貨物ばっかで忙しくなるのも なんか・・納得いかねぇよなあ・・』って、そうボヤく港現場の人間らでしたが それでも次第に・・・
『でも・・・やっぱイイもんだよナ♪ ヒマだヒマだって嘆いて事務所でお茶飲んでボヤいてるよりも、こうして忙しく働けてるってのも』それだけが「救い」だった。
フラッグが こうした《共闘》を持ち掛けてきた 本当の真意・・・それは、フラッグが代表を務める ごく新規参入の弱小会社が、海運系貿易事業に食い込む その手段・・
港に貨物船が着岸して、それまでムダに コンテナヤードに、1つ1つが巨大なコンテナ貨物を積み上げては しばらくの期間、それを放置するのみって状況を、
予め、買い手が確定している 地方とかの工場や会社に、ヤードに積み上げるなんてヒマすら与えず、チャッチャと、手の空いている運送業者、トラックやそのドライバーを、PCで管理把握しローテイションを組み、フレキシブルに動かしていく、それの中核となるのが フラッグが構築した「新規のプラン」でした。
またたくうちに・・・関内駅ウラの旧い雑居ビルの一室でしかなかった、フラッグの会社のオフィスは・・・
大桟橋付近にあります ピカピカのビジネスビルに居を移し、街場のウワサでも、「今イチバン光ってる人間」として その名声は高まってきていました。
『スッゲ~じゃん!日経ビジネスにフラッグの記事出てる!』『ああ なんか来週、深夜帯の経済番組にも出演するんだとか』
正直、リクめには 笑っちゃうほど・・『ナニひとつ 称賛の声など無く』、ある意味でいうならば「軒先貸して 母屋取られた」状態ともいえましたネ。
「汚名」着た人間に賛美は 無い・・・
ですが、わたいとしては、ンなわたくし個人に対する称賛の声なんかよりも、傾きつつあった 社の財務を好転させることこそが より大事であると思ってました 本当に。
しかし、フラッグは、いったん波に乗れたなら もはやリクなんかは用無しだって、そんな態度する人間ではありませんでした はい。
殆ど 1日おきぐらいの頻度で『ねえリクさーん、今夜あたり飲みません??オゴリますヨもちろん♪なんたって恩人ですからリクさんは!』
屈託もなく、マジで楽しかったのは この頃かも
最初のうちこそ、そこいらドコにでもあります 居酒屋、焼き鳥屋だったのが、次第に・・・お誘いの場所は、寿司屋となり、やがては 高級クラブ、ホテルのBARラウンジへとグレードUPしていきました。
羨ましいって・・・気持ちは やっぱ・・・有ったのかも知れませんよネ(笑)でも、けっして負け惜しみではなくて、その当時のわたいは、チーム親方を拝命し まだまだ間もない時期であり、人数も増えた事務局も忙しく、役員などには程遠い立場ですが、実質として 第2営業部を陰で仕切るべき立場ともなっていて、
要するに・・『イイ気になって お外で飲んでるよな《時間が無い》』それでした はい。
「リクちゃ~ん、ゼンゼン付き合ってくれないじゃん、もしかしてオレのこと避けてる?(笑)お手間は取らせないッスよ、とにかく!一度でイイからオレとこのオフィスに来てください!真夜中だろうと待ってますからサ」
まあ 逢うってことに なんら抵抗も無い。いい加減ここいらで表敬訪問するのも礼儀かな?って思い、フラッグの会社オフィスがあります所に 立ち寄ることとしましたリクで。
正直、思っていたよりもズっと、瀟洒であり かつ豪勢なオフィスでありました はい。『ウマいことヤリやがったナ コイツ』って気分になりました。
受付嬢&秘書って感じの、リクなんかより 少し年上? かなりの美人であり、かつスタイルもよい、
それにナンたって、『ワタシは仕事も出来て 頭もキレますから』って、そうカオに浮き出ている女性社員の応対を受け、
そこいらは判っているツモリ、これみよがしハッタリの皮張りのソファーとは違い、あえて高反発のジミな でも、国産の最高級品NOYESソファだよな?コレ、ぶっちゃけセンスええやんか。
『やあ♪ やっとこさ・・来てクレマシネ リクさん♪』満面の「勝者の笑み」で、
社長室のドアが開き、出てきたそいつは、箱根のBARでは アオ●マの出来合いスーツだったのが、今や、
コレが、アルマーニとかだったら『けっ!所詮はテメエも俗物かヨ♪』って内心絵バカにするところだけども、ERMENEGILDO ZEGNA(エルメネジルド ゼニア)・・・
仇っぽくもありながら、けっして華美には流れず 品の良さを強調する そのメンズスーツ姿で現れた《フラッグ》・・スウェットパーカーにジーンズだったわたいはチト、負けたな・・って思いも。。。
『飲むのがアレなら、メシ食いましょうヨ♪』ってんで、断れず、 横浜ロイヤルパークHOTEL・・ 要は「ランドマークビル」の68階、の和食「四季亭」で、フラッグとリクめ そして 秘書の女性の3人で卓を囲んでおりました。
『・・・正直・・マズい訳が無い。だけんども・・・ベツにココこそがハマで最高の味だとはいえんわナ 相変わらず・・・』内心ではそう思ったが、クチ出しては「いかにものヒガみ」って受け止められるだろうって黙ってました。
「わあ♪ お魚キレイに食べるんですねぇ リクさんは♪」って、秘書の女性にホメられましたリク。
「お育ちがきっと上品なのでしょうねリクさんって♪」
「いえいえ、トンデモございませんで。ぶっちゃけ、その反対で貧乏人の出なんでおます はい。そのくせミョ~に、箸の上げ下ろしにうるさい家風で育てられてネ、ガキの時分からバイトしてた魚市場で、売り物にならん千切れたよなサカナ貰って食ってばかりいたもんで、食べ方ダケは多少うまくなったって それダケなんで」
なんか・・・フラッグが わざわざこのような店に食事に誘ってきたのには、単純に 人恋しさからではなく、
なんらかの「意図」があってのことだろう・・・コースの最後 デザートが出てスグに、よほど賢く察しが良い秘書でした。『社長、チョっと用事がありましてワタシ。お先に失礼してよろしいでしょうか?』って、気を利かして席を立って帰りました。
「いかにも キレ者って感じやナ あの女性 ええヒト雇ったやんかフラッグ」わたいが そう云いますと、
「あ?あの 蛸壺さん?そうだよネ、正直、チョっと出来過ぎるっていうか はは♪・・」ナンでか?そういってクチごもるようなフラッグ。
「それよりも リクさん・・・」 フラッグが小声になり 前の方向に身を乗り出しながら・・・
・・・ねえリクさん? ココいらで もう一段・・・オレらで商売、先へと進めませんか?? イイ新規の計画あるんですよ ええ。
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リク「って!!おいっ! ぶっちゃけ それはアカンやろが!具体性の面でヨ・・・」
フラッグ「ええ~?・・・なんでヨ リクっちぃ・・・。アンタがまさか ンな常識に囚われた事云うの似合わんですゼ」
・・・セイ●ヨウ・ストアに日々卸される 大量の商品、フラッグの「プラン」とは・・・
『ご存知のように、《調整品》って名の付くモノ、要はそれって、みんな《小麦粉製品》です。カナダ小麦を売る 現地の業者筋すでにおさえました♪で、リクっちの海運系が、それ一手に国内港へ運び、ンでオレとこの配送網が、セイ●ヨウ・ストアの自社工場にダイレクトで運んでしまおうって寸法、イイでしょ♪』と。
リク「常識的って・・・それはチト違うデしかし・・・。《月に雁 柳に風 梅にウグイス》ってナ・・・セイ●ヨウにはヨ・・・ぶっちゃけ その発足以来からの、歴史を刻む同士としての配送体制が確立しててサ・・」
「知ってますヨ。&%$連合・・・早い話が ヤクザでしょ?そこのフロント企業」こともなげにフラッグは云った。
いたずらっぽく嗤いながらフラッグは「まっさか・・その ヤクザ怖いんスか リクっちは♪」
わたいは「怖いって・・・。まあ聞けヤ。どんな業種・業界にも《適正人数》ってのがあってヨ・・・。善悪でくくれない問題もある訳、一か所としてなら大店舗とも呼ばないけど、全国的規模と知名度もあるセイ●ヨウだからこそ、現代の日本人は およそドコの地域でも安心して日々の買い物ができるって云えますやん?そのセイ●ヨウと、二人三脚でズっと寄添ってきた あっこのフロント企業、そのラインに不要に踏み込むってのは・・・企業メリットってよりも、全体的意味で 無用の混乱起こす懸念が強いって思わんか?」
フラッグ「案外、コンサバなんだネ リクっちアンタって・・・」
リク「ベツにヤクザなんざ怖くは思わへん、アイツらはけっして強くも無い、ただただシツコいダケやがナ。ってか、心配してるのは ぶっちゃけ、キミの社の方なんだゼ?ぶっちゃけ 持ちこたえるのか?ヤクザ敵に回して 持つ??。」
・・・調子にノリ過ぎてるなコイツ・・。と思いました はい。
挫折知らずで 波にノった ポっと出の若い経営者が よく陥る自信過剰のドツボというか・・・。
う~ん・・「リスク管理と保全性」チト欠けてるナ・・・
リク「それよりも・・・ぶっちゃけ どや?同じカナダでいうならヨ・・・日商岩●・・今はソージ●か・・、あっこが一手に握ってる、乾燥トウモロコシ粉、ヨコから まんま奪い取るプラン、それワシ考えとるのやけど 乗らへんか♪」
フラッグ「・・・う~~ん・・正直・・それはチョっと・・・。ナシってしません??・・・」
リク「ナンでヤ? エエやん!これウマいこと進めば、《うまい棒》が¥2円下がるデ♪《とんがりコーン》も¥20円ばかり下がる。消費者、子供に感謝されよんデ」
フラッグ「もっと・・なんていうか 効率性よいもの目指さない?」
リク「矛盾してへん?小麦かて 効率よいとはいえない いなたいモンやと思うが・・・」
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って!!・・・ナンでこうなるか???
ボクら リクめとフラッグですが、今・・・時刻は深夜、ハマスタの脇、翁町の細い路地裏をダッシュで逃げています はい。
『うらあ!待ちやがれっっ!!』金属バットを手にした 若いチンピラ総勢6名ほどが 背後から追ってきます、&%$連合の息の者らです。
リク「こら!テメ フラッグ!!ナニがウマい計画ヤ?ハナシがチョロっと、世間に漏れたってダケで、なんヤ?この有様はヨ!!」
フラッグ「って!今そんなことでモメてる場合じゃないだろっ(泣)とにかく逃げなきゃ!!」
・・・イっただろが・・・。半世紀にもわたる 『固定化された利権の構造』に、《根回し》もしねぇでもって、いきなりヨコから切りつけたら、ど~なるか?? 例のセイ●ヨウ「利権」・・・。
&%$連合の肩持つ気などナイけんど、アッチからすんなら、ワシらは完全なる《侵略者》やデ? 防衛本能が働いても当然・・・まっさかホンマに、フラッグがナンの防御手段講じてなかったとは トーシロだコイツ・・・。
・・・《あいつ》・・・。まさか すんでで「オラ知らねぇ」はナイだろナ??こんなコ汚い路地裏で 撲殺されるなんてマッピラや!!
クギ打ち付け バラ線を巻き付けた金属バットをフリ回しながら 執ように追いかけてくる集団。
「あんだぁ?このクソ・ベンツ 道のド真ん中に路駐してやがって」「ケリ入れちまえ!かまうこたぁネエ!!」
どかっっ!! ガコ!っと、後部バンパーにバットふるう音が背後で聞こえ、 っと同時に・・・
左右同時に、前方席のドアが バっっ!と開き、それの反動で、ブツかったチンピラが2人ばかり 狭い路地の壁に『ぐへぇっっ!!』って、カエルが潰れたような声を出し 吹っ飛ばされた。
「なんだテメエ!!」「事のついでだ!ヤっちゃうゾ テメエ・・」エキサイトするチンピラたち。
「今 散歩から帰りました」ってな・・・きわめて穏やかな口調で 降りてきた人物は・・・
「ふうん・・・オレっちのクルマに平気でケリ入れるとこ見っと・・・どうやら【キミらもオレの稼業と ご同業のようだナ・・】いっさいの情はかける必要もないか・・」と。
「・・・あっっ・・・」 一瞬にて緊張が走ります。『・・・《人食い鮫の イチハラ》・・・っっ!!』
「キミたち 逃げ出しちゃダメだよぉ♪ おい・・マー坊 やれ」
マー坊が手にしているのは かなり大型、黒光する・・《拳銃》・・・50口径の《デザート・イーグル》だアレは・・・。
上空に向けて 引き金を引くマー坊。 『 ドカンっっ!! 』ぶっちゃけ この音たるやハンドGUN超えてる、爆弾だ・・・。
外国射撃場で撃った。肩が抜けるかと思う衝撃・反動リョク
狭い路地の壁に その音は反響し、こっちの耳も痛くなった。
「この 翁町の住民の仁義知ってるか??」サングラスの奥で イチハラの瞳が嗤う。
ポツポツと、電灯の明かりがついていた路地、その轟音と同時に、示し合わせるように「パっと・・・」家々の明かりは一瞬で消えて、路地は さらに暗闇と化し。
「元々がヤバい街で、長生きして生きていくにはナ・・ヤバい事が起きそうになったなら《見ざる聞かざる言わざる》・・・それがこの、意外に堅気が多い この翁町の《流儀だ》。期待してもポリ公なんて来ないゼ♪」ジタンを咥え ジッポのライターで火をつけますイチハラ。
っと 人食い鮫が 闇に嗤うのでした・・・
スッカリと毒気を抜かれた チンピラ。「・・・い、いえ・・イチハラ・・さん・・まっさか!イチハラさん狙ったとかじゃあなくってボクら・・・」
「でも現実に クルマ蹴ったよな今♪」「すいませんっっ!!ホントすいません!ごめんなさい!! い、いえ・・用事があったのは、アッチの・・イタリアンスーツの野郎と、なんか感じワルい あのオカマ野郎の方で・・」
「お~~♪イってくれるねぇ♪ そのオカマ野郎だが、オレっちの大学の同窓生、ぶっちゃけ義兄弟だゼ。間接的にオレもバカにすんだナ ああ??」「そ・・そんなあ(泣) っっ!!」
「テメエら!ドコの者(もん)だあ ええっ!?」マー坊がワザと、キンキンする高い声で叫ぶ。「&%$連合は判ってる!ケツ持ち誰だ?ケイタイあるべ?今スグここに呼べっ!!テメエっちらの《兄貴分》をヨ!!」
半泣きってより、むしろ号泣寸前って感じで「そいつら」は・・・
「カ・・カンベンしてくださいよぉっっ!!そんなことしたなら、ボクら・・エンコ詰めにされちゃかねません!!(泣)
「けっっ!!知るか! エンコ詰める なんて業界用語 得意げに使うテメエらなんざ、堅気な訳がねえだろっ!渡世人らしくしろやい 内臓グチャグチャにすんゾこら!」っと銃口を向ける マー坊。
ひいいぃぃ~~っっ!! 見る見る ズボンの前にクロい染みを作る 若いやつらで。狭い路地に臭気が立ち上る。
イチハラがニヤつきながら、「ってかヨ、ぶっちゃけ キミらホントは《バブちゃん なんだろ?》観りゃあ 上品で賢そうなカオしてんじゃん♪」
「は、はいっ!!そうなんス! ボクら・・・関東学●の大学生、それと専門学校生とかで・・・。&%$のカタヤマさんに、パーティ券のこととかで可愛がられてる それだけで・・・」
ふふん・・要は ヤリコン・サークルの 半グレの坊ちゃん愚連隊か・・・。相手がイチハラとマー坊じゃ、《アリと巨人》だわナ・・・。
遂には シクシクと泣き始めた 「そいつら」を前にしながら、「おい。もう先に帰ってかまわんゾ リクよ。コレで貸し借りはチャラな。約束は守ったゼ」っとイチハラ。
「おお。じゃ、この 感じのワルいオカマは帰らせて貰うよって。行こう フラッグよ。・・・だが、これからどないすんの??そいつら・・・」
「ふむ・・今宵の《シノギ》としては、上々だ♪みなさん 毛並みのよろしい お坊ちゃんだろ♪ キッチリ・・・さぞやごリッパだろう 親御さんらに、クルマの修理代金お支払い願いましょうかネ♪(嗤)」
・・・ぶっちゃけ ロールスロイス値段での査定になるなこりゃ・・・。
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思っていたよりズっと・・・デカいクチたたく フラッグは、《この実社会の掟》も知らない 運がよかったダケのヤツなのだと判ってきましたが、
それでも、ナマイキな云い方ですが リクめは「見捨てませんでした」。
「トーシロなりに、なんか・・膠着している業界に 嵐を呼び起こす可能性」それもy十二分に感じられましたし、
ぶっちゃけ・・ナニよりも 彼には 不思議な愛嬌と 人間としての魅力があったから。
「ぶさかわ」ペットの愛らしさとでも云うか・・・
深夜に チンピラの集団に追いかけられたのも まるで無かったかのように、変わらず フラッグは、リクめからするならば、チャラけた、正直、実現性の希薄な「夢」を追っている そんなオトコでした はい。
リクめはってならば、そんなフラッグとは対照的に、まあ GAL受けはマッタク!しないってか・・・よっぽど物好きなコでない限り、『なんか観ててもつまんなぁ~い!』ってされるだろう、地道で、華もない、アセと油にまみれた 港での仕事を中軸に基礎を固めておりました。
若き業界のプリンスって 軽薄なマスコミの扱いは途切れてきても、それでも フラッグが経営するカンパニーの発展ぶりは続きました。
・・・それには ぶっちゃけ・・「大きな要因が存在した」。要するに、フラッグには【ココロ強い 懐刀がついていた】・・・。
『ヘンな相談はもちかけないから(笑)また 飲みましょうヨ♪』っと。フラッグからしつこく誘いを受けたリクめは、
ハマ駅の西口 某専門学校ビル内
金曜日の夜7時過ぎでなら・・ってことで、また フラッグの会社が入っていますビルへと出向きました。
そうしたなら 応対に出る いつもの秘書 蛸壺嬢が、「申し訳ございません。社長の五百旗頭なんですが、大口のクライアントに急に呼び出されまして・・・。伝言受けてます、出来れば8時までオフィスで待っていてくださいませんか? と。」「そうですか」
フラッグとは対照的。ダサダサの格好のリクめ
ジム行ってカラダ鍛えるツモリだったけども、それも今夜の予定でキャンセルしてますので、もはや用事もなく、じゃあ しばらくの間 待ってようってしましたリクで。
ぶっちゃけ 当然・・・「そこに居る」のはわかってた。気配も感じる訳で。
蛸壺嬢の 体温、ほのかに香るコロンの香りが 『妙に 近いナ・・・』って そう感じた次の瞬間・・・。
ある意味でいうならば 《不覚》・・・ぶっちゃけ「バックをとられた」・・・。
『フフフフ♪・・・』ソファの背越しに 強く抱きしめられましたリク・・・。ギョっとしました さすがに。
・・・こんな大胆にもチャラついたことすんのか??この 出来る秘書??
リクよりも 少し年上、ですが・・・細面で、控えめ、押し出しの強さこそ無いけれども、いかにもアタマ良いことが判る ノーブルな美人で。
その身体には いささかの贅肉などは無く、出るべきとこは張り出し ひっこむところは一種 極限まで引き締まってるって、
歳をとらない《魔女》っているのか??
A級のAV女優って云い方は それは失礼だ・・・。むしろ 一流のバレエダンサーと称する方がよりピッタリかも。
その しなやかにしてフェロモンを強烈に感じさせる 2本の手が、リクを つかんでおりました。
ココロで思った。『・・・おい。知らねぇゾ・・・。お遊びならこのへんにしとけヤねえちゃん・・・。アンタの前でいつも演じてる、このワシの姿と態度・・・ぶっちゃけアレなんぞは《世を忍ぶ 仮の姿》やけん・・・。このジャレたお手手をいい加減離さんと・・・いいのか??本性出すゾ ワシは。ホンマに・・【 姦っちまうド こら・・・ 】』
カラダこそ♀みてぇでもナ!野獣やドこちとら・・
そんなら そうして御覧ヨ ボクちゃん♪・・・あきらかに そんな表情で 淫乱な微笑みを浮かべたまま、蛸壺は、どんどんと、まるでリクめに おんぶされるがように、ノシかかってきて。
「・・・なんか・・妙に《そそられる》のよねぇ♪ リクちゃん、アンタってヒト♪」 ん??・・・マッタク怖がってもおらへんナ このヒト・・。よっぽど無頓着か?それとも 大物か??
「最初見たトキからピン!ときてた。目立たないよう・・・ワザとにダサい格好とかしてるけど、リクちゃん、アンタ、一級品の《素材》なんだわ ってネ♪ 正直、《喰いたかったのよ》」
なんだか・・ヒョっとして なんか《一服盛られたか??》・・・年増に言い寄られて そうそうノボセ上がるほどのリクやないデ。だけど・・・なんかおかしい。妙な気分・・・こういうの経験あらへんワ。不思議・・・。
なんだおい・・ワシの服 脱がそうってか?? 大概のオンナらは この時点で・・・ワシのカラダが《通常ではないって事に気づきビビったり気後れするものやけど》・・気にならないのだろうか このオンナ・・・。
上着のシャツのボタン すべて外されて・・・通常の♂だったなら「ありえない」・・・
ブラに包まれた 2つの双球が現れ・・・だけど・・・この蛸壺は さらに妖艶な表情で微笑み・・・
『 ・・・わあ♪ アタシね、《バイセクシャルなのよ ジツは》アタシのような人間にとっては、リクちゃん アンタみたいなカラダのヒトは《一粒で二度美味しい♪》って・・・そういうことなのヨ♪』
ああ・・そうだったのか・・っっ!! なるほど・・経験がないって この不思議な感じは《それだったのか!》・・・
今のわたいは、このねえちゃんに・・・半分は《レズビアンの獲物として》・・・まさに 抱かれようとしているのかっっ!!
なんだか・・・空を飛んでるような気分だ ああ・・・。
ぶっちゃけ・・メッチャ上手くないかこのヒト?相当の《場数踏んでるなこのヒト》。
おそらくは オトコもオンナも、扱い方 そして《料理法》会得しているって 一種の《名人》やナ・・・。
あ・・・思わず 声が出てしまう・・・。やっぱ いっくら否定しようが、このわたいの 女性化してるカラダって、要は 性感帯まで♀と同様か??
むず痒い・・・コレも一種の快感には間違いないのだろうけど、♂としての正直な気分では、わ~!!って叫んで 駆け出してしまいたいよな気分やワ。
それにしても・・・レズの《愛撫》って・・こうも しつっこくて丁寧なのか??こりゃあクセになるヒト居る訳かも知れないナ。
ああ・・。思えば 忌まわしい・・女性化の象徴でもあった 乳房・・・。乳首さわられたり 摘ままれたり、さらには舌先で吸引・・・こんなにも 感じるものなのかヨ・・・。
ヒョっとして・・・ワシって人間、もしかして《チンコ生えてるオンナ》それなのか??
それとも『オンナになったのか?』 まさか!・・・
ナンなんヤ自分?? ぶっちゃけ《されるが放題》ヤないかって・・・。ってよりも、半分 腰浮かして《おねだりしてる》クルったか自分??
た、頼むヨ ねえさん!! イ、イかせてくれっ!!お願いだ 【♂として】・・・わかる筈もないだろが、これでも・・意地張って生きてきたんヤ ♂として・・。
なのに、【オンナとしての気分でイかされる】・・・なんてヤだよお・・・。なんか怖いよ・・・。深い奥の部分で なにかがガラガラと 崩壊しそうだ。 あああああ・・・。
甘美なる敗北・・・って言葉が 朦朧となった脳裏に響く その脇では、蛸壺が妖艶に嗤いながら・・・
『オトコもオンナもある部分ではイッショなのヨ♪ アンタのように、向こうっ気が強いコほど・・いったんコロっと転ぶなら、それはそれは可愛いネコちゃんになっちゃうモノなんだから(笑)これから先、ユックリと時間をかけて、《アタシのペット》・・・そうねぇリクならば・・このカラダを無駄にせず、レズビアンのマゾ・ペットに仕上げてあげるワ♪フフフ、期待しててイイわよ♪』
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ナンのことはない。ぶっちゃけ ナニが「港のリク」でしょう・・・。
わたいですが この・・きっと前世は 白蛇だったに違いない、蛸壺って《魔女》にスッカリと 溺れました はい・・・。
身をもって味わう《姦られたオンナの気分》・・・
アホそのものですが、夕刻ともなるなら カラダの奥が疼いて・・・フラッグの居ない時間を狙い 例のオフィスを訪れては、
その《魔女 蛸壺》に・・・ 抱かれました・・・。そこに居たのは つい以前までのリクではない。半分は、レズ・ペット化されつつある 情けなき 生き物でありました はい。
港のリクは、このまま【 色惚けのジャンク 】か??
(後編に 続きます)